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11 シスコン弟、登場
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カールの冷たい物言いに、場の空気が静まり返る…かと思いきや。
「カール、心配してるなら心配してるって言わないと、サラちゃんには伝わらないぞ~?」
ルクールがカールを小突きながら言う。カールはぽりぽりと頭を掻いて、小さくため息をついた。
「だめですね。どうしても誤解されるような物言いをしてしまいがちです」
あ、本当に心配してくれてたんだ。
『カールはツンデレ設定にしたんだけど、ツンが分かりにくすぎて普通に責められてるのかと思っちゃうね』
神様は「やれやれ」といった様子で言う。
「平民出身のあなたに、貴族としての常識を求めるのは酷でしょう。侯爵家に引き取られてからまだ日も浅い様子…。誰か、側について常識を教える存在が必要ですね」
「それなら俺にお任せください!」
突然、生徒会室のドアが開け放たれた。そこに現れたのは、人間年齢12歳ほどのマッチョな少年。…マッチョな少年?
「か、神様…!あの子、攻略対象ですね?!私の義理の弟ですね?!なんですかあの素晴らしすぎる筋肉は!まだ少年でありながらもうほとんど完成されています。しかし成長の余地を残しており、ああ…!これからどれほど筋肥大するのでしょう…トレーニングを積んだ後の姿が楽しみです」
『サラ、興奮しすぎてンモンモ言ってるぞ!馬言語やめて!!しかしお前の言う通り…彼も攻略対象だ。名前はサーネプチューン』
サーネプチューン。彼は今…つまりサラが死ぬ直前、一番波に乗っていた種牡馬だ。現役時代は短距離路線の絶対的王者として君臨し、海外のレースも勝った。その時点で彼の馬生は輝かしいものとして語られていたが、種牡馬入り後の快進撃といったらもう!
初年度産駒からG1勝利馬を複数輩出しただけではなく、そのうちの一頭は歴史を塗り替えた名牝であった。
「なるほど、ネプ君でしたか…どうりで素晴らしい筋肉…」
サラの言葉は聞こえていなかったようで、ネプチューンは彼女に駆け寄って声をかける。
「お姉様!俺に毎日お手紙を送ってくれるとお約束しましたよね?届く気配がなかったので、自ら取りに来てしまいました!」
お手紙を送る約束をしていたなんて知らなかった。いやしかし、今日は入学して2日目である。
「ネプ君…私、まだ入学して2日しか経ってないんです!頻繁に詳細なレポートを求める一口クラブの会員みたいなこと言わないでください!」
『だから!競馬界の闇に触れるのやめて!』
ネプチューンは、小首をかしげてぱちぱちとまばたきをする。少年の姿であることも相まって純朴な表情に見えた。
「一口クラブ?っていうのはよくわからないんですが、お姉様は俺のものですよね?それなのにどうして、頻繁に詳細なレポートを求めたらだめなんですか?」
お姉様はネプ君のものではない。
しかしその言葉を聞き、ふと記憶がよみがえる。誰かに優しく撫でられながら、「僕のサラ」と言われた記憶。
おぼろげだった声が、だんだんはっきり思い出せるようになってきた。若く、信念を持った青年の声だ。
あなたは誰なの?どうして私は、あなたのことを思い出せないの?
「それより、お姉様。侯爵家の養子歴が長い俺が、お姉様に貴族のいろはをお伝えします!おはようからおやすみまで、ゆりかごから墓場までお供いたします!」
ネプチューンの元気いっぱいな宣言で、現実に引き戻されたサラ。
「お供は一日5分くらいでいいのですが…でも、そうですね」
これまで起こった様々な出来事を思い返しながら、サラは言う。
「私も貴族のなんたるかを学ぶべき時が来たのかもしれません…」
『貴族うんぬんより、人間のなんたるかを学んでほしいんだけどね…』
神様がまた何か言っている。サラは最近、スルースキルを身に着けた。
「カール、心配してるなら心配してるって言わないと、サラちゃんには伝わらないぞ~?」
ルクールがカールを小突きながら言う。カールはぽりぽりと頭を掻いて、小さくため息をついた。
「だめですね。どうしても誤解されるような物言いをしてしまいがちです」
あ、本当に心配してくれてたんだ。
『カールはツンデレ設定にしたんだけど、ツンが分かりにくすぎて普通に責められてるのかと思っちゃうね』
神様は「やれやれ」といった様子で言う。
「平民出身のあなたに、貴族としての常識を求めるのは酷でしょう。侯爵家に引き取られてからまだ日も浅い様子…。誰か、側について常識を教える存在が必要ですね」
「それなら俺にお任せください!」
突然、生徒会室のドアが開け放たれた。そこに現れたのは、人間年齢12歳ほどのマッチョな少年。…マッチョな少年?
「か、神様…!あの子、攻略対象ですね?!私の義理の弟ですね?!なんですかあの素晴らしすぎる筋肉は!まだ少年でありながらもうほとんど完成されています。しかし成長の余地を残しており、ああ…!これからどれほど筋肥大するのでしょう…トレーニングを積んだ後の姿が楽しみです」
『サラ、興奮しすぎてンモンモ言ってるぞ!馬言語やめて!!しかしお前の言う通り…彼も攻略対象だ。名前はサーネプチューン』
サーネプチューン。彼は今…つまりサラが死ぬ直前、一番波に乗っていた種牡馬だ。現役時代は短距離路線の絶対的王者として君臨し、海外のレースも勝った。その時点で彼の馬生は輝かしいものとして語られていたが、種牡馬入り後の快進撃といったらもう!
初年度産駒からG1勝利馬を複数輩出しただけではなく、そのうちの一頭は歴史を塗り替えた名牝であった。
「なるほど、ネプ君でしたか…どうりで素晴らしい筋肉…」
サラの言葉は聞こえていなかったようで、ネプチューンは彼女に駆け寄って声をかける。
「お姉様!俺に毎日お手紙を送ってくれるとお約束しましたよね?届く気配がなかったので、自ら取りに来てしまいました!」
お手紙を送る約束をしていたなんて知らなかった。いやしかし、今日は入学して2日目である。
「ネプ君…私、まだ入学して2日しか経ってないんです!頻繁に詳細なレポートを求める一口クラブの会員みたいなこと言わないでください!」
『だから!競馬界の闇に触れるのやめて!』
ネプチューンは、小首をかしげてぱちぱちとまばたきをする。少年の姿であることも相まって純朴な表情に見えた。
「一口クラブ?っていうのはよくわからないんですが、お姉様は俺のものですよね?それなのにどうして、頻繁に詳細なレポートを求めたらだめなんですか?」
お姉様はネプ君のものではない。
しかしその言葉を聞き、ふと記憶がよみがえる。誰かに優しく撫でられながら、「僕のサラ」と言われた記憶。
おぼろげだった声が、だんだんはっきり思い出せるようになってきた。若く、信念を持った青年の声だ。
あなたは誰なの?どうして私は、あなたのことを思い出せないの?
「それより、お姉様。侯爵家の養子歴が長い俺が、お姉様に貴族のいろはをお伝えします!おはようからおやすみまで、ゆりかごから墓場までお供いたします!」
ネプチューンの元気いっぱいな宣言で、現実に引き戻されたサラ。
「お供は一日5分くらいでいいのですが…でも、そうですね」
これまで起こった様々な出来事を思い返しながら、サラは言う。
「私も貴族のなんたるかを学ぶべき時が来たのかもしれません…」
『貴族うんぬんより、人間のなんたるかを学んでほしいんだけどね…』
神様がまた何か言っている。サラは最近、スルースキルを身に着けた。
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