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第二章「魔法学園の劣等生 入学編」
第96話「私はあなたが嫌いです」
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セレスの居場所はすぐに特定できた。
オレの監視網に死角なし。
彼女は時計塔の近くにいた。
友達がいないのか、ベンチに腰掛け一人で呆けたように空を眺めている。
オレが近づくと立ち上がりその場から逃げ出そうとした。
おいおい、なんだか気分が悪いじゃないか。
自慢ではないが、オレはこの世界にきてから清く正しく生きてきたつもりだ。そう……あくまでも自分自身の心に嘘はついていない。
それにほとんど初対面の人に避けられるいわれはなかった。
まあ、変な噂が流れていることは知っているけどね。
曰く、学園のアイドル講師のアメリア先生を無理矢理図書館に連れ出し、淫らな行為を強制している。
曰く、剣術講師のシスティーナ先生の寮に忍び込み寝込みを襲った。
曰く、初等部の女学生の弱みを握りいかがわしい行為を行っている。
根も葉もありすぎて逆に怖い噂ばかりだ。
「セレス……逃げないでくれ」
オレは彼女と話をする必要があった。そうしないと、オレがメリッタ先生に怒られる。
オレに与えられたミッションは彼女の話を聞き、障害を取り除くことだ。
「逃げてないわ……お前から離れただけ」
なんだろうこの屁理屈は。世間ではそれを「逃げ」という。
「じゃあ、オレから離れる理由を教えてくれ」
「あたしはお前が嫌いだからだ!」
にべもない。
「あのなぁ……」
話は平行線だ。彼女はこちらを見ようともしない。下手をすれば殺気すら感じられるほど憎々し気な態度だ。
「ノゾミ様!」
アンナの声がした。振り向けばアンナが小走りにこちらに駆け寄ってきているところだ。
うーん。タイミングがいいのか悪いのか。オレが女性と話しをしているだけで色々と勘ぐってしまう最近の竜人巫女でございます。今この状況は……妙な誤解を招きかねない。
「ノゾミ様……その女学生は……どなたですか?」
じ、女学生って……
アンナの歩みがゆっくりと確実なものになった。こちらへと、正確にはセレスへとターゲットを変えて接近してくる。
ズンズンズン!
聞こえないはずの地響きが聞こえてきそうだ。
「あの……アンナさん。これはですね……」
オレはしどろもどろになりながらも現状を説明しようとする。まずい、セレスにこの状況を見られるのは非常にまずい。オレの弱点をセレスに見られてしまうことになる。
「アンナ様!」
その時、オレの背後でうわずった声が響いた。
セレスだ。
今までの鉄面皮が一転、輝く笑顔で両手を握りしめて立ち尽くしている。
ちょうどアイドルに偶然出会った女子高生みたいだった。
「奇遇ですね!アンナ様に出会えるなんて、今日はなんて素敵な日なんでしょう!」
なんだこの乙女は!?
今のセレスの瞳にはアンナしか映っていないようだった。オレの事は完全に眼中にない。
彼女の視線はアンナにのみ注がれていた。
ほほう。これはもしかしたらもしかするかもしれないでヤンス。
一計を案じてみるか。
「アンナ」
「はい。何でしょうノゾミ様」
アンナがオレに向き直る。その瞬間セレスがシュンとうなだれた。
「セレスさんが水魔法についてレクチャーしてくれるそうだ。水魔法について知りたがっていただろう」
オレが声をかけるとセレスが驚いた表情になる。
「セレスさん……よろしいのですか?」
アンナの言葉にセレスは泣き笑いのような表情になった。恐らくは喜んでいる……のだろう。
「あたし……いえ、私でよろしければ、お教えして頂くでありまする!」
それって教えてもらってるじゃないか。
なんかぎくしゃくとしているが、とりあえず両人とも了承しているみたいだし、良しとしよう。
「では、後は若い者どうしで語り合い給え」
オレは二人に手を振って別れた。
ぽかんとオレを見送るアンナと何とも言えない表情でオレを見送っているセレス。
まあ、後の事は明日にでも確認すればいい。
今日、オレには大事な用事があるのだ。
メリッタ先生との実験!
めくるめく実験の時間がオレを誘う。
いざ、植物園へ!
