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銀狐の章
第058話「神猫 ニャン ②」
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「ぬわんですって――!!」
光が叫んだ。
妹が叫ぶ姿をオレは初めて見た気がした。
「ちょっとそれってどういうことなの?」
あーちゃん先輩がオレに詰め寄る。
それはオレが聞きたい。
「儂の男に手を出すな小娘!」
シャーッと威嚇音を上げるニャン。
「お主様、その野良猫から離れるのじゃ!」
シェンが反対の腕を掴んで引き離そうとする。だがニャンの手はオレの腕を万力のように強くつかんで離さなかった。
こいつらって見た目のわりに力だけはやたらと強いのだ。
「モッチーモテモテだね」
教授は嬉しそうに言った。
「いや、冗談やめて下さい!」
痛い痛い。ニャンもだがそれを引きはがそうとするシェンの力も半端ない。
「シェンちゃん手伝います!」
「モー君は渡さない!」
光がシェンの身体に抱きつき、光の身体をあーちゃん先輩が引っ張る。
「よし、では私たちはニャンの方を応援するとしよう」
モリアーティ教授と貞子さんがニャンの身体を引っ張りだした。こいの教授は!完全に楽しんでいやがる!
――おい、待て!
このままでは最悪オレの身体が半分に引き裂かれてしまう。
車裂きの刑 というのがある二両の車に片足ずつを縛りつけ、車をそれぞれ反対方向に走らせて罪人の肢体を引き裂くものだ。今のオレって――まさしくその状態じゃないのか。
いやそうだ。大岡裁きで聞いたことがある。
これって、手を離した方がいいってやつだよね?
きっと、痛がるオレを見て手を離すんだよね?
「このままじゃ、お兄ちゃんが二つになっちゃうよ!」
さすが妹、オレの事を大事に思ってくれている。
「じゃあ、五割以上ゲットした方がお持ち帰りってことでOK?」
アホな提案をする教授。
そんな提案を誰が受け入れるんだ。
「「「イッツ、OK!!」」」
うをおおい!!
両方から引っ張り力がさらに強まった。
「お兄ちゃんを!お持ち帰り!」
光の目の色が変わった。
いや、今一緒に住んでいるよね?それってお持ち帰りみたいなもんだよね?
「こ奴にだけは――負けとうない!」
既に目的を見失っているシェン。
「最悪、下半身だけあればそれでいいのニャ!」
――こいつ、オレのカラダ目的かよ!
「大丈夫じゃよお主様……」
シェンが優しく声をかけてくれた。
おお、この危機的状況から助けてくれるのか!
さすがシェン様、自称神!
「我様の力で半分になっても死なぬようにしてやるからな」
一瞬でも頼もしいと思ったオレが馬鹿でした。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【大岡裁き】
落語「大岡裁き」大岡越前の裁きの話しで、自分が母親を主張する女性が、双方共に「私こそがこの子の母親だ」主張し、ついに大岡越前の奉行所で白黒付ける事になった。
大岡越前は二人にこう提案する。
「その子の腕を一本ずつ持ち、それを引っ張り合いなさい。
勝った方を母親と認めよう」と。
その言葉に従い、二人の母親は子供を引っ張り合う。
当然ながら引っ張られた子供は「痛い、痛い!」と叫んだのだ。一方の女性は子供が可哀想で手を放してしまうが、大岡越前は「子供の嫌がることをしないのが真の親だ」といい、手を離した女性こそが母親であるとした話。
ええ話やなぁ。ここではそうはならんかったけど。
光が叫んだ。
妹が叫ぶ姿をオレは初めて見た気がした。
「ちょっとそれってどういうことなの?」
あーちゃん先輩がオレに詰め寄る。
それはオレが聞きたい。
「儂の男に手を出すな小娘!」
シャーッと威嚇音を上げるニャン。
「お主様、その野良猫から離れるのじゃ!」
シェンが反対の腕を掴んで引き離そうとする。だがニャンの手はオレの腕を万力のように強くつかんで離さなかった。
こいつらって見た目のわりに力だけはやたらと強いのだ。
「モッチーモテモテだね」
教授は嬉しそうに言った。
「いや、冗談やめて下さい!」
痛い痛い。ニャンもだがそれを引きはがそうとするシェンの力も半端ない。
「シェンちゃん手伝います!」
「モー君は渡さない!」
光がシェンの身体に抱きつき、光の身体をあーちゃん先輩が引っ張る。
「よし、では私たちはニャンの方を応援するとしよう」
モリアーティ教授と貞子さんがニャンの身体を引っ張りだした。こいの教授は!完全に楽しんでいやがる!
――おい、待て!
このままでは最悪オレの身体が半分に引き裂かれてしまう。
車裂きの刑 というのがある二両の車に片足ずつを縛りつけ、車をそれぞれ反対方向に走らせて罪人の肢体を引き裂くものだ。今のオレって――まさしくその状態じゃないのか。
いやそうだ。大岡裁きで聞いたことがある。
これって、手を離した方がいいってやつだよね?
きっと、痛がるオレを見て手を離すんだよね?
「このままじゃ、お兄ちゃんが二つになっちゃうよ!」
さすが妹、オレの事を大事に思ってくれている。
「じゃあ、五割以上ゲットした方がお持ち帰りってことでOK?」
アホな提案をする教授。
そんな提案を誰が受け入れるんだ。
「「「イッツ、OK!!」」」
うをおおい!!
両方から引っ張り力がさらに強まった。
「お兄ちゃんを!お持ち帰り!」
光の目の色が変わった。
いや、今一緒に住んでいるよね?それってお持ち帰りみたいなもんだよね?
「こ奴にだけは――負けとうない!」
既に目的を見失っているシェン。
「最悪、下半身だけあればそれでいいのニャ!」
――こいつ、オレのカラダ目的かよ!
「大丈夫じゃよお主様……」
シェンが優しく声をかけてくれた。
おお、この危機的状況から助けてくれるのか!
さすがシェン様、自称神!
「我様の力で半分になっても死なぬようにしてやるからな」
一瞬でも頼もしいと思ったオレが馬鹿でした。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【大岡裁き】
落語「大岡裁き」大岡越前の裁きの話しで、自分が母親を主張する女性が、双方共に「私こそがこの子の母親だ」主張し、ついに大岡越前の奉行所で白黒付ける事になった。
大岡越前は二人にこう提案する。
「その子の腕を一本ずつ持ち、それを引っ張り合いなさい。
勝った方を母親と認めよう」と。
その言葉に従い、二人の母親は子供を引っ張り合う。
当然ながら引っ張られた子供は「痛い、痛い!」と叫んだのだ。一方の女性は子供が可哀想で手を放してしまうが、大岡越前は「子供の嫌がることをしないのが真の親だ」といい、手を離した女性こそが母親であるとした話。
ええ話やなぁ。ここではそうはならんかったけど。
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