メスガキ神狐に憑かれたい!? いきなり現れたケモ耳 美少女はちょっと♡な福の神?※イラストあり〼

須賀和弥

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銀狐の章

第056話「目覚め」

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 目が覚めた。
 ここは研究室か……

「お主様!」

 顔を向ければ心配そうにオレの顔を覗き込む小童の顔。
 銀の髪の女童。ずっと一緒に過ごしてきたオレの――家族。
 見ない間にずいぶんと大きくなりやがって……
 ひどく懐かしい。なんだろう、以前に会った時にはもっと小さかったはずだ。

 ――以前?

 それはいつのことだ。オレは誰だ?
  
「お主様?」

 心配そうにオレを見る女童。
 頭に手を置いて荒々しく撫でる。
 女童は泣きそうな顔でくしゃりと笑った。

「良かったのじゃ」

「心配するな……小童……」

「――――――!!」

  ――ん?小童?
 
 女童――シェンの目が大きく見開かれる。
 今にも泣きだしそうな、嬉しくて卒倒しそうな顔でシェンが抱きついてきた。

「シェン?」

 いつもと様子が違う。
 なんだろう。この懐かしいような感覚……

「モー君?」

「……あ、ああ……あれ?」

 思考がクリアーになってくる。
 目の前にはシェンとあーちゃん先輩、光――その後ろにはモリアーティ教授。
 みんな心配そうに(教授を除く)オレを見つめている。

「みんな……どうしたんだ?」

「お兄ちゃんは私たちに抱きつかれて嬉しさのあまり気を失ったんだよ」

 えっ、嬉しすぎて……って、そうなのか?
 まあ、光がそういうんだからそうなのだろう。
 なんだろう。心の奥から聞こえる「なんか違うぞ」感。
 気にしていても仕方ない。
 シェンは抱きついたまま離れない。
 その雰囲気に圧されたせいか、誰も彼女に声をかけられずにいた。

 ◆ ◆ ◆ ◆

 しばらくすると落ち着いたのかシェンが静かに離れた。
 それでもオレの隣にちょこんと座り離れようとしない。
 放っておいても大丈夫だろう。
 あとで訊けば答えてくれるかもしれない。

「ところで教授、今日の呼び出しって何なんだったんですか?」

 まさかさっきの変な発明品の実験台とかではないだろう。

「いや、さっきのエロエロスコープの実験……じゃなくって、ちょっと困ったことがあってね……」

 今、エロエロスコープって言った?
 そんな名前の発明品却下だろ!

「君の家、一軒家だよね?」

 モリアーティ教授の意味深な笑み。
 何だろう。物凄く嫌な予感がする。
 教授の頼み事なんて大抵ろくなことじゃない。
 危険だ――そう囁くのだオレのゴーストが――

「まあ、そうですけど……叔父の家ですし……」

 どんな話にせよ断る以外の選択肢はなかった。ただでさえ同居人が増えてこちらはてんてこ舞いなのだ。

「そうか。それはよかった」

 今の流れで何が「よかった」なのだろう。
 オレの話聞いてます?

「いや、だから無理なんですって!」

「ちょっと預かって欲しい子がいるんだよ」

 こいつ……人の話を聞いちゃいねぇ。
 どうせ出張先で拾ってきた仔猫かなんかじゃないのか。

「まずは紹介するから、それから判断してよ」

 おいおい、まずは見るだけ――それが詐欺師の常とう手段心理学で言うドアインザフェイスってやつだ。

「まあまあ、そう言わずにさぁ。モッチーもきっと気に入ると思うんだ」

 モリアーティ教授は既に強引販売員と化していた。

「大丈夫。いい子だよぉ」

 オレの手を握りしめ手繰り寄せる。

「大丈夫。後悔させないから!」

 どんな客引きだよ。

「絶対に嫌です」

「じゃあ、先っちょだけ!」

 何だよそれ!どこで覚えたんだよ!
 モリアーティ教授の手は万力のようにオレをつかんで離さない。

「貞子さん。連れてきて!」

「まったく……教授はいつも強引なんだから……」

 ブツブツと言いながら隣の部屋から貞子さんが現れた。

「じゃーん。紹介したいのはこの子です!」

「お主様!」

 シェンが立ち上がる。シェンの尻尾がぶわっと膨らんでいる。
 オレは貞子さんが連れてきた子を見て目が点になった。

「教授……これって……」

「いやあ、この前の出張で拾っちゃってさ、正直困ってるんだよね」

 やっぱりそういうことか――でも、オレが驚いているのはそんなことではない。
 それは黒い髪の女の子だった。
 しかし、頭にはケモノ耳、お尻にはまるで猫みたいな尻尾がついている。

「君の家でこの子の面倒を見てもらえないかな?」

 
 □■□■□■□■用語解説□■□■□■□■

【そう囁くのだオレのゴーストが――】
 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 主人公の草薙素子をはじめとしたキャラクターが、大事な決断をする時に出てくるセリフ「そう囁くのよ私のゴーストが……」かっけー!

【先っちょだけ】
 深い意味はない。
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