オッサンと、鬼神(後に嫁)

あきすと

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彼の心は何処。(美祢、男体です)

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夜は、眠れない。
内なる狂気を鎮めて
最低限にまでしないと。

警戒心だけは、人一倍強くて猜疑心の塊。
声を掛けるのも、躊躇ってしまうと言われる。

それは、当然の事なんだ。
いつ何時…、
それは自分が刀を腰に差してから消えない。
常日頃から、周りをよく
観察する。人の話に耳をすまし、自らは多くを語らない。
そんな少年だった。

なんて、人間らしからぬ
在り方だと。
それは、そうだ。

あの頃、自分は過去の自分にはかえれなくなっていた。

命をかけても…。
そんな、強すぎる思いが
自らをがんじがらめにして、意のままに操られるような人形になってしまわせた。

『人を守るとか言いながら、ただの人殺しと変わらない。そんなんじゃ、どのみちお前は自滅するな。』

「違う…俺は、俺はただこの國のために、力になりたいだけなんだ。」

夢の中の
誰か、は
いつからだったか?
現れるようになったのは。

顔は、靄で分からない。

声も…誰かに似ている気がするのに分からない。

俺を責めるような、
諭すようでもある声の主の夢を、何回見たか。

『お前は、もう充分に働いてくれた。見ろ、お前の後ろを。』
「後ろ…?」
『お前が歩いて来た所には血の痕がある。それは、誰のものか。』
言われるままに、足元を見た。
血だまりに、なりかけている。

「嘘だ…こんなの。」
『傷ついているのは、お前の心だ。まだ、分からないのか?』

顔は、見えないが
一瞬相手が微笑んだ気がした。

「違う…俺は…、」
『両手、見てみろ。』

両手に視線を落とす。

「っ…まさか…、いつもは直ぐに落ちるんだ、こんなものっ!」
ゴシゴシと両手の血を
拭うように力良く
擦する。

『…そうやって、擦り込んでお前の一部になるのかもしれないな。』

まくし立てるような言葉は、身体を強く揺さぶるようで。

「……」
目が覚めた。
ビクッ、と身体が震える。
浅い眠りと覚醒を
行ったり来たりする
睡眠なんか、まともには
もう出来なくなっていた。

大きく放った両手。
呼吸をすると、やけに
鼻と喉の粘膜に冷ややかな
空気が通過するのを感じる。

生きている。
だがそれだけだ。
まだ、なにも果たしていない。

『おい、起きてるか?』
廊下から声がする。
柳部さんだ。
同室なのに、まず夜は帰らない柳部さん。

俺とは違う任務を任せられて、だいたいが午前様だ。

「お疲れ様です。どうか、しましたか?」
ゆっくりと、身体を起こし
布団から出て襖を開ける。

『よう、悪いな朝から。実は今…宿の裏にな』
「…もしかして、安芸さんが来てる?」
『そう。お前オトコたぶらかして、罪だなぁ?あんまり骨抜きにするなよ、美祢。』

まさか、しかし笑えない。
用があるなら、上がって来たらいいのに。

羽織りを肩にかけ
裏口へと向かう。
何の用だろう。

『美祢、急に悪かった。』
「今、何時だとお思いで?」
戸を静かに開ける。

…!

そうだ、彼は
安芸はこんな顔をしていたな。
何というか、シャクだが…
男前だ。

『そう、邪険にするなよ…ツレない奴だな?お前は。』
「いいですから、早く用件を。」
『お前に会うのに、理由がいるのか?』

不敵な笑みを浮かべる
安芸に抱き寄せられた。
かすかに煙草の匂い、
それに混じった媚びるような特有の香り。

抗う事は、出来るはずなのに…

「アンタ、女と一緒にいたろ。よくも、そんな後にコッチに来たな?汚い手で触るな。」
グイグイと安芸の胸を押し退けて、腕から逃れる。

『汚い手…?美祢には言われたく無いな。』
「…どういう意味だ。」

一緒にするな、お前なんかと俺の思いを。

『そのまんまの意味だ。それに、女には会っていない。』

この卑怯な大人に
負けたくない。
やはり、誰も信じては
ならない。
よく目を凝らせ。

「用が無いなら戻る。」
踵を返すと
不意に安芸に手を掴まれる。

『待て。まだ、話すらしていない。』
「……。部屋、来たらどうですか?だいたい呼び出して来てサッサと切り出さないから、アンタ。」

『柳部には、聞かせたくないから、居間に降りてもらうか。』

どれだけ、気を張る
話を持って来たんだ?

