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①デート?
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許されない恋だった。
紅く小さめな唇が、どこか人形みたいで
息を呑む。
白磁のように滑らかな肌は、
触れれば手に吸い付くに違いない。
昔々、水槽の中で泳ぎながら
暮らしていた金魚は
ある日突然、地面に投げ出された。
ゆっくりと、ゆっくりと
息を詰めていく様を
見つめていた。
「生まれ変わったら、また共に生きよう?武蔵。」
赤い金魚の名前は、俺の兄と
同じだった。
『清くん、…ね、大丈夫?』
ぺちぺちと頬を軽くはたかれる。
胸が重い。
「~…え?むーたん?」
『うなされてたからさ、ゴメンね?起こしちゃって。』
確かに夢見は悪かった。
いや、最悪だったかもしれない。
よりにもよって、今日は武蔵と
デートの日だってのに。
「…今日なんだよな?映画館だっけ」
自分で手配していた、映画のチケットの事を
思い出す。
内容は、ヒューマンドラマだから
涙もろい武蔵はもしかしたら
場内で泣くかもしれない。
起きてすぐに身支度をしてから、
武蔵と朝食をとる。
久しぶりに、有給まで取ってくれて
俺としてはかなり嬉しかった。
昼間っから公に武蔵とデートできるなんて
こんな暁光も、生きていればあるのかと
喜んだ。
『お昼は、あっちで食べるんだよね?』
「そう、午後過ぎに上映のだからゆっくり食べられると思う。」
厚焼き卵を食べていた武蔵が、じいっと
こちらを見てくる。
『ちゃんとデートプランまで考えてくれたんだよね。…嬉しいなぁ。』
朝から武蔵の、ほの甘い笑みを見られる
だけで心が熱くなる。
「…ん?」
何だ、どこかから音がする。
『…電話?鳴ってない?』
やっぱりか。
何となく自分の携帯だろうと思って
慌ててすぐに自室に向かった。
『……清くん。』
はぁーーー、最悪。
一応は仕事の電話だった。
出版者関係の知人からで、急遽
週刊誌の表紙を描いてくれないか
と言う依頼だった。
いつも描いてる先生が、どうやら
体調を崩して入院したらしく。
俺としても、その先生とは面識があり
むげにも出来なくて
引き受ける事になった。
しかも、あまり時間がない。
紅く小さめな唇が、どこか人形みたいで
息を呑む。
白磁のように滑らかな肌は、
触れれば手に吸い付くに違いない。
昔々、水槽の中で泳ぎながら
暮らしていた金魚は
ある日突然、地面に投げ出された。
ゆっくりと、ゆっくりと
息を詰めていく様を
見つめていた。
「生まれ変わったら、また共に生きよう?武蔵。」
赤い金魚の名前は、俺の兄と
同じだった。
『清くん、…ね、大丈夫?』
ぺちぺちと頬を軽くはたかれる。
胸が重い。
「~…え?むーたん?」
『うなされてたからさ、ゴメンね?起こしちゃって。』
確かに夢見は悪かった。
いや、最悪だったかもしれない。
よりにもよって、今日は武蔵と
デートの日だってのに。
「…今日なんだよな?映画館だっけ」
自分で手配していた、映画のチケットの事を
思い出す。
内容は、ヒューマンドラマだから
涙もろい武蔵はもしかしたら
場内で泣くかもしれない。
起きてすぐに身支度をしてから、
武蔵と朝食をとる。
久しぶりに、有給まで取ってくれて
俺としてはかなり嬉しかった。
昼間っから公に武蔵とデートできるなんて
こんな暁光も、生きていればあるのかと
喜んだ。
『お昼は、あっちで食べるんだよね?』
「そう、午後過ぎに上映のだからゆっくり食べられると思う。」
厚焼き卵を食べていた武蔵が、じいっと
こちらを見てくる。
『ちゃんとデートプランまで考えてくれたんだよね。…嬉しいなぁ。』
朝から武蔵の、ほの甘い笑みを見られる
だけで心が熱くなる。
「…ん?」
何だ、どこかから音がする。
『…電話?鳴ってない?』
やっぱりか。
何となく自分の携帯だろうと思って
慌ててすぐに自室に向かった。
『……清くん。』
はぁーーー、最悪。
一応は仕事の電話だった。
出版者関係の知人からで、急遽
週刊誌の表紙を描いてくれないか
と言う依頼だった。
いつも描いてる先生が、どうやら
体調を崩して入院したらしく。
俺としても、その先生とは面識があり
むげにも出来なくて
引き受ける事になった。
しかも、あまり時間がない。
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