①天乃屋兄弟のお話

あきすと

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AFTER

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朝、目を覚ますと隣には当たり前の様に兄が眠っていて
少し柔らかい表情に思えのは、気のせいでは無いはず。

俺は、兄を起こさない様にそっとベッドを出る
つもりだった。けど、腕を兄に捕まえられて
『まだ早くないか…?』
俺は振り向き、
「兄貴みたいに、ずっと寝れないよ。…おはよ。」
照れくさい気持ちはありつつ、笑みを向けた。

『無視されるかと思ったけど、…おはよう。何にも変わらないだろ?』
いや、充分変わってるよ…俺の中ではね。
でも、兄は自然で。むしろ、前よりか俺が兄に対するフィルターが
強くなった気がして。

「朝から、あんまりドキドキさせないでね?今からこんな調子だと
身も心も、もたないよ。」
兄からのキスを受けて、背中を撫でて返すと
『俺も、余裕ないからな。あんまり可愛く煽らないで?』
照れくさそうに笑っている。

そんなつもりは、全くないし。
でも、心のどこかでは究極、兄は自分を選んでくれる気がしたり。
「…ぁー、うん。今やっと思い当たった。俺、兄貴が心のどこかで自分の事を」
『悪い事じゃないと思う。それは、星明の心の中に俺と言う存在がちゃんとあるって事だし。』
「うん…。全部言わなくても分かるんだよね?良かった。」

夜中の出来事は、結構後始末が大変で。

『俺もたまには、早く起きるかな。手伝う事もあるだろうし』
「シーツは外に干せないから。少し中に干せる場所があって良かったよ。」
『時期的にも、梅雨だからな。気にしなくて大丈夫だと思うけど。』

今日は、朝から小雨が降っている。裏庭の紫をした手毬あじさいが、雨に濡れて
少し重そうに見えた。

「今日、肌寒いね…」
『しばらくは、こんな気温続くだろうな。ぅわ…脚冷たいな星明。』
兄のベッドに戻って、くっついてみる。

「えへへ、こんな風には…した事なかったよね。俺にとってやっぱり、兄貴は
遠かったんだと思う。」
『一番近くに居ながら、そんな風に思ってたのか?』
ブランケットを手繰り寄せて、チラッと兄を見上げると
瞳から、何となく表情が分かる気がした。
「だって、兄貴はすんごく目立つし。地元でも有名でしょ?俺の世代でも知ってる人は沢山いるし
やっぱりよく話を聞かれたりもしたし。特別なんだよね。」

『俺は俺、星明は星明だから。そんな気にする事もないのに。』
「うん。でも、俺ってば随分と理想が高くなっちゃったよね。だって、水準が
兄貴になってるんだもん。」

ほぼ完ぺきに近い兄貴が側に居て、俺の生活をずっと
守って来てくれた様な人なんだから。
理想と言っても自然だろうし、今までの俺の世界ってのは
兄によって作られて、守られていたんだと気が付く。

『俺ー?でも、当たり前だと思ってる。どう考えたってウチの親の
無茶には、頭に来たけど。結果、俺もちゃんと星明が成人するまで
頑張ろうって思えたから。』
寄り添い、抱き締めあうと心が熱くなる。
「自慢の兄貴だよ…。だからこそ、いつかは誰かと…って」
『俺は、自分の家族が…星明が大事で。少しずつ成長と共に、俺から離れて
いくのかと思うと切なくて。』
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