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本編
32. 帰還 - リノ
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ロバート様から次期王様のことを聞いた翌日、街中にそれが知らされた。
俺も街の様子が知りたかったけど、そんな暇がなかった。
クラディウス様の屋敷に設けられた救護室は閉じられることになった。
騎士様や兵士の多くは、新しい体制で整えられた王宮の救護室に移されることになった。
怪我をした街の人の場合は、街の医者のところに移された。
俺たちはその人たちの記録を取ったり、荷物をまとめるのを手伝ったり、あれこれやった。
患者としていた人たちの多くはユエ先生や研修士さんだけでなく、インティアや俺にまでお礼を言ってくれた。
特にインティアの子守唄への感謝は大きなものだった。
インティアは天使のように微笑み、その感謝の言葉を受けながら優しく「もう、怪我をしないでくださいね」と一人ずつ手を取って言っていた。
「本物の天使がいる」としばらく大騒ぎになるくらいだった。
あの清らかな微笑みで言われたら、そう思うだろう。
俺もびっくりしたし、ぽ~っとなるのもわかる気がした。
陰で倒れそうになり、泣きながら過ごしていたことなんて微塵も感じさせない。
ここを出たらどうするんだろう?
花街にまた、戻るんだろうか?
ピニャータ王様の喪に服しているとはいえ、内外にメリニャの揺るがない力を見せつけるのだ、とマグリカ様の戴冠式は盛大に行われた。
俺もインティアと一緒にジャスティ様に連れられて、王宮の広場に行きお祝いをした。
そのとき、ザクア伯爵様の一行と出会った。
ペリヌさんとカーティさんもいて、再会を喜んだ。
「元気にしていたか、リノ」
「はい、ペリヌさん」
「本当にひどい怪我をしたと聞いたときには心配したよ」
「すみません、カーティさん」
「ジュリアスさんがさ、再々私たちのところにも来てくださってさ、心強かったよ」
「え、そうなの?」
知らなかった。
カーティさんの話だと困ったことがないか、怪我はないかと何度か訪ねていってくれたそうだ。
ペリヌさんが街で喧嘩に巻き込まれて怪我をしたときもユエ先生のところに連れてきてくれたらしい。
ちっとも気がつかなかった。
「元気なリノに会えて今日はよかったよ」
「背が伸びて、大人になったね。
落ち着いたら、ジュリアスさんと一緒に遊びにおいで」
俺はペリヌさんとカーティさんにむぎゅむぎゅとハグされて頭をなでまわされ、そして別れた。
第三騎士団の騎士様も少しずつ、クラディウス様の寮に戻って来られている。
みなさん、お疲れの様子だけど顔は明るい。
ジュリさんはまだかな。
クラディウス様やジュリさんは残務処理で他の人より戻るのが遅いんだって。
俺は手紙を開いては読み、ユエ先生の手伝いをしながらジュリさんの帰りを待った。
戴冠式から2週間後の深夜、騎士様の制服にマントを翻したクラディウス様とジュリさんが屋敷に戻ってこられた。
5か月ぶりになる。
クラディウス様の少し後ろから歩いてこられるジュリアス様は、少し痩せていた。
最後に見たときより、髪が伸びていた。
「今、帰った」
クラディウス様が出迎えた人たちに声をかけた。
礼をする人、安堵の息を漏らす人、泣き始める人…クラディウス様の屋敷の人たちは思い思いに主の帰還を喜んでいた。
クラディウス様はそれを見て満足そうにうなづいた。
そして、斜め後ろにいるジュリアス様に視線をやった。
ジュリアス様は大股でずしずしと歩き、俺の前に立った。
嘘。まだ信じられない。
夢の中で会うたびに、朝、そこにジュリさんがいないのがわかると寂しく思った。
会いたくて会いたくて仕方なかったジュリさんが、目の前にいる。
騎士様のジュリアス様がそこにいる。
「ただいま戻りました、旦那様」
「ジュリアス様っ!」
俺は飛び上がってジュリアス様の首に腕を回し、軽くキスをするとぎゅううううううううと抱きしめた。
「うわあ、夢じゃない!
