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「あまがみのみこと」第七章:恋へと深まる絆
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光と影の魔女、人々は「あまがみ」をそう呼ぶようになっていた
その呼び名は彼女の中に宿る二つの側面を表すものだった癒しをもたらす光と選別を強いられる影
その名は人々の口から祈りと呪詛を伴って広がり「あまがみ」自身かつての自分ではないと感じ胸を引き裂いていった
「なぜ……私だけが……こんな目に……」
心の奥底から漏れた呟きは夜の闇に溶け誰にも届かぬ呻きとなった「あまがみ」は投げつけられる罵倒の言葉
救えなかった命の重さに押しつぶされそうになっていた歌うたびに蝕まれる体力の消耗
夜ごと悪夢にうなされ朝には絶望が彼女の肩に覆いかぶさる次第にかつて澄んでいた瞳は曇り彼女から輝きを奪い微笑みは失われていった
しかし、そんな彼女のすぐ傍には唯一揺るがぬ影があり誰よりも深く彼女の理解者として
ただ黙って支え続けていたのが「アッシュ」の存在だった
無口でありながらも彼の存在なしには、とっくの昔に彼女は砕け散り心が壊れていただろう世間の誰が自分を罵ろうとも「アッシュ」だけは
この、ありのままの自分を受け止めてくれている
その揺るぎない確信が「あまがみ」の心を強くし唯一の盾であり灯火であった
ある日、激しく重い任務の最中「あまがみ」は再び力を使い果たし血の気が引き世界が揺らぎ意識が朦朧として暗闇に引き込まれ
その場に倒れ込んだ地面が迫るその瞬間
しかし体を打ち付ける前に「アッシュ」の逞しく強靭な腕が彼女を
しっかりと抱きとめた彼の温かい腕の中に包まれ「あまがみ」は深い安堵とともに意識を手放した
目覚めると「あまがみ」の身体には「アッシュ」の外套が
かけられ見慣れない寝台に横たわった状態で寝かされており傍らの椅子に腰掛けた「アッシュ」の手には「あまがみ」の額に当てられた濡れ布巾が握られじっと見守っていた「アッシュ」は静かに水を差し出した冷たい手が震えマグカップを包み込む水を口に含むと水よりも彼の大きな掌の温もりの方が胸に沁みた彼の深い瞳が
いつも真っ直ぐに自分を見つめ返してくれている「あまがみ」は言いようのない安堵を覚えていた
「大丈夫か?……君は頑張りすぎだ……」
多くを語らない「アッシュ」だが、その彼の短い言葉に込められた想いは
どんな長い演説よりも重く深い気遣いと彼女への揺るぎない信頼が込められていた「アッシュ」の声は
いつもと同じく穏やかだったが彼の瞳のその中にはこれまでにはなかった深く燃え盛る炎のような感情と心配と深い慈しみが宿り
そして何かを決意したかのような揺らいでいる光をあまがみは感じていた
疲労困憊のあまがみは思わず「アッシュ」の服の裾を強く握り指先が震え唇も震え、それでも抑えられなかった
「私……もう嫌だ……」
これまで自分は癒しの魔女として長く心に押し込め弱音を吐いてはいけない
そう心に誓っていたはずなのに堰を切ったように嘆きが零れ落ちる彼の前では仮面を外し
ただ一人の少女に戻り、なぜかありのままの自分を晒すことができた「アッシュ」は迷うことなく
そんな「あまがみ」を優しく抱き寄せた彼の胸の温かさ力強い鼓動の音が「あまがみ」の絶望に凍えた心に
じんわりと染み渡りゆっくりと溶かしていく彼女の迷いは
まるで嵐の中で見つけた灯台の光のように導かれていくように感じられた
