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第1章

22.いい湯だな(アハハン)

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 晩ご飯も終わり、後片付けも済ませた俺は布をチクチクと縫っていた。
 裁縫道具は会社の鞄に入れていた小さなソーイングセットがアイテムボックスに収納されていたもので、何故か使っても糸がなくならないし、細い糸がかなり丈夫でちぎれない。付属のハサミだと普通に切れるんだがな。

 意外と女子力のあった過去の俺に感謝をしつつ、布を縫いすすめる。……よし出来た。次はハクに綺麗にしてもらった羊毛を入れて閉めれば完成!ウール100%布団だからフッカフカだ。今日からはこれに包まれて眠れる。

 今日の作業はこれにて終了!さぁ、寝る前に風呂で疲れを取るとするかな~。

 そうして俺は洞窟の外に出て来て風呂にお湯を張る。服を脱いでいざ!

 「あ~~~、極楽極楽♪ 久しぶりの風呂は気持ちいいな~!」

 外は月明かりに照らされていて、星もたくさん見える。都会では見れなかった夜空だ。溜まった疲れもお湯に溶け出ていくよう。俺は目をつむりリラックスしているとと何かが近づいてくる音が聞こえた。

 俺は警戒し音がするほうを見ると、
 『ミナトだけずるいのじゃ!我もそれに入りたい!』
 そう言ってハクが姿でやって来た。驚かせるなよ…。

 「いや、その姿じゃ入れないだろ?」
 『じゃあこれならいいかの?』
 そう言っていつもの人型に変身した。しかもで。

 「いやいや!それはダメだ!(色々と)早く戻れ!」
 『別に我は気にならん!人型でないと一緒に入れぬではないか。』
 「俺が気にする!他にないのか?小さくなるとか。」
 『ならば……。』
 次は小型犬に変身した。チワワサイズだ。

 『これならよかろう?』
 「…それなら大丈夫だ。」
 『この姿では溺れてしまうでな、ミナトが支えるのじゃ!』
 「分かったよ。」
 そう言って俺はハクを抱きあげ、そっと湯船につけてやった。

 『ふぉぉ~~、これはなかなか気持ち良いな。……手を離すでないぞ?絶対じゃぞ?』
 「それはというか?」
 『違うわい!!ほんとに溺れてしまうぞい!』
 「わかった、わかった(笑)」

 その後も俺たちは風呂を満喫するのだった。



 『うぅー…。クラクラする…。』
 「無理して長居するから。」
 長風呂好きの俺に合わせて入り続けたハクは、出るなりフラフラと倒れ込んだ。
 そんなハクに水を飲ませたり、風を送ったりと俺は介抱かいほうするのだった。
 
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