朝夕、冷え込むようになって来て秋を感じる頃か。
やっと、心にも静けさが
訪れたかとホッとしていた矢先。

突然の呼び出しが安芸。
本当、読めない人だ。
とりあえず、部屋に居た柳部さんには申し訳ないけれど、居間に降りて貰って
部屋には
布団と、安芸と俺だけだ。

いそいそと、布団を三つ折りに上げて
安芸が座れるように場所を空ける。

「茶も出せないですけど、どうぞ。」
座るよう促して、出方を見る。
『茶など要らん。真剣な話だ、だからな…お前にも真剣に聞いて貰いたい。』

至極、真面目な瞳で
見据えられて背筋が伸びた。
「分かりました。で…柳部さんを居間にやってまで話したい事とは?」

無意識に固唾を飲む。
安芸にまで、聞こえなかったと思う位の静けさが
息苦しい。

『俺の…嫁になってくれないか?』





「…?」
安芸にしては、面白い冗談だ。
くすくすと笑っている俺を安芸が黙って見ている。

あぁ、いけない。
真面目な話だったんだ。
いや、いや。
これを笑わずして何を笑えと?
『そうして笑ってると…本当にお前は…』
「ははっ、だって俺は男だし。確かに、女装して任務もしたりしたけど…何だって嫁に?」

安芸も、バツの悪そうな顔で視線を外した。
『俺が世話になっている家の女将さんが…見合いさせようとするんだよ。勿論、俺はそんなつもりは毛頭無いが、無下に断るのもな。だから、祝言をあげたい人が居ると、言ってしまった。』

何と…あの安芸に?
見合い話か。
そうだ、安芸は立派な大人なんだから所帯を持っていてもおかしくない。
だから、お節介と心配をされたんだろう。

「それが、俺?それとも…ただ俺を女の代役にしたい?気持ちの無い相手を女将さんに紹介するのか。」
頭を抱え始めた安芸に
何と無く、同情を覚える。

『気持ちの無い相手?まさか…俺は、お前が特別だよ。例えお前が、そう思わなくてもな。じゃなきゃ恥を忍んでこんな頼みできない。』

いつわりの、想い人。
少なくとも安芸は俺を
想ってくれていると言う。
だけど、信じていいのか?
仮にも、祝言をあげたい相手だと伝えるんだ。

真剣らしい、安芸は。

「安芸…俺を?」
『迷惑なら、言ってくれ。確かに、おかしな頼みなんだ。だが、せっかく紹介するなら…俺は美祢を』

頬が、熱い。
きっと恥ずかしいんだ。
まさか、そんな風に思われるなんて。

「紹介された後は、俺は安芸とは…どうなるの?」

夫婦になれる訳でも無く。
けど、きっとこれからは
安芸に意識してしまうんだと思う。

『後?あぁ、そういう意味か。いや、特には。今みたいな状態に戻るだろう。じゃなきゃ、美祢も嫌だろ?』

「俺は…安芸が分からない。だから、不安だ。」
心内を吐露して、
両手で顔を覆った。

『俺の何を知りたい?言ってくれ。』
「そんな簡単じゃない…言われて、はいそうですか。って信じられないから迷ってるんだ。」

安芸、安芸には敵わないのも分かってる。

『いい加減、はっきり言ってくれ。お前は…美祢は、俺が嫌いか?』

わからない、分からない。
嫌いならば顔も見たくない。
「嫌い、だったら会わない。安芸…俺は安芸を信じたい。いつも、俺を気にかけてくれる安芸が……きっと、好きになりかけているんだと思う。」