本物のジュリさんだあああっ!」
「お待たせしました」
ジュリさんもぎゅううっと俺を抱きしめ返してくれる。
「5か月ぶりです…」
俺は泣きそうになりながら囁いた。
「はい」
ジュリさんの温もり。
ジュリさんの手。
ジュリさんの匂い。
ジュリさんの髪。
ああ、信じられない…
「よくぞご無事でおかえりなさい」
おかえり、ジュリさん。
ひとしきり抱擁をし、腕を解くと俺たちを見ていた人のうちの何人かが、特にロバート様が大泣きをしていた。
人前でこんなことをしたのに気がついて照れたけど、俺は嬉しさを隠しきれなかった。
ロバート様も婚約者さんと再会したらこうなっちゃうよ。
ジュリさんは俺の横にいたインティアの前に行き、深々と礼をした。
「留守中、お世話になりました」
「僕はなにもしていないけど」
「あなたがリノのそばにいてくれたので、私は心置きなく任務に専念できました。
とても心強かったです。
ありがとうございます」
「リノのお世話ならしたかな」
「え、インティア、なに言い出すの?!」
「寂しくて泣いているのを添い寝して慰めてあげたり」
「ちょっ!違うじゃん!」
俺じゃなくてそっちじゃん!
「ええ、お二人が一緒のベッドに寝ていたのも知っています」
「あれ、今日は煽られないんだね?」
インティアとジュリさんの視線が交わった。
ちょちょちょちょちょっ!なに言い出すんだ、この人たち!
「心配しないの?
自分の旦那様が男娼に誘惑されたかもしれない、って?」
インティアは色っぽい目つきでジュリさんを見上げ、挑発的に言った。
「インティアほどの魅力があれば、リノでも落ちるだろう。
もしそうなったとしても、インティアなら仕方ない」
ジュリさんは温かな緑の瞳で、笑いながら言った。
「なにそれ、面白くない」
「俺が感謝をしていることがわかってもらえればいい」
ふくれっ面のインティアにジュリさんが面白そうにつぶやき、そしてジュリさんが腕を開いた。
インティアはそっと近づいていき、その腕の中に収まると2人はハグをした。
「ありがとう」
「僕のほうこそ。
リノにたくさん助けられたよ」
はあああああああ。
俺は泣きそうになった。
今、まさに天使だよ、インティア!
天使様を抱擁する騎士様!
なんて綺麗で格好いいんだ!
俺とロバート様はうるうると2人を見ていた。
腕が解かれるとインティアは、
「お肌に悪いから、そろそろ部屋に戻るね」
と言い、俺のほっぺたにお休みのキスをした。
俺が呆然としていると代わりにジュリさんがインティアのほっぺたにお返しのお休みのキスをした。
インティアはくすぐったそうにそれを受けると、ラバグルトさんを連れて行ってしまった。
「あーあ、フラれたんじゃないんですか、クラディウス様?」
2人を見送っていると、ジャスティ様がげんなりした顔で言った。
「おかえりもハグもなくて、ジュリアスに先を越されて、どうするんです?