「君がどれほど人々に何を言われようと……俺にとっての君は唯一だ……誰も奪えない……かけがえのない存在だ……君は何があっても俺が守る……君のその歌声も君自身も……全てを……」
「アッシュ」の声は、これまでにないほど一番、強く響き
そして熱を帯びていた、その言葉は「あまがみ」にとって呪縛を解く聖句のようであり
これまで彼女を縛りつけていた罪悪感や絶望は少しずつ薄らぎ胸は張り裂けそうなほどの高鳴りを覚え
それは恐怖でも苦痛でもなく代わりに胸の内を満たしたのは強烈なまでに眩しい想い、それはまさしく恋という名の光であった「あまがみ」は
これまで感じたことのない胸の奥からこみ上げてくる温かい感情に戸惑った
それは家族への慈愛とも人々に癒しを与えたことへの満足感とも違う新しい感情
たった一人の人間への純粋な想い絶望の淵に芽生えた命よりも大切な愛情の光
「アッシュ」は「あまがみ」の顎に手を添え顔をそっと持ち上げ
その潤んだ瞳を見つめ互いの吐息が交わり彼の顔がゆっくりと近づき鼓動が一つになり二人の唇がそっと静かに重なった
それは、まだ儚く言葉にすれば壊れてしまいそうなほど脆い
しかし、それは確かに、そこに存在する人々の呪詛や運命の残酷さ
さえも凌駕する絶望の中で見つけた確かな愛の誓い初めて訪れた救済の奇跡だった彼女は自分が救う者であると同時に
こうして救われる者でもあったのだと悟った「あまがみ」は頬を染め震える声で囁いた
「「アッシュ」……私あなたといると生きていてもいいんだって思える……」
彼の腕がさらに強く彼女を抱き締め、まるで世界の全てから守り抜こうとするように、その抱擁の中で「あまがみ」は初めて歌うための声ではなく一人の人間としての心を解き放つことができた
窓の外には夜空が広がり幾千の星々が瞬いていた
それはまるで、この瞬間を祝福するかのように煌めき二人を見守っていた
それは、やがて来る大いなる試練を前に不滅の灯火となり彼らを新たな運命へと導いていくことになるのであった
その呼び名は彼女の中に宿る二つの側面を表すものだった癒しをもたらす光と選別を強いられる影
その名は人々の口から祈りと呪詛を伴って広がり「あまがみ」自身かつての自分ではないと感じ胸を引き裂いていった
「なぜ……私だけが……こんな目に……」
心の奥底から漏れた呟きは夜の闇に溶け誰にも届かぬ呻きとなった「あまがみ」は投げつけられる罵倒の言葉
救えなかった命の重さに押しつぶされそうになっていた歌うたびに蝕まれる体力の消耗
夜ごと悪夢にうなされ朝には絶望が彼女の肩に覆いかぶさる次第にかつて澄んでいた瞳は曇り彼女から輝きを奪い微笑みは失われていった
しかし、そんな彼女のすぐ傍には唯一揺るがぬ影があり誰よりも深く彼女の理解者として
ただ黙って支え続けていたのが「アッシュ」の存在だった
無口でありながらも彼の存在なしには、とっくの昔に彼女は砕け散り心が壊れていただろう世間の誰が自分を罵ろうとも「アッシュ」だけは
この、ありのままの自分を受け止めてくれている
その揺るぎない確信が「あまがみ」の心を強くし唯一の盾であり灯火であった
ある日、激しく重い任務の最中「あまがみ」は再び力を使い果たし血の気が引き世界が揺らぎ意識が朦朧として暗闇に引き込まれ
その場に倒れ込んだ地面が迫るその瞬間
しかし体を打ち付ける前に「アッシュ」の逞しく強靭な腕が彼女を
しっかりと抱きとめた彼の温かい腕の中に包まれ「あまがみ」は深い安堵とともに意識を手放した
目覚めると「あまがみ」の身体には「アッシュ」の外套が