戸惑いながら、安芸に身を寄せる。
何の躊躇いも無く
頬を撫でてくれた安芸に
自ずと笑みがこぼれた。

『美祢…お前は、誰のものにもしたくない。』
「嫁だなんて、よりにもよって俺に言うって…」
『まさか、俺もこんな形で打ち明けるとは思わなかった。』

「どうなるかは、分からないけど協力してみる。…えーっと、あなた?」

安芸は、ポカンとしてる。

なんか、おかしかっただろうか。

『やばい…。』
「どうかしました?」
『今、本気で嫁に貰いたくなった。美祢…。』

ガッ、と安芸に両肩を掴まれる。
…なんつぅ馬鹿力。

痛い、痛い!
「ちょっ、と…安芸!しっかりして。練習しただけだから。」
『こっちも練習「しないから!全く…朝から盛るな。」…』

ゴッ、と頭突きをして
少し離れる。

安芸は、額を押さえて
俺も相当痛かった額をさする。

『とりあえずは、来てくれるんだな?女将さんの方に。』
「まぁ、…乗りかかった船だから。ここまで聞いたら協力しますよ。」

大丈夫、と頷いて
安芸に心配しないようにと膝を軽く叩いた。






『まぁ…なんて綺麗な娘さんなの』
あれから、数日後
万全の支度をして
女将さんと初対面した。
安芸も、珍しく緊張しているのか…眼に生気が無かった。
「初めまして、女将さん。白島さんには親しくさせてもらっております。美祢と申します。」
玄関先での挨拶だけで
済んだのは、女将さんのお姉さんが、宿に遊びに来たからだ。
長い間話せば、ボロが出る不安があっただけに 
早めに解放されて安堵した。

『ありがとう、美祢。良かったら…家に寄っていかないか?』

安芸の家?
いつの間に引っ越したのだろう。

ついてしまった嘘の
代償が意外な所に影響したのか。
ほら、だから
嘘はいけない。

「…安芸、やっぱり嘘はいけないよ。」

『今は、確かに嘘だが…いずれお前を嫁にすれば本当になるだろ?』

時折、してやられた
と感じる発言。
不覚にも、やっぱり
安芸には…許せてしまう。
いつも、自信あり気だと思ってた安芸が、俺に気遣ってくれたり。
思い悩んでた事を話してくれて…なんだか、やっと
距離が縮まったような気がした。

安芸も、俺と変わらないような悩みがある事を知って
愛しさが心から湧き上がってきた。

「俺が、女だったら…安芸の嫁になってたかな?」
『その風体で女だったら、大変だ。お前は、男で正解だよ。じゃないと、守りきれないかもしれない。あまりに引く手数多でな。』

「…安芸も一人で暮らすなら本当に、いずれは嫁貰わないとな。任務もあるし、自分の事全部するのはキツイだろ。」

『本当、若くて可愛い嫁がいたら…少しは気持ちも華やぐんだろうが。ま、贅沢な話だな。』

安芸は、そう言って笑うけど俺には一つだけ気がかりだったことがある。

それは、いつぞやの
空振り任務の時に…
安芸に介抱してもらった恩がある事。
いつかは、礼がしたいと
思って…なかなか果たせずにいた。

「安芸さえ、良ければ…今日は俺が夕飯作るよ。」
幸い、この職に就いている物には食料が支給されることが度々あるから
安芸も、食べ切れない場合にこちらの宿に持って来てくれていた。

『そうか、悪いな。…小さい家だが勝手がいいようにはなってるはずだ。じゃあ、俺は水を汲みに行こう。』
半里程歩くと、町の外れに
何軒かの小さな家が
ぽつぽつと見えてきた。

「ここに一人では、さみしいな。」
『寂しいぞー。俺は夜に寝に帰るだけだからな。』

さみしい、なんて認めたくないと思ってた。
やっぱり、安芸は悪い人じゃないし…むしろ
良い人だ。
正直で、不器用。
大概吸っている煙草は
手持ち無沙汰なんだろう。
しょっちゅう、煙草をふかす姿を見てきたけど。
安芸の家に上がる。
と、奥の居間には、
煙草盆が置いてある。
物があまり無いのは、最近引っ越してきたばかりだからか。