ジュリアスもやりすぎだし」
ジャスティ様はジュリさんにもあれこれ言い出した。
ロバート様が止めるがやめない。
どうやらインティアのことを言ってるみたい。
インティアも、ねぇ…
これまで一度もお肌と睡眠時間のことなんて言ったことなかったのに。
クラディウス様もにやりと笑ったまま、その場を去ってしまわれた。
夜が随分更けてしまった。
ジュリさんはとりあえず帰ってきたけど、しばらくはクラディウス様と王宮に通うらしい。
明日の朝も早くに出発だって。
ゆっくり過ごせるのはまだ先みたいだ。
それでも。
この夜は久しぶりにジュリさんのベッドで寝た。
手を繋いで寝た。
手の剣だこはますます硬くなっていた。
俺も街の様子が知りたかったけど、そんな暇がなかった。
クラディウス様の屋敷に設けられた救護室は閉じられることになった。
騎士様や兵士の多くは、新しい体制で整えられた王宮の救護室に移されることになった。
怪我をした街の人の場合は、街の医者のところに移された。
俺たちはその人たちの記録を取ったり、荷物をまとめるのを手伝ったり、あれこれやった。
患者としていた人たちの多くはユエ先生や研修士さんだけでなく、インティアや俺にまでお礼を言ってくれた。
特にインティアの子守唄への感謝は大きなものだった。
インティアは天使のように微笑み、その感謝の言葉を受けながら優しく「もう、怪我をしないでくださいね」と一人ずつ手を取って言っていた。
「本物の天使がいる」としばらく大騒ぎになるくらいだった。
あの清らかな微笑みで言われたら、そう思うだろう。
俺もびっくりしたし、ぽ~っとなるのもわかる気がした。
陰で倒れそうになり、泣きながら過ごしていたことなんて微塵も感じさせない。
ここを出たらどうするんだろう?
花街にまた、戻るんだろうか?
ピニャータ王様の喪に服しているとはいえ、内外にメリニャの揺るがない力を見せつけるのだ、とマグリカ様の戴冠式は盛大に行われた。
俺もインティアと一緒にジャスティ様に連れられて、王宮の広場に行きお祝いをした。
そのとき、ザクア伯爵様の一行と出会った。
ペリヌさんとカーティさんもいて、再会を喜んだ。
「元気にしていたか、リノ」
「はい、ペリヌさん」
「本当にひどい怪我をしたと聞いたときには心配したよ」
「すみません、カーティさん」
「ジュリアスさんがさ、再々私たちのところにも来てくださってさ、心強かったよ」
「え、そうなの?」
知らなかった。
カーティさんの話だと困ったことがないか、怪我はないかと何度か訪ねていってくれたそうだ。
ペリヌさんが街で喧嘩に巻き込まれて怪我をしたときもユエ先生のところに連れてきてくれたらしい。
ちっとも気がつかなかった。
「元気なリノに会えて今日はよかったよ」
「背が伸びて、大人になったね。
落ち着いたら、ジュリアスさんと一緒に遊びにおいで」
俺はペリヌさんとカーティさんにむぎゅむぎゅとハグされて頭をなでまわされ、そして別れた。
第三騎士団の騎士様も少しずつ、クラディウス様の寮に戻って来られている。
みなさん、お疲れの様子だけど顔は明るい。
ジュリさんはまだかな。
クラディウス様やジュリさんは残務処理で他の人より戻るのが遅いんだって。
俺は手紙を開いては読み、ユエ先生の手伝いをしながらジュリさんの帰りを待った。
戴冠式から2週間後の深夜、騎士様の制服にマントを翻したクラディウス様とジュリさんが屋敷に戻ってこられた。
5か月ぶりになる。
クラディウス様の少し後ろから歩いてこられるジュリアス様は、少し痩せていた。
最後に見たときより、髪が伸びていた。
「今、帰った」
クラディウス様が出迎えた人たちに声をかけた。
礼をする人、安堵の息を漏らす人、泣き始める人…クラディウス様の屋敷の人たちは思い思いに主の帰還を喜んでいた。
クラディウス様はそれを見て満足そうにうなづいた。
そして、斜め後ろにいるジュリアス様に視線をやった。
ジュリアス様は大股でずしずしと歩き、俺の前に立った。
嘘。まだ信じられない。
夢の中で会うたびに、朝、そこにジュリさんがいないのがわかると寂しく思った。
会いたくて会いたくて仕方なかったジュリさんが、目の前にいる。
騎士様のジュリアス様がそこにいる。
「ただいま戻りました、旦那様」
「ジュリアス様っ!」
俺は飛び上がってジュリアス様の首に腕を回し、軽くキスをするとぎゅううううううううと抱きしめた。
「うわあ、夢じゃない!
