過負荷

硯羽未

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第29話 建設的な意見

29-3

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「いちいち目を動かすなって」
「や、なんか意表を衝かれたんで」
 話がなかなか進まない。少しばかりいらっとして、俺は箸を置く。

「単刀直入に聞くけどよ。……俺とやりたいのか?」
 きょとんとされた。
 少なからずびっくりしているように見えた。何をそんなに驚くことがあるのだろう。つい一昨日まではしてたんだろうに。壱流は数秒考えてから、
「やりたいって言ったらどうすんの、竜ちゃんは」
 微妙に首をかしげ、肘を突いた。

 俺の頭の中を見るように向けられる視線。俺が聞いているのに、どうして逆に質問されるのか。俺の対応によって答えが変化するのだろうか。そんなのはぶっちゃけた話ではない。壱流の希望を聞きたいのに。
 けれど今度は俺が考える番だった。
 ……考える、ことがあるだろうか。
 四度目の俺は、寝てみたところで悪い方には転ばないと言っていた。だがクリア出来るかわからない問題がある。

「勃つかどうかわかんねえ」
「さっきはがちがちだったけどな」
 妙な返しをされて、ふと止まる。それは、あれだ。欲情とかは関係ない、単なる朝の生理現象を言ってるのか。
 ていうか、何故がちがちだったのを知っている。まったく気づかなかったが、確認されていたりするのか。
「……勃ったら、俺とする気あるんだ?」

 昨日より妥協的になっている俺に気づいたのか、壱流は面白い物を見るような目でこちらを見た。その視線になんだか恥ずかしくなってくる。言わなければ良かったかもしれない。
 だが折角ここまで言ったのだから、最後まで言ってみようか。意思が鈍る。
 とか思っていたら、壱流がおかずに箸を伸ばしながら、しょうもないことを呟いた。

「朝勃ちついでに、やっときゃ良かったかな?」
「……人が建設的な意見を述べようとしてる時に、なんだってそういうことを」
「建設的? 俺と寝ることが?」
「じゃなくて! 俺は! おまえを理解しようと思ってんだよ」
 思わず声がでかくなった俺に、壱流は黒い目を見開いて、少ししてからどこか嬉しそうに微笑んだ。
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