「大人は、自由で羨ましいと思ってた。…そうでも無いみたいだな。」
『どうだかな、確かに自由なんだろうが…任務に身を置く時間が長いから今は自由っていう実感は無い。ゆっくり飯食う時間とかな、布団で寝れるって…結構幸せな時間だったんだって思う。』

「…だいぶ、お疲れだよな?安芸。」
『あ、まぁ…近頃は都で色々動いてるからな。』

いつまで、続くんだろうか。新しい時代ってのは
本当に迎えられるのか…。

あまりにも、先が見えない気がして途方に暮れそうにもなる。

弱音を吐かずに、よく
やっているよ。

「…俺、この仕事が終わる頃、いや…、まだ終わりがあるのかも分からないけど。とにかく、全てを掛けるつもりでいるんだ。」

台所に立ち、たすき掛けをして今しがた、安芸に汲みに行って貰った水で鍋にお湯を沸かす。

『七輪もあるから、さっき女将さんに貰った鮎焼くか。』
「飾り塩、三箇所でお願い。」
『よし、魚は焼くのまだできる方だ。』
「…串に刺すだけだぞ。アラ取らないし、鮎は手間あんまり掛からないけど美味しいよな。」

白飯を炊いて、山菜の味噌汁に卯の花炒り煮。
座卓に、料理の器や箸を並べて。
その頃には、鮎が丁度
いい匂いで焼きあがっていた。

『…本気で嫁に欲しい。』
「俺、料理は子供の頃からしてきたんだ。ずっと一人だったから。誰かの分を作るのは、やっぱり楽しみだ。」

あたたかい食事を
囲むと、やっぱり心が
ほっこりする。

『いただきます…。』

安芸は、美味しそうに
沢山食べてくれる。

なんだか、幸せな気がする。
なんでだろう?
俺は、安芸に必要とされると…すごく嬉しい。
ぽーっとする頭で
考える。

なんだかんだで、
自分は、安芸が好きなんだ。
じゃなきゃ、ここまでしない。
そうか、…最初は
嫌いだったけど。
会う度に、よく見えていなかった人柄が徐々に分かってきて嬉しかった。
優しい事も、知っている。
沢山、心配してくれてる事も。
できれば、一線を退く選択を今でも俺に勧めてくるのも。
全て、あの情が深い安芸の優しさから来ているんだろう。

そう思うと、胸が苦しくて
辛い。

「安芸…。」

『食わないのか?美味いぞ。』
箸を手にして
椀を取る。
「今日、泊まってく。」
『…布団、美祢のまでは用意してないけど。』

なんだ、案外冷静なんだな。
まぁ…俺は男で
安芸には子供みたいに思われてるから。

「そっか、悪い冗談だったかな。」
『今のは、冗談じゃないだろ。そんな顔じゃなかった。』

泊まってくって、

泊まってくって…
さっき初めて来た家で
何言ったんだ、俺。

今更ながら顔が赤くなるのを感じた。
安芸には、気付かれたくない。

いきなり、何だって
思われたかな?