かけられ見慣れない寝台に横たわった状態で寝かされており傍らの椅子に腰掛けた「アッシュ」の手には「あまがみ」の額に当てられた濡れ布巾が握られじっと見守っていた「アッシュ」は静かに水を差し出した冷たい手が震えマグカップを包み込む水を口に含むと水よりも彼の大きな掌の温もりの方が胸に沁みた彼の深い瞳が
いつも真っ直ぐに自分を見つめ返してくれている「あまがみ」は言いようのない安堵を覚えていた
「大丈夫か?……君は頑張りすぎだ……」
多くを語らない「アッシュ」だが、その彼の短い言葉に込められた想いは
どんな長い演説よりも重く深い気遣いと彼女への揺るぎない信頼が込められていた「アッシュ」の声は
いつもと同じく穏やかだったが彼の瞳のその中にはこれまでにはなかった深く燃え盛る炎のような感情と心配と深い慈しみが宿り
そして何かを決意したかのような揺らいでいる光をあまがみは感じていた
疲労困憊のあまがみは思わず「アッシュ」の服の裾を強く握り指先が震え唇も震え、それでも抑えられなかった
「私……もう嫌だ……」
これまで自分は癒しの魔女として長く心に押し込め弱音を吐いてはいけない
そう心に誓っていたはずなのに堰を切ったように嘆きが零れ落ちる彼の前では仮面を外し
ただ一人の少女に戻り、なぜかありのままの自分を晒すことができた「アッシュ」は迷うことなく
そんな「あまがみ」を優しく抱き寄せた彼の胸の温かさ力強い鼓動の音が「あまがみ」の絶望に凍えた心に
じんわりと染み渡りゆっくりと溶かしていく彼女の迷いは
まるで嵐の中で見つけた灯台の光のように導かれていくように感じられた
「君がどれほど人々に何を言われようと……俺にとっての君は唯一だ……誰も奪えない……かけがえのない存在だ……君は何があっても俺が守る……君のその歌声も君自身も……全てを……」
「アッシュ」の声は、これまでにないほど一番、強く響き
そして熱を帯びていた、その言葉は「あまがみ」にとって呪縛を解く聖句のようであり
これまで彼女を縛りつけていた罪悪感や絶望は少しずつ薄らぎ胸は張り裂けそうなほどの高鳴りを覚え
それは恐怖でも苦痛でもなく代わりに胸の内を満たしたのは強烈なまでに眩しい想い、それはまさしく恋という名の光であった「あまがみ」は
これまで感じたことのない胸の奥からこみ上げてくる温かい感情に戸惑った
それは家族への慈愛とも人々に癒しを与えたことへの満足感とも違う新しい感情
たった一人の人間への純粋な想い絶望の淵に芽生えた命よりも大切な愛情の光
「アッシュ」は「あまがみ」の顎に手を添え顔をそっと持ち上げ
その潤んだ瞳を見つめ互いの吐息が交わり彼の顔がゆっくりと近づき鼓動が一つになり二人の唇がそっと静かに重なった
それは、まだ儚く言葉にすれば壊れてしまいそうなほど脆い
しかし、それは確かに、そこに存在する人々の呪詛や運命の残酷さ
さえも凌駕する絶望の中で見つけた確かな愛の誓い初めて訪れた救済の奇跡だった彼女は自分が救う者であると同時に
こうして救われる者でもあったのだと悟った「あまがみ」は頬を染め震える声で囁いた
「「アッシュ」……私あなたといると生きていてもいいんだって思える……」
彼の腕がさらに強く彼女を抱き締め、まるで世界の全てから守り抜こうとするように、その抱擁の中で「あまがみ」は初めて歌うための声ではなく一人の人間としての心を解き放つことができた
窓の外には夜空が広がり幾千の星々が瞬いていた
それはまるで、この瞬間を祝福するかのように煌めき二人を見守っていた
それは、やがて来る大いなる試練を前に不滅の灯火となり彼らを新たな運命へと導いていくことになるのであった
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