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3話
しおりを挟む「はぁ!?君…晶!?えっ…待って…でも晶ってこの間…」
「ああ、死んだ。そんなこと良いからこの鬱陶しい髪、どうにかしてよ陽介さん」
「はぁ~?いや意味わからんし…なんでお前らそんな普通な訳?」
早風高校の軽音部、「Violet」のメンバーは、町田に連れられて美容室へと来ていた。
この美容室は晶の行きつけで、美容師の陽介は遠い親戚らしい。
「おい晶、付いてきてやったんだからそろそろ説明しろよ」
鏡を見ながら陽介と髪型のことをあれこれと話し終わった頃合いを見計らって、朝陽が町田に詰め寄る。
「ああ?だからさっきも言っただろ?トラックとぶつかって、気が付いたら死んでたから、最後にせめて新曲だけでも書いて残そうと思って学校戻ったんだよ」
「……なんでわざわざ学校?」
「だって家に紙とペンなんてねーし」
「はぁ?」
町田の顔した自称晶の話を聞きながら、町田の髪を弄っていた陽介も含めて、その場の全員が首を傾げた。
「んで、学校戻ったはいーけど、今度は物に触れねーことに気が付いたら訳よ。ほら、俺死んでるからさ」
「…それで?」
「それで、しゃーないから暖の枕元にでも立ってメロディー覚えさせようかなーって思いながらとりあえず家帰ろうとしたら、コイツにあったんだよ」
町田はそう言って鏡越しに自分を指さした。
「え…だからなんでそっから町田の中身が晶になるわけ…?」
朝陽の質問に、その他の全員が同意の意味を込めて頷く。
「なんかコイツ、自殺しようとしてたみたいでさ。なんか手首から血流して倒れてたから"どーせ死ぬなら少しの間体貸してくんね?"って言ったら貸してくれた」
『?????』
(自殺???学校で???)
(体をかす???)
(本物の町田はどーなったんだ…???)
晶のさっぱりとした説明に、全員が更なる疑問を抱えながらも、町田の腕に沢山のリストカットの痕があるのを見て、口を噤んだ。
「そんで、バンドの話だけど」
「ああ、お前が本当に晶なら歌えるだろ?ヴォーカルやれよ」
町田にバンドの話を振られた朝陽は、後ろのソファ席に座っている樹と暖を振り返り「いいよな?」と確認をとって頷いた。
しかし、町田はというと「無理だ」とキッパリ。
「は?お前が歌わなくて誰が歌うんだよ。それともやっぱりお前、晶の名前使って俺達をからかってんのか?」
半ギレの朝陽に、町田の顔をした晶は陽介に髪を切られながら横目で朝陽を見た。
「俺が俺だってことはお前が一番分かってるだろ、いい加減そーゆーの止めろよめんどくせー。俺だって歌いてーよ、だけど歌えねーんだよ」
「なんで」
激しく顔をしかめる朝陽に、晶は「…コイツ音痴なんだよ…」とボソリと呟いた。
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