「本気で言った。」
『美祢、慌てなくていい。さっきは付き合わせちまったけど…もう、いつもの美祢に戻ってくれていい。』

精一杯の気遣いが
ひしひしと伝わる。

そうか、
安芸も口ではあんな風に
言うけど。
でも、俺の焚き付けられた
気持ちは…

どこにやればいいのか。

何事も無かったように
食事が終わり、片付けをしてから安芸に挨拶をして
帰路についた。




『おい、美祢…何があった?』
泣きはらした目を、
柳部さんに廊下で見られて
隠す事も無いかと
立ち止まる。

「柳部さんに、慰めてもらうかな。」
『しかも、女物の単衣まで着て…何してたんだ?』

「俺、もう頭ん中ぐちゃぐちゃで。今なら誰だって殺れます。」

『怖いから!…、お前まさか白島さんと一緒にいたか?煙草の匂いがする。』

ぎゅっ、と柳部さんに
しがみつく。
この人は、いつも真ん中な感じがする。
それが、すごく安心する。

「俺、もう白島さんと会いたくない。だから、葵様の命は直接、柳部さんに来るようにしてもらえない?」

間にいる安芸に伝えて貰うと、顔を合わせる機会ができる。
それは、避けたい。

『…余程だな。分かった。なんとかしよう。白島さんの仕事が減るから美祢の異変に勘付かれる可能性があるが…いいのか?』

そんなのは、どうだっていい。
今は、単純に顔が見れない。
「今なら、仕事…多少の無理は効くけど。」
『そうか、だが…今晩はとりあえず休め。気持ちが昂りすぎてる。お前には、やってもらう事が山積みだ。期待してるぜ?』

ふらふらと、身体の芯を無くしたような歩みで階段を上がる。
柳部さんが、敷いてくれたであろう自分の布団に
倒れ込む。

ゆっくりと、目をつむる。
黒い視界の中に
透明な珠のような物が
ふわふわ舞い降りる。

それは、紫に変わり
最後は見えなくなる。
その頃には、もう眠りについているという事だ。


夢さえ見ないくらいに
よく、寝ていたと思う。
下から上がってくる
米が炊き上がる匂いで目が覚めた。

少し冷静になって
軽くなった頭で昨日を振り返る。

安芸、安芸には
やっぱり近づけないのかな?
悲しくて、気が重い。
任務があるかもしれないのに。

こんな思いは、明らかに
初めてで。心ばかりが先を歩くような…不思議な
焦燥感がある。

とにかく、何かをしていないと気が滅入る。
ぼーっと天井を見上げる。
鳩が鳴いている。

伝令がさっそく入ったのかもしれない。
早々に身仕度をして、
次に備えよう。
いそいそと着替えて、階下に行くと台所に立っていたのは、柳部さんと葵様だった。

「⁉︎」
『おはよう、美祢。待ってろ、今朝餉が出来たとこだ。』
な、なんで葵様が
こんなところで…
「おっ、おはようございます。…えぇ?柳部さん、どういう事だ?」

聞いてみれば、
夜に集まって任務を語るより朝餉の後にした方が
他の誰かに聞かれたりもしないだろう、と。

確かに、朝から話すとは
自分も思わなかった。
まさか、三人で食事をするとは。

間近で見る葵様は
麗しく、気品があって
この人が話さないと
水を打ったように静かすぎる。それだけ、切り出すには緊張感がある。

『朝から、バタバタとすまなかったな。美祢が決心したと聞いて…居ても立っても居られなくてな、私に出来ることなどあまり無いが、こうして近くに居たいと思ってな。』

葵様に、お目にかかれるなんて…盆と正月が一変に来たような話だ。本当なら。
嬉しさも、確かにあるけれど葵様に直接命ぜられる
任務を考えると、
身が竦む思いだ。

「葵様、もう覚悟は出来ています。仰って下さい。」
もう、引き返せない。
分かってる。
もしかしたら、これで
最後になるかもしれない。

そんな大一番のような。

慈愛に満ちた、神仏かと見まごうばかりの笑顔で
葵様は、言った。






『                                          。』
身の毛もよだつような、
囁き。
皆は、知らないが
彼は時折…死神のように見える。

本質は、どちらかは
定かではない。が、
命を奪う事も、与える事も力として兼ね備えているようだ。

『…美祢、頼んだぞ。もちろんお前の力を私は知っている。微力ながらお前は、私の持つ…もう一つの顔が見えるようだな。さすがの洞察力。』


さぁ、お前の手で…新たな時代を切り開くのだ。
と、嬉々として言われた。

今考えると俺は、あの頃から葵様の傀儡になろうとしていたんだ。

戻れなくなる、
おそらく。
誰かに、止めてもらいたかった。

それは、誰だったか…
今はもう
考えたくも無いんだ。
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