①天乃屋兄弟のお話

あきすと

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煩悶

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その日の夜、午後に兄が言った言葉が気がかりで自室で
お布団に入っても、ソワソワしながら寝ようにも寝付けないでいた。

兄が何時に来るのかも分からないし、色々と準備をしたりとか
気をすり減らしてはいたけど、一向にドキドキがおさまらないし
眠気が来ない。

こんな時こそ、兄から貰ったクマの縫いぐるみを抱き締める。
俺は、どうしたらいいんだろう?
何したらいいんだろうとか、そんな考えばっかりが頭にあって
考えるのも疲れた頃。

何時かも分からないけど、静かな気配がして恐る恐る反対側を向くと
兄が立っていた。
ゆっくりと屈んで、俺の髪を優しく撫でる。

『来る?』
とだけ、控えめに聞いて来る兄が違う人みたいに思えた。
いつも以上に神秘的って言うのかな?
全然、抵抗も無くなっていて俺は布団からゆっくり這い出る。

『縫いぐるみは、いい?』
「…見せられないよ。」
と、俺が言うと兄は静かに笑って部屋を後にする。
2階への階段を上る足取りが重い。

何かを忍ぶようにつま先で歩きながら兄の部屋に案内されると
薄く、兄の匂いがした。
これだけで、俺はもう寄ってしまいそうなのに。

膨らんでいく三日月が、夜を静かに見守っている。
夜の世界は、余計な音が無くて感覚を研ぎ澄ますのに丁度いいと
兄は言う。

ベッドの横の方にあるナイトテーブルには、見慣れない物が置いてあって
一瞬兄の顔をジッと見てみたけれど。
『必要なものしかないから、大丈夫。』
ここは、兄を信用してベッドに座る。結構、ラグジュアリーな部屋だから
妙に気持ちが高揚する。

綺麗なデザインの枕には、大好きな兄の匂いがして
クラクラしてしまいそう。
「月夜…、」
普段はあまり呼ばない、兄の名を呼ぶと少しだけ気持ちが波立つ。
兄も、それは同じだったようで。
俺の隣に来て、大きな掌で頬に触れて来た。

そのままの流れで、キスを交わしていく。
子供みたいなキスとは、全然違う大人のキスで
上手く息継ぎも出来ないかと思ったけど、思い切り抱き寄せられて
口内に兄の舌が滑り込むと、まるで何かのタガが外れた気がした。

口の中が、こんなにもくすぐったくって気持ちいいって知らなかったから。
顔、見られてるのかなぁ…って思いながらそっと目を薄く開けると
「!?…っ…は、」
兄は多分、目をつむってなかったっぽい。
俺ばっかり、子供みたい?なんて思いながら気まずくてまた目をつむった。

ぱたっと、後ろに倒されて。ちゃんと頭に手を添えながらする所が
好き…だとか思ってると
パジャマのボタンを外されていく。
部屋自体は、暑くも寒くも無い。
前を開かれると、嫌でも意識は兄と自分の体に向けられてしまう。
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