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ソムリエエプロン
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湿った空気と一緒に一人の男がドアの隙間からBar MATSUHOにするりと入ってきた。クローズドの札はかけていないが看板の電気は落としたはずだ。バーテンダーのシュウは慌てて掃除するために動かしていた椅子をそこに置き、ドアに近づいた。
「申し訳ありません、お客様。今日はもう店じまいなんです」
「ああ、いいよ。俺、客じゃないから」
しっとりと濡れた男は軽く片手を上げ、立ち去る様子も見せず、それどころかずんずんとカウンターに向かう。そしてどっかりと腰を下ろしてシュウを見た。
「このあとアキラママと約束しているんだ。ほんとは外で待つつもりだったんだけど、雨がひどくなってきちゃって。雨宿りさせてくれる?」
シュウははっとして奥に引っ込むとタオルを2、3本持ってきて、男に差し出した。
「随分濡れてますよ。これで拭いてください」
「ありがと。仕事増やしてしまって悪いね」
「いいえ。なにか飲まれますか」
「もう店じまいなんじゃないの?」
「そうですが、ママのお客様ですし。それに」
シュウは少し肩をすくめた。
「今、電話対応中なのですがもう少しかかりそうなので」
「そ?悪いね。じゃあロックで適当に頼める?」
「かしこまりました」
「つまみはなくていいから」
「はい」
シュウはカウンターに入り、手際よくグラスと氷を用意する。それを見ながら男はシュウに話しかける。
「な、あんた、もう大丈夫になったの?」
「あの、どういう?」
「1か月前くらいかな。すっごく調子悪そうだったじゃん」
「あ」
思わず間抜けた声を上げ、シュウの手が止まった。
「わかってると思うけど、俺、アキラママのセフレなの。たまにこの店で待ち合わせするんだ。で、あんたのこと見かけただけだよ」
男はごしごしとタオルで髪や全身を拭きながら言った。
1か月前と言えば、シュウが失恋した頃だ。少し顔を赤くしたがそれでもすぐにそれを消し、
「そうですか。もう大丈夫ですよ」
と笑いながら、コースターを置きグラスを男に差し出した。
「ありがと」
一口舐め、男の頬が緩んだ。
「そ、大丈夫ならいいんだけどさ。あのときはぶっ倒れそうだったから」
「それはまずいところをお見せしてしまいました。申し訳ありません」
「俺のはただのお節介」
持ち上げたグラスの中の氷が音を立てて鳴った。
「な、元気になったんなら溜まってるんじゃない?俺、ヌいてやろうか」
洋介はニヤニヤと笑いながらシュウに卑猥な手つきをして見せた。
「あんたがソノ気なら突っ込んでもいいけど、恋人じゃないとそういうの割り切れそうにないじゃん。だから手でもフェラでも」
「いや」
シュウはなんと返答していいか、不意打ちに困っていた。
「ヨウちゃんのフェラ上手いわよ。病みつきになる」
「アキラママ!」
驚いてシュウが声を上げた。
「どうしたの、ヨウちゃん。シュウのを喉奥まで咥えながらあたしに後ろからがんがんに犯されたいの?3Pもいいけど大丈夫?このコ、巨根なの」
「ちょっ!」
奥から現れた和装のアキラママは、丸い翡翠玉の簪を一本挿している。シュウはドギマギして素の自分になっていることにも気づかない。
「あんたにMっ気があるのは知っているけど、今は2人に責められたい気分なのかしら?喉にでっかいのを詰まらせながら突かれたら、クるでしょうね」
洋介はにやっと笑って、ウィスキーを飲んでいる。
「シュウ、どうする?」
「へ」
「あたしたちと一緒に愉しむ?あたしはどっちでもいいわ」
「俺も」
「あ…いや……」
「拒んでるふりして反応させてるんじゃないよ」
「ひゃっ」
アキラママはソムリエエプロンを微かに押し上げているシュウの股間を触れるか触れないかの微妙な間合いでしゅるりと指一本でなで上げた。
「ん、おっきい」
「ママっ!」
「はい、今夜もお疲れ様。もう上がっていいわ。あとはやっておくから」
