転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴

文字の大きさ
256 / 324
第6巻第2章 竜騎士闘技会

予選終了とマヤの暗躍

しおりを挟む
 マヤたちは闘技場へと続く通路で、次の試合内容について話し合っていた。

「マヤさん、今回はどうするんですか?」

「そうだなあ、今回は私以外で頑張ってもらおうかな」

「マヤさん以外で、ですか」

「うん。さっきは私一人で倒しちゃったし、オリガたちも他の村の代表と戦っておいたほうがいいと思うんだよね」

 竜騎士闘技会は、村ごとの代表団同士で戦う予選と、上位2つの村の代表団の団員で行うトーナメント形式の本戦に分かれている。

 予選を勝ち進むだけならマヤがひたすら相手を倒し続ければいいだけだが、本戦のことも考えるなら、全員1度は戦っておいたほうがいいだろう。

 各村の代表は8名で、ミルズ村の場合はマヤ、オリガ、カーサ、ウォーレン、ダンカン、その他3名のドラゴン使いだ。

「わかりました、やってみます」

 オリガが代表して答えると、他の選手たちも一様に頷く。

 ダンカンたち半数の選手からすればマヤはよそ者以外の何物でもないのだが、マヤの実力を知ってからは自然とマヤをリーダーとして認めてくれていた。

 ということで、マヤ達ミルズ村代表団の第2試合は、前に出たオリガたちと、後ろで見守るマヤ、という形で始まった。

「何だお前ら! さっき大暴れしてたやつはやらねえってのか!」

「ふざけんな! 全力でやりやがれ!」

 案の定、舐められたと思った対戦相手から、マヤたちへと怒声が浴びせられる。

「マヤさん、なんかお相手さん怒ってますけど……」

「いいのいいの、気にしない気にしない。ささっ、さっさと始めよう。実況さーん」

 あからさまに一人戦う気のないマヤの姿にその意図を測りかねて黙ってしまっていた実況は、マヤの言葉で自分の仕事を思い出す。
  
『おっと、失礼いたしました。それでは、試合開始!』

「なめた真似しやがって! 行くぞ、まずはあのダークエルフの女だ!」

「「おうっ」」

 3人の男がドラゴンと並走してオリガへと襲いかかる。

 三方から迫るドラゴンの爪と男たちが放つ魔法に、オリガは――。

「それっ!」

 そんな可愛らしい掛け声とともに、男たちの魔法すべてを的確に魔法で相殺し、ドラゴンの爪は騎乗しているドラゴンの両爪と尻尾で受け止める。

「ドラゴン使いを無力化すればいいんですよね?」

 オリガはドラゴン同士が取っ組み合っている間に、ドラゴン使いの1人へと一気に距離を詰める。

「なっ!? 何だ今のは!?」

 確かにさっきまでドラゴンの上に乗っていたオリガが目の前に突如として現れたので、男は目を見張る。

「さて、何でしょう?」

 オリガは魔法でドラゴン使いを眠らせると、次のドラゴン使いのところへと向かう。

 他のところでは――。

「遅い。バイバイ、お兄さん」

「がはっ……」

 カーサが目にも止まらぬ太刀筋でドラゴン使いを叩きのめしていたり。

「悪いな。殺しはしないから許してくれ」

「魔法を切った、だとっ……ぐはっ……」

 魔法で応戦するドラゴン使いの魔法を斬り裂いて肉薄したウォーレンが、魔物使いを手刀で気絶させたりしていた。

 結局、マヤの出る幕はなく、オリガたちは相手のドラゴン使い全員を無力化してしまい、マヤたちは勝利を収めたのだった。

***

「で、これからは個人戦ってわけか」

 マヤは張り出されたトーナメント表を見上げる。

 予選の結果、マヤたちはミルズ村と、ステラたちファズ村が早々に2勝してしまったため、本戦進出の2枠が早々に埋まってしまったのだ。

 結果、総当たり戦である予選で本来行われるはずだったミルズ村とファズ村の試合は省略され、本戦が始まったのだ。

「すぐには、当たらない、ように、なってる、みたい」

「そうだな、1回戦は基本的にファズ村の選手と当たるらしい」

 カーサとウォーレンの言う通り、トーナメント表はある程度配慮されて作られているようで、ミルズ村の選手同士が当たるのは2回戦からだった。

「じゃあ、最初にステラさんと戦うのは……」

「私みたいですね……」

 オリガはトーナメント表の端に、自分の名前とステラの名前が並んで書いてあるのを見つけた。

「あれ? でもこれって、ステラさんだけじゃなくて、オスカーさんの名前も書かれてない?」
 
「たしかにそうだな。ダンカン君、こういうのはルール上ありなのか?」

 顔を近づけて確認したウォーレンは、振り返ってダンカンに尋ねる。

「竜騎士闘技会っていうのは、もともとドラゴンライダー同士の闘技会だったんだ。だから、ドラゴンに乗れているなら、騎士の数、つまりは今で言うドラゴン使いの数に制限はないんだ」

「じゃああの2人は1匹のドラゴンに乗ってるから……」

「ああ、ルール上は1人扱いだ」

「なるほど……」

 完全に形骸化してしまっているが、あくまでも竜騎士の大会であるため、このあたりのルールは竜騎士準拠だった。

「しかしそうなると、予選で暴れ回っていた魔王ステラとその夫オスカーの2人とオリガは一人で戦わなければいけないわけか」

「そうなっちゃうね」

 心配そうな視線を向けるマヤたちに、オリガは笑って胸を張る。

「任せてください。これでも私、伝説の副官エメリンの実の娘ですから! 魔王が相手だって戦えます!」

 オリガの言葉には、嘘は感じられない。

「分かった。オリガがそう言うなら私、信じるよ。頑張ってね、オリガ」

 マヤはオリガへと拳を突き出す。

 オリガは一瞬なんのことかわからない様子だったが、マヤが拳を振って示すとようやく理解したようだった。

 オリガはマヤの突き出した拳に自分の拳を当てる。

「はい、頑張ります!」

 拳と拳を合わせた2人は、ニッと笑うと拳を離す。

「なんだ、その……気合を入れているところ悪いが、本戦は明日だからな?」

 ウォーレンのツッコミに、マヤとオリガは顔を見合わせると、どちらともなく笑い出したのだった。

***

「こんばんは、ミルズさん」

「マヤさんですか」

「そうだよ。よくわかったね。完全に気配消してたのに」

「気配が分からずとも、声でわかります」

「たしかにそりゃそうだ」

 マヤは暗がりから月明かりの下に姿を表す。

「それで、こんな夜中に私に何の用ですか?」

「ちょっと教えてほしいことがあってさ」

「…………言ってみてください」

「四皇の1人、ファズの倒し方を教えてくれないかな?」

 マヤは月明かりの下、妖しく微笑んだ――。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

モンド家の、香麗なギフトは『ルゥ』でした。~家族一緒にこの異世界で美味しいスローライフを送ります~

みちのあかり
ファンタジー
10歳で『ルゥ』というギフトを得た僕。 どんなギフトかわからないまま、義理の兄たちとダンジョンに潜ったけど、役立たずと言われ取り残されてしまった。 一人きりで動くこともできない僕を助けてくれたのは一匹のフェンリルだった。僕のギルト『ルゥ』で出来たスープは、フェンリルの古傷を直すほどのとんでもないギフトだった。 その頃、母も僕のせいで離婚をされた。僕のギフトを理解できない義兄たちの報告のせいだった。 これは、母と僕と妹が、そこから幸せになるまでの、大切な人々との出会いのファンタジーです。 カクヨムにもサブタイ違いで載せています。

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...