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第1章

11.そうだ、狩りに行こう!

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 まだ昼前でこれからどうするか2人で考えていると、ハクが『魔法の練習がてら狩りをしたらどうじゃ?』と提案したのでそれを採用することにした。

 俺達は移動し、いつもの川とは反対側にある木々の生い茂った場所に来た。ここは俺とハクが出会った場所の近くでもある。俺は狩りをするにあたり、コツはないのかハクに聞いた。

 『自分の気配を消して、相手に気づかれんように後ろから忍び寄り、こうと…。』
 「いや、魔法使ってないじゃん!それ野生の狩りの仕方だよね!?」

 俺はハクのボケに思わずツッコミをいれてしまった。するとハクは、
 『ハッハッハ!冗談じゃわい。最後は「」で仕留めるのがよいかの。』と今度はちゃんとしたアドバイスをくれた。

 「なるほどな。ここは森だしそれが一番適正か。」
 『ほれ。あそこにウィンドバードがとまっておる。』

 そう言われハクの指さす方に目を凝らすと、15メートルほど離れた木に鳥がとまっているのが見えた。その鳥の見た目は大きいニワトリみたいだ。

 俺は静かにその鳥の元まで近づき、小声で「」と唱えた。
 するとその魔法は「ビュンッ!」という音と共に飛んでいき、鳥の背中に当たった。だが、致命傷とはならずバサバサと鳥が羽ばたいていく。
 俺は焦って 「ま、『!』」と大声を出してしまった。

 すると羽ばたいていた鳥がまるで金縛りにあったように動きを止めて落ちてきた。振り返るとハクが「あ~ぁ…。」という顔をしている。

 『ミナト、それは魔法の練習にはならんぞ?』
 「わ、分かってるよ。焦ると無意識に【言霊】飛ばしちゃうんだよな…。」
 『それはこれからの課題じゃな。……もうユニークスキルさえあれば魔法はいらなくないかの?』

 ハクは、俺も薄々気づいてはいたが言葉にしなかったことを「ズバッ!」と言ってしまった。

 「そ、そうかもしれないけど…。でも!誰にでも効くとは限らないし、【言霊】で魔法を使うと威力が強すぎて加減できないし……。」
 『まぁ、そうじゃな。【言霊】の制御が出来るまでは属性魔法を練習するしかないかのぉ。ならばもう一度やってみるがよい。』そう言ってハクはさっき俺が落とした鳥の血抜きをし始めた。


 俺はハクから少し離れた所で、再びウィンドバードを見つけていた。今回も標的に向けて「」を放つ。今度は首元に見事命中し、一撃で仕留めることが出来た。

 「ハクー!今度は魔法だけで捕まえれたよ。」
 そう言ってハクの元に戻ると、

 『それはよかったな!おめでとう!』

 そう言いながら俺の方を振り返った。ハクの足元にはウィンドバードが3。1羽は俺がさっき捕らえたものとして、あとの2羽はいつの間に捕獲してたんだ?
 そんな俺の疑問を他所よそにハクはそれを自分のアイテムボックスにしまい、今度は俺に血抜きのやり方をレクチャーしてくれるのだった。

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