①天乃屋兄弟のお話

あきすと

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芽生え

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後悔だけは、しない様にと思っていたけど存分にしていた。
風呂から出た星明の世話を焼いていると、子供の頃に戻った様な
錯覚に陥る。

親が居ない時は、星明の世話ばかりしていた。
2人しかいないのだから当たり前だと思っていた。

でも、ある日を境に俺は星明と入浴するのが嫌になったんだ
(今ならむしろ平気なんだけど)
二次性徴期にさしかかると、体は大人に変化しようとしているのに
心がまだ追い付かなくて。

些細な事で、なぜかイライラしていたのを思い出す。
年下の星明には伝わらないだろうと思いつつ、辛く当たった
事もある。

でも、星明は俺の側から離れては行かなかった。

家の中で出来る事を増やして、ゆっくりといつかは
俺が落ち着くのを待っていたのかもしれない。

星明の出来る事(裁縫や料理、家の事)は、哀しいけれど俺が一人にしてしまった時間を
優しく埋めていてくれたんだ。

『…兄貴?大げさすぎるよ。俺、何ともないのに。兄貴がそんな顔してたら俺も
辛くなっちゃう。』
星明が、俺の眉間を指先で軽く押す。

「横になってなくていいのか?」
もう、台所に立って炊事をしだした星明に俺は背後から
まとわり付いていた。

この背中がなぁ、意地らしいんだよ。

『…じゃ、こう言えばいいの?すーんごくしんどかったし、痛かった。どうしてくれるの?
責任取ってよね、兄貴♡』

うわぁ、やけにリアルな言葉たちに俺は意気消沈した。
多分、こっちが本当なんだと思う。

「せ、責任は…一生取り続けるくらいの覚悟はある。」
『…じゃ、いいでしょ?何をクヨクヨしてるのさ。兄貴らしくも無い』
こういう所だよな、俺が星明には敵わないって思うのは。
朗らかな笑顔を向けられて、しまいには頭を撫でられれば
俺は、台所の椅子に座って読みかけの本を読むくらいしか思いつかなかった。

そう言えば、星明にネックレス返したっけ?
少し気になって、自室に見に行く。
昨日の夜、結構なし崩し的だったからなぁ…ちゃんと丁寧に
扱えていたか、怪しい。

あの金のチェーンはかなり繊細な作りとなってるから
切らしでもしたら大変だ。
ナイトテーブルの小物入れに、掛かる星明のネックレスを
確認してホッとした。

手にした瞬間、ひやっと冷たくて外した瞬間を思い出す。

なんで、もう少し待ってやれなかったのかと自責の念がまだぐるぐるしてる。
しょうがない。星明も俺も、あれ以上は待てなかったと思う。

手のひらに、絡まない様にチェーンをのせて階下に戻る。
だいたいいつも通りの時間の朝食を用意してくれた星明には
本当に頭が下がる。
ゆったりとした朝食の時間を終えると、またすぐに星明は動き出すから
その前に

「ネックレス、返すの忘れてた。」
手招きをすると、星明は『あっ、』と言いながら俺の元に来た。
「あれー?試されてる、俺…」
星明は俺と向かい合って、俺を見上げる。
『兄貴は、外すのも付けるのも上手だからね…』

確かにそうなんだけど、感覚が遠くて難しいんだよな。

「今日は、無理しなくていいから…もう少し寝てればいいのに。」
『ヤダよ…今は一人になりたくないんだもん。』
…無理、可愛い。はー、何でこんなに
顔、って訳でも無いんだろうけど(顔が良いのが当たり前になってないか?)

性格が、なぁ。
「怒ってない?」
『何を?』
洗い物を片しながら、星明は時折俺の方を見て微笑む。
「もっと、準備しとけば良かった」
『…まぁ、そうかもね。俺もまさか、初めてで…使わないとは思わなかった。』
「一応、持ってたんだけど。」

さすがに、元カノ用に買ったとは言えず。
結局、使う程も付き合いしなかったけど。
『知ってるよ?兄貴の部屋、換気に入った時に前、見つけたし。』
「いまだ、新品です…」
『聞いてないから、あのね?兄貴。俺は今更…兄貴の過去は問わないよ。
だから、そんなに俺を腫物を扱うようにしないでね。』


ごもっともで…。
やっぱり性格も好きなんだよな。意外とアッサリしてるし。
芯があるんだよな。

「星明~…ダメなお兄ちゃんでゴメン」
『あは、そうだね…兄貴は本当にどうしようもないお兄ちゃんだよ♡いくら好きでも、
弟とえっちしちゃ、まずいでしょ?』
「何でそんな事言うんだよ、やっぱり…嫌、だった?」

星明は、目を伏せて
『だって、この体はもう俺一人のものじゃ無くなっちゃったんだよ。嬉しいけど。』
俺は、星明を抱き締めながら子供みたいに甘えてる。
星明は優しく、俺の背中を撫でるから。
余計に離れられないんだ。
「怒るカモだけど、俺やっぱり星明と結婚したい。」

昔から、星明は結婚に対して強い憧れがある事を知ってて言う。
『…兄貴…ふふっ、ありがとう♡でも、俺は結婚するなら加賀さんみたいな人としたいかなぁ。』

何となく、そんな気はしてたけど。
まさか、星明の口から直接言われる日が来るとは。

「ショック…、俺、昔からずっと加賀には勝てないし。」
『冗談だよ。でも、そうだね…兄貴は案外頼りになるし、優しいし。何と言っても顔が良いからなぁ。』
「俺、好きな人があんまりできた事無いけど。星明には、特別だ。」
きっと、俺が言わなくても伝わっているんだろうけど。
知ってて欲しい、禁忌を犯してまで星明に自らを刻み付けたい程
想ってる事を。

『朝から、ほんと熱烈なんだから。聞いてるコッチが恥ずかしいよ。』
星明は少し背伸びをして、俺にキスをした。
無意識に腰に手をまわして、支えると長いまつ毛を震わせながら
唇を薄く開く。

この、情緒の持って行き方を星明は無意識下でしているんだとしたら
俺はやっぱり弄ばれているのかもしれない。

唇を重ねながら、小さな吐息が漏れる。
星明の今まで聞いた事の無かった声に、今でも心が動かされる。
『…っ…ダメ、キスすると…したくなっちゃう…♡』
こんな言葉、どこで覚えて来るんだろうと背中に嫌な汗が伝った。

「星明、それはチョロすぎ…」
かくん、と力が抜けて俺にしがみつく形になると
俺は星明のエプロンの肩ひもをずらさせる。
『…胸?』
気付かれてしまったみたいで、星明はトロンとした瞳で
俺を見つめる。
「そう、」
『でも、俺の…小さいよ?いいの?…っ…ん…♡』

星明の薄い胸の突起は、控えめで小さくて可愛い。(それがエロい)
俺が突起を口に含むと、眉根を寄せながら切ない声を上げる。
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