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第1章

24.偽装工作

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 俺自身のLvが20を越えた辺りからステータスが異常に高くなってきたのでどうにかならないかハクに相談したところ『に相談する方がよかろう。』と返ってきた。
 なんでもルーナさんは妖狐ようこなだけあって偽装する魔法などが得意らしい。なので俺は早速ルーナさんのいる街へ向かった。

 「おぅ、ミナト!」
 そうやって声をかけてきたのはすっかり顔馴染みになった門番のゲルトだ。

 「やぁゲルト!昨日ぶり(笑)」
 「そうだな(笑) 2日続けて来るとは何か買い忘れか?」
 「そんなとこかな。」
 
 俺は軽くゲルトと会話を交し、冒険者カードを見せて街へ入った。その後はルーナさんのお店へ一直線である。
 

 「ルーナさん居ますか~?ミナトです。」
 店に入りカウンターでそう言うと奥からお茶を持ったベル君が出てきた。

 「いらっしゃいませ、ミナトさん。すみませんが今母様かぁさまは手が離せなくて…。もう少しお待ちいただけますか?」
 「もちろん、わざわざありがとう。そうだこれベル君とシャルちゃんに。」
 「いつもありがとうございます♪」

 俺はお茶を受け取り、代わりに手土産のお菓子を渡した。これは俺が手作りしてアイテムボックスに保存していたものである。

 その後シャルちゃんもやって来て「あ、ありがとうなのミナトさん…♪」とお礼を言ってくれた。
 俺は心の中で(こちらこそいつも癒しをありがとう…。)と感謝した。

 しばらく3人で話していると作業の終わったルーナさんがやって来た。

 「あらあらミナトはん、えらい待たせてしもて堪忍な。今日はどないしはったん?」
 「実はステータスを早急に、偽装する方法を教えていただきたくて…。ハクに聞いたらルーナさんが適任だと言われたんです。」
 「偽装?かまへんよ~。ただこれは魔法の実力によって偽装の信憑性しんぴょうせいが変化する高度なやつなんよ。あまりにも偽装魔法がヘタやったら「鑑定」でバレてもするから気を付けなあきまへんのや。」
 「そうなんですか…。でもこれは絶対に習得したいんです!ご教授よろしくお願いします!」
 そう言って俺が頭を下げると、
 「そこまで決心がついてるんやったら仕方あらへんなぁ~。ほな早速始めよか。」
 と、ルーナさんは1から丁寧に教えてくれた。

~手順~
 ①ステータス画面をだす。
 ②闇魔法「フェイク」をかけ、自分でステータスを設定しなおす。
 ③無属性魔法「ロック」で偽装ステータスを固定
 【注】まず大前提に「鑑定」スキルを持っている事!

 作業はこの3つだけ。簡単に思うかもしれないが単純だからこそ難しい。

 「フェイク」の時に偽装ステータスをちゃんとイメージ出来てないとステータス画面にモザイクがかかってしまう。「ロック」をちゃんと出来てなくても同様。
 「ロック」まできちんと出来ていても、ステータスを維持し続けるのが大変だという。なんでも気を抜いてると元のステータスに戻ってしまうのだとか。
 最後に書かれていることが1番のポイントで「鑑定」スキルが高Lvであるほどいいらしい。自分より低Lvの「鑑定」が効かないのと同じで、もし「鑑定」をかけられても騙せる確率が高くなる。

 ここまでがルーナさんの説明だ。それからルーナさんはベル君にお手本としてステータスを出すように言った。


 ・名前   
   ベル (10歳)   獣人族   Lv.3
・職業   
   ―――
・スキル   
   火魔法Lv1、水魔法Lv1、無属性魔法Lv1、鑑定Lv2
 
 体力(HP)   100/100
 魔力(MP)   80/80
 攻撃力(STR)   60
 防御力(DEF)   60
 幸運(LUK)   550


 このように表示されていた。これは一般的な獣人族の子のステータスより少し高めくらいだ。から見ればおかしな所はないが、俺はこの子が魔王様の血を引く子だと知っている。何より魔王の息子とあれば魔力が高く、称号も出るはずだ。明らかな偽装ステータスである。

 「わての子達は街に来る際、必須やったさかい1番初めに覚えさせたんどす。2人とも魔力が高く才能があったからか、あっという間に習得できてんけどね~(笑)」

 2?ということはシャルちゃんもか!?たった10歳で…。
 まだ幼く可愛い顔してるのに、とんでもない魔力制御だな。さすが魔王様とルーナさんの子供達…。

 それを聞いて俺も負けてられないな!と練習を始めるのであった。
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