冬の帝国と精霊対話師

アウグスト葉月

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一章

プロローグ

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 彼女はまだ世界との対話を始めていなかった。
 空を見上げ、絶望の中で世界が変わる音を聞いていた。
 炎がはぜ、焼き尽くす音を。
 目の前で世界が焼け落ちていく。
 炎が舞う。怒り狂い、全てを焼き尽くさんと踊る炎が。
 大気が震える。
 マリポーザは口の中が乾くのを感じた。
 熱気で皮膚がちりちりするほど暑い。
 なのに、身体中の血という血が冷えてしまったかのように身体が冷たい。
 赤。紅い。
 世界が、変わる。
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