ホワイトアフターデー

春山 一貴

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第六話

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二年B組の教室は、3月には少し早めの桜が咲いていた。ほのかな甘い香りとほんの少し酸味の混じった空気が二人の周りに漂う。薄桃色で所々濃淡があり、それはまだ若い二人の初々しさと重なるようだった。

「山下くん…。」

「お、おはよう…」

「おはよう…。ど、どうしたの…?」

「あ、うん。ちょっと用があってさ」

「そ、そうなんだね…」

「うん…」

 山下は舞桜を見つめて机を掻き分けながら彼女の横の席へと向かっていった。二人の距離が縮まるに連れて、二つの心臓が次第に激しく高鳴る。
時折舞桜の目を見つめて、間を見計らってバックから白いクッキーが入ったチェックの包みを取り出した。

「あのさ…、木下…」

「うん…?」

「バレンタインのチョコ…ありがとな。…それとー、これ。お返し」

「あ、ありがと…。私こそ、チョコ、受け取ってくれてありがとう…」

「すごくて美味しかったよ。手作り?」

「ほんと? 良かった…。うん…手作りだよ」

「手紙も読んだよ」

「あ、うん…。。」

 舞桜の頬が急に赤らみを増した。一方、話に聞き耳を立てていた愛奏は手紙というワードに少し引っ掛かった。

「え、舞桜、手紙で告ったんだ…。私てっきり、ちゃんと告白はしたのかとばかり…。」

 驚きを隠せない愛奏だったが、その事実発覚は不安要素になるものではなかった。むしろ、二人にとってはもしかするとより良い方向へ進みそうな気がして、口元の緩みが止まらなかった。

「あのーさ…、えーっと…手紙に書いてあったことって、ほんと?」

 山下が訪ねるが舞桜は極限の緊張の余り答えることが出来なかった。彼はもう一度聞き直す。

「木下さん、あの手紙に書いてあったことなんだけど…」

「ほんとだよ…!!」

 彼の声に被せて絞り出すように舞桜は話し始めた。机の引き出しの辺りを必死に見つめながら。ただ、彼のことを体の右側の表面から感じている。体全体に広がり、そして体の中に染み渡ってゆき、舞桜の心にまで到達する。心は反応し、鼓動がより一層高鳴りを増した。

「わかった。…じゃあ、返事しても良いかな…?」

「…!!」

「話しても、良い…?」

「…うん。」

「俺のこと、好きになってくれてありがとう」

 舞桜の心臓の音が彼に聞こえそうなくらい彼女の胸を強く叩いていた。しおらしい彼女の顔を見つめていると、彼までも胸の高鳴りが伝播しはじめた。彼は深呼吸をし、再び話始める。

「手紙読んで、木下が俺のこと想ってくれてたって知って、ほんとに嬉しかった。」

「…うん。。」

「実は…」

「…うん。」

「実は俺…」


ー最終話に続くー
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