本物のジュリさんだあああっ!」
「お待たせしました」
ジュリさんもぎゅううっと俺を抱きしめ返してくれる。
「5か月ぶりです…」
俺は泣きそうになりながら囁いた。
「はい」
ジュリさんの温もり。
ジュリさんの手。
ジュリさんの匂い。
ジュリさんの髪。
ああ、信じられない…
「よくぞご無事でおかえりなさい」
おかえり、ジュリさん。
ひとしきり抱擁をし、腕を解くと俺たちを見ていた人のうちの何人かが、特にロバート様が大泣きをしていた。
人前でこんなことをしたのに気がついて照れたけど、俺は嬉しさを隠しきれなかった。
ロバート様も婚約者さんと再会したらこうなっちゃうよ。
ジュリさんは俺の横にいたインティアの前に行き、深々と礼をした。
「留守中、お世話になりました」
「僕はなにもしていないけど」
「あなたがリノのそばにいてくれたので、私は心置きなく任務に専念できました。
とても心強かったです。
ありがとうございます」
「リノのお世話ならしたかな」
「え、インティア、なに言い出すの?!」
「寂しくて泣いているのを添い寝して慰めてあげたり」
「ちょっ!違うじゃん!」
俺じゃなくてそっちじゃん!
「ええ、お二人が一緒のベッドに寝ていたのも知っています」
「あれ、今日は煽られないんだね?」
インティアとジュリさんの視線が交わった。
ちょちょちょちょちょっ!なに言い出すんだ、この人たち!
「心配しないの?
自分の旦那様が男娼に誘惑されたかもしれない、って?」
インティアは色っぽい目つきでジュリさんを見上げ、挑発的に言った。
「インティアほどの魅力があれば、リノでも落ちるだろう。
もしそうなったとしても、インティアなら仕方ない」
ジュリさんは温かな緑の瞳で、笑いながら言った。
「なにそれ、面白くない」
「俺が感謝をしていることがわかってもらえればいい」
ふくれっ面のインティアにジュリさんが面白そうにつぶやき、そしてジュリさんが腕を開いた。
インティアはそっと近づいていき、その腕の中に収まると2人はハグをした。
「ありがとう」
「僕のほうこそ。
リノにたくさん助けられたよ」
はあああああああ。
俺は泣きそうになった。
今、まさに天使だよ、インティア!
天使様を抱擁する騎士様!
なんて綺麗で格好いいんだ!
俺とロバート様はうるうると2人を見ていた。
腕が解かれるとインティアは、
「お肌に悪いから、そろそろ部屋に戻るね」
と言い、俺のほっぺたにお休みのキスをした。
俺が呆然としていると代わりにジュリさんがインティアのほっぺたにお返しのお休みのキスをした。
インティアはくすぐったそうにそれを受けると、ラバグルトさんを連れて行ってしまった。
「あーあ、フラれたんじゃないんですか、クラディウス様?」
2人を見送っていると、ジャスティ様がげんなりした顔で言った。
「おかえりもハグもなくて、ジュリアスに先を越されて、どうするんです?
ジュリアスもやりすぎだし」
ジャスティ様はジュリさんにもあれこれ言い出した。
ロバート様が止めるがやめない。
どうやらインティアのことを言ってるみたい。
インティアも、ねぇ…
これまで一度もお肌と睡眠時間のことなんて言ったことなかったのに。
クラディウス様もにやりと笑ったまま、その場を去ってしまわれた。
夜が随分更けてしまった。
ジュリさんはとりあえず帰ってきたけど、しばらくはクラディウス様と王宮に通うらしい。
明日の朝も早くに出発だって。
ゆっくり過ごせるのはまだ先みたいだ。
それでも。
この夜は久しぶりにジュリさんのベッドで寝た。
手を繋いで寝た。
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https://www.pixiv.net/users/4499660
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