カウンターでは洋介がくすくすと肩を震わせて笑っている。
「明日は休みだからゆっくりして。また明後日、ね」
シュウはいたたまれなくなって、「失礼します」の一言をやっとの思いで言うと奥に引っ込んでいった。
「申し訳ありません、お客様。今日はもう店じまいなんです」
「ああ、いいよ。俺、客じゃないから」
しっとりと濡れた男は軽く片手を上げ、立ち去る様子も見せず、それどころかずんずんとカウンターに向かう。そしてどっかりと腰を下ろしてシュウを見た。
「このあとアキラママと約束しているんだ。ほんとは外で待つつもりだったんだけど、雨がひどくなってきちゃって。雨宿りさせてくれる?」
シュウははっとして奥に引っ込むとタオルを2、3本持ってきて、男に差し出した。
「随分濡れてますよ。これで拭いてください」
「ありがと。仕事増やしてしまって悪いね」
「いいえ。なにか飲まれますか」
「もう店じまいなんじゃないの?」
「そうですが、ママのお客様ですし。それに」
シュウは少し肩をすくめた。
「今、電話対応中なのですがもう少しかかりそうなので」
「そ?悪いね。じゃあロックで適当に頼める?」
「かしこまりました」
「つまみはなくていいから」
「はい」
シュウはカウンターに入り、手際よくグラスと氷を用意する。それを見ながら男はシュウに話しかける。
「な、あんた、もう大丈夫になったの?」
「あの、どういう?」
「1か月前くらいかな。すっごく調子悪そうだったじゃん」
「あ」
思わず間抜けた声を上げ、シュウの手が止まった。
「わかってると思うけど、俺、アキラママのセフレなの。たまにこの店で待ち合わせするんだ。で、あんたのこと見かけただけだよ」
男はごしごしとタオルで髪や全身を拭きながら言った。
1か月前と言えば、シュウが失恋した頃だ。少し顔を赤くしたがそれでもすぐにそれを消し、
「そうですか。もう大丈夫ですよ」
と笑いながら、コースターを置きグラスを男に差し出した。
「ありがと」
一口舐め、男の頬が緩んだ。
「そ、大丈夫ならいいんだけどさ。あのときはぶっ倒れそうだったから」
「それはまずいところをお見せしてしまいました。申し訳ありません」
「俺のはただのお節介」
持ち上げたグラスの中の氷が音を立てて鳴った。
「な、元気になったんなら溜まってるんじゃない?俺、ヌいてやろうか」
洋介はニヤニヤと笑いながらシュウに卑猥な手つきをして見せた。
「あんたがソノ気なら突っ込んでもいいけど、恋人じゃないとそういうの割り切れそうにないじゃん。だから手でもフェラでも」
「いや」
シュウはなんと返答していいか、不意打ちに困っていた。
「ヨウちゃんのフェラ上手いわよ。病みつきになる」
「アキラママ!」
驚いてシュウが声を上げた。
「どうしたの、ヨウちゃん。シュウのを喉奥まで咥えながらあたしに後ろからがんがんに犯されたいの?3Pもいいけど大丈夫?このコ、巨根なの」
「ちょっ!」
奥から現れた和装のアキラママは、丸い翡翠玉の簪を一本挿している。シュウはドギマギして素の自分になっていることにも気づかない。
「あんたにMっ気があるのは知っているけど、今は2人に責められたい気分なのかしら?喉にでっかいのを詰まらせながら突かれたら、クるでしょうね」
洋介はにやっと笑って、ウィスキーを飲んでいる。
「シュウ、どうする?」
「へ」
「あたしたちと一緒に愉しむ?あたしはどっちでもいいわ」
「俺も」
「あ…いや……」
「拒んでるふりして反応させてるんじゃないよ」
「ひゃっ」
アキラママはソムリエエプロンを微かに押し上げているシュウの股間を触れるか触れないかの微妙な間合いでしゅるりと指一本でなで上げた。
「ん、おっきい」
「ママっ!」
「はい、今夜もお疲れ様。もう上がっていいわ。あとはやっておくから」
カウンターでは洋介がくすくすと肩を震わせて笑っている。
「明日は休みだからゆっくりして。また明後日、ね」
シュウはいたたまれなくなって、「失礼します」の一言をやっとの思いで言うと奥に引っ込んでいった。
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