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第四章「カルネアデス編」
第94.5話 063メザイヤ編「騎士団襲撃 ①」
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ノゾミ達の作戦開始の半刻ほど前。
ノルンとリベラは子供たちと一緒に夕食の準備をしていた。
騎士団は当直の者も含め人数は多い。基本的な勤務は一回につき三日間。その間騎士団の詰め所に寝泊まりすることになる。
騎士団に詰め所にいる間の食事は朝と夜の二回。騎士団団員は女よりも男の方が数が多い。当然のことながら食事の時間ともなると食堂にほぼすべての団員が集まる。
襲撃はまさにその時間帯に起こったのだ。
騎士団詰所に火の手が上がった。
火元は資材倉庫。
日は瞬く間に燃え広がり団員たちはパニックに陥った。
その隙をついて襲撃者は現れた。
全身を黒衣服に包んだ者たち。数は十人。それぞれが暗器を手にし騎士たちに襲い掛かった。
「子供たちを外に出すな!なんとしてもここを死守するんだ!」
騎士団の男たちは武器を手に食堂の扉の前に陣取った。
食事時、剣を携行している者は少ない。ましてや防具など付けている者は少数――これから夜の警護に出る予定の騎士以外は軽装だったのだ。
「ノルン!」
リベラが包丁を片手に叫んだ。ノルンも鉈を手に前に出る。
子供たちは怯えたような表情で台所に集まっていた。
「フィナは子供たちを守って!」
扉の向こうでは今も騎士たちが戦っている。騎士たちと襲撃者たちとの剣戟の音が響く。
ドン!
扉に何者かが体当たりする音が響いた。体当たりは何度も続き扉を塞いでいるバリケードが軋んだ音を立てる。
ガシャン!
窓ガラスが割れた。
食堂の窓は小さく大人が入れるような大きさではない。
しかし――
窓から筒状の者が投げ込まれた。筒からは煙が勢いよく噴出している。
「みんな煙を吸うな!」
リベラが警告したが時すでに遅し、煙を吸い込んだ子供たちが倒れていく。
――昏睡の煙だ……!
以前、リベラと旅をしている時に嗅いだことがある。
猟師や冒険者が多用する煙薬に似たようなものがあった。
護身用にと冒険者がよく携行しているものだ。だが、今食堂に充満しているものはその何倍も強力なものだった。
布で口元を覆いながらノルンは周囲を見渡す。煙営の逃げ口はない。
煙は瞬く間に充満し周囲が見えぬほどだ。
――はやく逃げないと……
焦れば焦るほどに呼吸は乱れ、肺に煙が入り込むのが分かった。
つんとした痺れが全身に回る。
ノルンの背後で鈍い音がする。
見ればリベラが床に倒れ伏していた。
――ここから早く助けを呼ばないと!
ノルンはふらつきながら裏口へと向かう。
襲撃者は表からこちらへと入ろうとしている。裏口からならば襲撃者の隙をついて逃げ出せるかもしれない。
――ノゾミお兄ちゃんがきっと助けに来てくれる!
どんな時でもノゾミは助けに来てくれた。
盗賊に襲われた時も圧倒的な魔法でみんなを救ってくれた。
今回も、きっとみんなを救ってくれるはずだ。
ノルンたちを救ってくれたように、子供たちを救ってくれたように。
裏口の戸が開いた。
姿を現したのは黒装束の男たち。
――ノゾミお兄ちゃん……助けて!
薄れゆく意識の中その言葉を最後にノルンの意識は暗転していった。
ノルンとリベラは子供たちと一緒に夕食の準備をしていた。
騎士団は当直の者も含め人数は多い。基本的な勤務は一回につき三日間。その間騎士団の詰め所に寝泊まりすることになる。
騎士団に詰め所にいる間の食事は朝と夜の二回。騎士団団員は女よりも男の方が数が多い。当然のことながら食事の時間ともなると食堂にほぼすべての団員が集まる。
襲撃はまさにその時間帯に起こったのだ。
騎士団詰所に火の手が上がった。
火元は資材倉庫。
日は瞬く間に燃え広がり団員たちはパニックに陥った。
その隙をついて襲撃者は現れた。
全身を黒衣服に包んだ者たち。数は十人。それぞれが暗器を手にし騎士たちに襲い掛かった。
「子供たちを外に出すな!なんとしてもここを死守するんだ!」
騎士団の男たちは武器を手に食堂の扉の前に陣取った。
食事時、剣を携行している者は少ない。ましてや防具など付けている者は少数――これから夜の警護に出る予定の騎士以外は軽装だったのだ。
「ノルン!」
リベラが包丁を片手に叫んだ。ノルンも鉈を手に前に出る。
子供たちは怯えたような表情で台所に集まっていた。
「フィナは子供たちを守って!」
扉の向こうでは今も騎士たちが戦っている。騎士たちと襲撃者たちとの剣戟の音が響く。
ドン!
扉に何者かが体当たりする音が響いた。体当たりは何度も続き扉を塞いでいるバリケードが軋んだ音を立てる。
ガシャン!
窓ガラスが割れた。
食堂の窓は小さく大人が入れるような大きさではない。
しかし――
窓から筒状の者が投げ込まれた。筒からは煙が勢いよく噴出している。
「みんな煙を吸うな!」
リベラが警告したが時すでに遅し、煙を吸い込んだ子供たちが倒れていく。
――昏睡の煙だ……!
以前、リベラと旅をしている時に嗅いだことがある。
猟師や冒険者が多用する煙薬に似たようなものがあった。
護身用にと冒険者がよく携行しているものだ。だが、今食堂に充満しているものはその何倍も強力なものだった。
布で口元を覆いながらノルンは周囲を見渡す。煙営の逃げ口はない。
煙は瞬く間に充満し周囲が見えぬほどだ。
――はやく逃げないと……
焦れば焦るほどに呼吸は乱れ、肺に煙が入り込むのが分かった。
つんとした痺れが全身に回る。
ノルンの背後で鈍い音がする。
見ればリベラが床に倒れ伏していた。
――ここから早く助けを呼ばないと!
ノルンはふらつきながら裏口へと向かう。
襲撃者は表からこちらへと入ろうとしている。裏口からならば襲撃者の隙をついて逃げ出せるかもしれない。
――ノゾミお兄ちゃんがきっと助けに来てくれる!
どんな時でもノゾミは助けに来てくれた。
盗賊に襲われた時も圧倒的な魔法でみんなを救ってくれた。
今回も、きっとみんなを救ってくれるはずだ。
ノルンたちを救ってくれたように、子供たちを救ってくれたように。
裏口の戸が開いた。
姿を現したのは黒装束の男たち。
――ノゾミお兄ちゃん……助けて!
薄れゆく意識の中その言葉を最後にノルンの意識は暗転していった。
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