【MellowBitter】絡めて、結わえて、ほどかないで。

あきすと

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②違和感

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ゆっくりと、陽が落ちかけて行く。でもまだ、明るくはある。
初夏が近付いて来る。
この夏にはコンサートもあるから、レッスンにレコーディングにリハにと
予定が目白押しだ。

日頃のメンテナンスも欠かせない。いかに帰ってからリカバリーできるかが
重要になって来る。

自分は、恵まれているのだと思う。
家に帰れば、大切な人が居るし…仕事でも一緒になる。

あー、駄目だ。いすかの事を考えると顔が勝手に
ニヤけようとする。
どんだけ好きなんだよ。

家に帰る途中で、つい手土産を買ってしまう。
寮に戻って来て、部屋のチャイムを鳴らした。
すぐに、ガチャッとドアが開いて
「…え、だれ…?」
蜜色の髪が、目の前に飛び込んで来た。

いすかの髪色は、おちついた藍色のはずだ。

『若波、おかえり!』
あぁ?声は、いすかだよな。

「ウイッグ…?」
あっぶねー、デザートを箱ごと落っことすところだった。
『…ちょっとね、訳アリなの。』

はーーーーーーー、クソ可愛い。
このアイドル、本物すぎる。
ウィンクがめちゃくちゃナチュラル。

ってか、髪型がアホみたいに可愛い。リボンの通った編み込みで
シニヨンが両サイドに揺ってある。
「しゅき…。可愛い、くっそ好き!!」
あーーーーー、俺の推しがしんどい。
感情をかき乱してくる。

俺の心臓弄ぶの、ほんとにやめてもらって良いですか?

『入りなよ~、ご飯もう出来てるよ。』
「!?いっ、いすか…おまえ、女装してんじゃん…」
ついに、目覚めてしまったのだろうか。
メスとして…。

『これは、おまけみたいなもの。髪型が重要なんだよね。』
どういうこっちゃ?
とりあえず、靴を脱いで家の中に入る。
「今日の晩飯、なに?」
『んっと、筑前煮と…ブリの照り焼きと、白和えと、お味噌汁♪』
「しっぶ…。いや、和食は好物だけどさ。ギャップがすげーって、」

意外と古風なところもあるから
また良いんだよなぁ。

そうだ、冷蔵庫に入れておかないとな。
手土産を箱ごと冷蔵庫にしまう。
『美味しいの、買って来てくれたの~?』
「まぁな。お前の事考えてたら、ついつい色々と買っちまう。」
いや、ほんと何で女装してるのか謎だけど…
可愛いし、似合うから全然違和感ない。

『俺も、スーパーで買い物してるとね、若波の好きなものばっかり見てるよ?』

「そのカッコで言われると、頭が混乱する。」
『だよね~?後で説明するからね。さて、食べちゃおっか』
いすかに促されて、洗面所に行って手を洗って来た。
席につくと、正面にいすかが座っているから
今更、どぎまぎしてしまう。

いつものエプロンが、妙にマッチしていて
ただただ可愛いとしか感じない。

玄米ご飯をよそった茶わんを、手渡される。
栄養面の細かい部分は、いすかが食事でも気に掛けてくれる。
一緒になって手を合わせて

『「いただきます」』

いすかが支えてくれるから、俺も頑張れる。

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