オレは足取りも軽やかに植物園に向けて歩き出した。
オレの監視網に死角なし。
彼女は時計塔の近くにいた。
友達がいないのか、ベンチに腰掛け一人で呆けたように空を眺めている。
オレが近づくと立ち上がりその場から逃げ出そうとした。
おいおい、なんだか気分が悪いじゃないか。
自慢ではないが、オレはこの世界にきてから清く正しく生きてきたつもりだ。そう……あくまでも自分自身の心に嘘はついていない。
それにほとんど初対面の人に避けられるいわれはなかった。
まあ、変な噂が流れていることは知っているけどね。
曰く、学園のアイドル講師のアメリア先生を無理矢理図書館に連れ出し、淫らな行為を強制している。
曰く、剣術講師のシスティーナ先生の寮に忍び込み寝込みを襲った。
曰く、初等部の女学生の弱みを握りいかがわしい行為を行っている。
根も葉もありすぎて逆に怖い噂ばかりだ。
「セレス……逃げないでくれ」
オレは彼女と話をする必要があった。そうしないと、オレがメリッタ先生に怒られる。
オレに与えられたミッションは彼女の話を聞き、障害を取り除くことだ。
「逃げてないわ……お前から離れただけ」
なんだろうこの屁理屈は。世間ではそれを「逃げ」という。
「じゃあ、オレから離れる理由を教えてくれ」
「あたしはお前が嫌いだからだ!」
にべもない。
「あのなぁ……」
話は平行線だ。彼女はこちらを見ようともしない。下手をすれば殺気すら感じられるほど憎々し気な態度だ。
「ノゾミ様!」
アンナの声がした。振り向けばアンナが小走りにこちらに駆け寄ってきているところだ。
うーん。タイミングがいいのか悪いのか。オレが女性と話しをしているだけで色々と勘ぐってしまう最近の竜人巫女でございます。今この状況は……妙な誤解を招きかねない。
「ノゾミ様……その女学生は……どなたですか?」
じ、女学生って……
アンナの歩みがゆっくりと確実なものになった。こちらへと、正確にはセレスへとターゲットを変えて接近してくる。
ズンズンズン!
聞こえないはずの地響きが聞こえてきそうだ。
「あの……アンナさん。これはですね……」
オレはしどろもどろになりながらも現状を説明しようとする。まずい、セレスにこの状況を見られるのは非常にまずい。オレの弱点をセレスに見られてしまうことになる。
「アンナ様!」
その時、オレの背後でうわずった声が響いた。
セレスだ。
今までの鉄面皮が一転、輝く笑顔で両手を握りしめて立ち尽くしている。
ちょうどアイドルに偶然出会った女子高生みたいだった。
「奇遇ですね!アンナ様に出会えるなんて、今日はなんて素敵な日なんでしょう!」
なんだこの乙女は!?
今のセレスの瞳にはアンナしか映っていないようだった。オレの事は完全に眼中にない。
彼女の視線はアンナにのみ注がれていた。
ほほう。これはもしかしたらもしかするかもしれないでヤンス。
一計を案じてみるか。
「アンナ」
「はい。何でしょうノゾミ様」
アンナがオレに向き直る。その瞬間セレスがシュンとうなだれた。
「セレスさんが水魔法についてレクチャーしてくれるそうだ。水魔法について知りたがっていただろう」
オレが声をかけるとセレスが驚いた表情になる。
「セレスさん……よろしいのですか?」
アンナの言葉にセレスは泣き笑いのような表情になった。恐らくは喜んでいる……のだろう。
「あたし……いえ、私でよろしければ、お教えして頂くでありまする!」
それって教えてもらってるじゃないか。
なんかぎくしゃくとしているが、とりあえず両人とも了承しているみたいだし、良しとしよう。
「では、後は若い者どうしで語り合い給え」
オレは二人に手を振って別れた。
ぽかんとオレを見送るアンナと何とも言えない表情でオレを見送っているセレス。
まあ、後の事は明日にでも確認すればいい。
今日、オレには大事な用事があるのだ。
メリッタ先生との実験!
めくるめく実験の時間がオレを誘う。
いざ、植物園へ!
オレは足取りも軽やかに植物園に向けて歩き出した。
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