【北斗と藤里】愛おしい罪の名残。

あきすと

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熱視線。

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確証なんか、無い。

ただ、視線が交わるだけで

それだけで十分に伝わるものがあったから。


そこで、差し出した手に

触れた指先。


何か、自分の心から沸き上がる気がした。

この感覚が分からなくて、

それでもなんとも言えない

高揚感。


上手く語れはしないけれど

きっと、これは伝染する。

自分から、貴方に。

心が、ゆっくりと開かれて

貴方への想いを示したら…




『北斗、いつからそんな事始めたんだ?』


実は今、藤里には黙っていたけど

藤里と口をきいてない。

特に意味も理由も無いけど

なぜかそうなっていた。


『こんな至近距離で無視ですか。いい度胸だな。』

「………。」


『せいぜいくだらない悪戯を楽しめばいい。』


藤里の瞳が、暗く映る。

長い髪を翻して彼は

寝室に行ってしまった。


いや、これでいい。

今にも言ってしまいそうだったから。

堪えたのは正解だ。

今は、藤里も気が立っているだろうから。


こっそりと、足音を立てないように気をつけながら

寝室にたどり着く。


「……………。」

そーっと、

ドアを開ける。


『北斗?』

ばっちり目が合う。

「ぁ…」

『どうした?』

声だけでも、耳に優しく馴染んでその場に縫い付けられそうになる。


「藤里…。」

名前を呼ぶだけでも

藤里の眼は、いつも以上に優しく、温かなものへと

変化する。

それを見つめるのも

すごく愛しい。


『やっと、声が聞けた。で、来るか、来ないか?』


あくまで、こちらに選択権はあるみたいだ。

少し余裕を持って、笑みを浮かべる藤里。


「…行かない。」

精いっぱいの強がり。

多分、

行きたいって、聞こえたはずだ。


俺を熟知している藤里には

分かる。

『参ったな、嫌われたようだな。』

分かっていながら、付き合ってくれる。

そんな藤里にだから

どうしたものか…甘えてしまうみたいだ。


「行かないったら。」

『あぁ、分かってる。』

それでも布団をめくって

その声と、眼には陥落するしかないのを

本能で悟ってる。



「まるで、ちぐはぐだ。」

苦笑いをしながらも

藤里の布団に収まる。

温かい空間。藤里の匂い、

眼を思わずつむった。


一番好きで、一番安らぐ匂いが隣にある。

すぐに、抱き寄せられて

眼を見開く。

「藤里…怒ってる?」

『俺は、お前のご機嫌取りじゃ無い。』

頬に口付けられて

北斗も藤里へと手を伸ばす。

「うん。ごめんなさい。話しなかったのは…ちょっとさ、悔しいから。」

『悔しい…?』

北斗の予想外の言葉に

藤里が不思議そうに北斗を

見つめる。


「そうだよ…。あのさ、言うの恥ずかしいんだけど。」

『無視なんかするからだ。』

「そうなんだけどね、あの…」

口ごもっていると

藤里が背中を撫でてきた。

暗に、『大丈夫』と言うみたいに。


「最近…藤里に、」

『俺に?』


「藤里に…ちょっと、再燃してる、かも。」


『あぁ…なるほど…。それは、恥ずかしいよな。』

「うん…。」


『再燃かぁ………?』

「笑わないで」

『はぁっ、…今更俺に?』


時間差で、伝わったみたいで。それがかえって恥ずかしい。

「うん。好きなんだ。」

『…お前なぁ…』

「なに?」


珍しく藤里が赤面している。

『…』

「…ん…っ、」

唇を喰むような口付けに

身体の力は抜けていく。


無意識に藤里を求める。

身も心も、何度も重ねてきた相手。

嫌いになんか、なるわけが無かった。

漠然と想っているわりに

気持ちは熱く保たれたままで。

衝動的に揺さぶるような

例えば無意味に見える契りでさえも、藤里との繋がりになればいいとさえ感じる。


何度も、尽きかけてはまた

求められる。

その度に乱れる心を

平常に保つ理性さえ北斗は

手放していた。


緩く続く、事後の時間。

息を整えたいのに、

啄ばむような藤里の口付けが邪魔をする。


その度に呼吸が消えて

鼻から声が漏れる。

これを好きでやってくるんだ、藤里は。


素肌にかかる藤里の長い髪がくすぐったい。

そろそろ、寝かせて?と言うように藤里の頭を

優しく北斗が撫でる。

もしかしたら、また…


夢の中で逢えるかも、


しれない?




 

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