上 下
3 / 8

③翻弄

しおりを挟む
「こっちのご馳走ってコト?」
『もぉ~…じゅるじゅるヤメテ、恥ずかしいよ。』
お子様フレンチキスで終わらせる訳
無いっての。

耳まで赤くした武蔵が、くったりとして
俺の肩にもたれ掛かっている。

「え~、むーだってお口の中トロトロにさせてる癖に…?」
『それは…、清くんがえっちなコト考えてるの分かっちゃうから。』

意識の共有まで俺と武蔵は
出来てしまう。
だから、ドツボなんだと思う。

「良いよ、俺のせいにして…武蔵、狂いそうなくらいに脳も心も追い付かない体験させてやる。」
正気じゃ無いくらいに、武蔵を想う。
もうどこにも、誰にもやらない。

未来永劫、俺のものだから。

深く口付けながら、閉めたドアに
武蔵を押し付けてキスを交わす。
一気にタガが外れていた。
武蔵もこうなる事を理解して
来てくれたんだろう。

長い睫毛を細かく振るわせながら
瞳は解けそうに潤んでいる。

濡れてるのが分かる。

心も、身体の奥も。

媚びた視線や仕草もないけれど
武蔵はごく自然と俺を求めてくれる。

エプロンの裾を捲り上げてのぞく
むちっとした太腿がただただ
破廉恥だ。

『やぁ…っん、見ちゃ駄目…っ』
写真に撮りたい。
朝はこんなの履いてなかったはずなのに
いつの間に着替えて来たんだ?

「クッソえろいお兄チャンだな?弟たぶらかすのが、辞められないと来たモンだ…」
『そんな事、…無い』

きゅぅっと食い込む生地を、下ろそうかと
手を伸ばせば
「止めんのかよ」
静かに制止させられる。

『あのね、僕教えてもらったんだ。精気って特別美味しいんだって。』

「はぁ?誰に…」
『そんなの、誰でも良いよ。好きな人の精気はきっと格別なんだよね?
だからね、清くん今日とっても頑張ってたから…僕のコト食べちゃって良いよ…。』

しおりを挟む

処理中です...