【クソ彼氏から離れらんなくて】⑨クソ彼氏の性癖に、付き合わされる日々。

⑥番外編 久豆 春季視点のショート。

家族と言う、かりそめの檻の中で育った。
子供の頃から、つきあう人間を親に決められていた。

とても理不尽に、仲良くなったと思っていた同い年の
子供との関りを絶たれていく。

家にも、学校にも自分が望む様な世界などありはしなかった。

家には何人ものお手伝いさんが、自分の世話から何までしてくれた。
ここのところ、隣家に誰かが引っ越して来たらしい。
バタバタと業者の出入りがある。
引っ越しのトラックから、降りて来たのは
おそらくは、母親とその子供だろう。

「なぁんだ…。」

無意識の声に、自分でも驚いた。
バルコニーから、ちらりとお隣家族を見ていた。

まだ５、６歳だろう。
高級住宅地で有名なこの土地をわざわざ、選んで越してくるとは。
子供の年齢から、親の年齢を推測してみる。
まだ、若いだろうに。
早速ローン地獄に陥るだろう。
こんな所じゃなくて、一般の住宅街にしておけばいいものを。

いや、人の事だ。自分には関係のない話。

と、思っていたのに。
お隣家族は、次の日に我が家に挨拶に訪れた。

『柊木…央未です。』
両親に玄関先で、せっつかれて挨拶をした昨日の子供は
人見知りらしく、そっけない態度ながら俺を見て
軽く頭を下げた。

これが、俺と央未との出会いだった。