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第23話
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初めてのキスはそよ風のようだった。
二回目のキスはその晩、ベッドの中で。
眠る前に「おやすみなさい、キヨノさん」と言われ、気がついたらされていた。
三回目のキスは次の日の朝で、目が覚めると俺の寝顔を見ていたというなりあきさまが「おはようございます、キヨノさん」と言って、されていた。
四回目のキスは「仕事に出かける仕度を手伝ってください」と言われ、なりあきさまのお部屋に行くと、なりあきさまはさっさとご自分でお仕度をされ、「どうしましょう。仕事に行きたくありません」と言われ、されていた。
五回目のキスはお仕事から戻られたなりあきさまが黒革の鞄を俺に手渡し、そのままついてくるように言われ、なりあきさまのお部屋まで運ぶと「ただいま、キヨノさん」と言われ、された。
そこから先は、よくわからなくなってしまった。
その晩もベッドに入ると、抱きしめられ、キスをされ、間を置かずまたされ、「おやすみなさい」と言われながらまたされ、「いい夢を」とまたされ、「どうしよう、止まりそうにない」と連続で二三度された。
「キヨノさんは、キスはおいやですか」
「よくわかりません。が、困る」
「困る?」
「はい。なんだかふわふわした、へんな感じになります」
「ふーん、そう。
嫌いでは、ない?」
うーん。
「嫌いでは、ない。かな」
「じゃあ、好き?」
「好き、でもない、かな」
「じゃあ、キスも好きになるようにがんばってください」
そう言ってまた、何度かキスをする。
「回数、多くありませんか?」
「さあ、どうでしょうね。
統計を取ったことがないので、わかりません」
「中川さんに聞いてみたら、わかりますか」
「中川でも知らないことはあると思いますよ。
でも、それは野暮というものです」
「どうして」
「恋人同士のやり取りを人に話したいですか?
お聞きになりたい?」
「?」
「私とキスをたくさんしている、と誰かにお話したいですか」
なっ!
「いやです!
いやっ」
「どうして」
「恥ずかしいからに決まっているでしょう!」
ふふふ、となりあきさまが笑っている。
「だから他の人にはお話せずに、秘密にしておきましょう。
キスの回数なんて、その二人にまかせておけばいい」
「う」
「多すぎる?」
「……うん」
「じゃあ、今夜はこれでやめましょう」
なりあきさまはそう言うと、またそよ風のようにキスをした。
「おやすみなさい、キヨノさん。
また明日キスしましょう」
「ま、まだするんですか」
「ええ、もちろん。
キヨノさんがお嫌でなければ」
「キスすれば、こいびとどうしのまねごとになる?」
「ええ、私はそう思います」
「じゃあ、がんばります」
「本当に嫌なときにはおっしゃってください」
「はぁ」
「じゃあ、今度こそ、本当におやすみ」
なりあきさまは俺のおでこにキスをすると目を閉じた。
この時点で俺は、何回キスをしたのか、数えるのを諦めた。
二回目のキスはその晩、ベッドの中で。
眠る前に「おやすみなさい、キヨノさん」と言われ、気がついたらされていた。
三回目のキスは次の日の朝で、目が覚めると俺の寝顔を見ていたというなりあきさまが「おはようございます、キヨノさん」と言って、されていた。
四回目のキスは「仕事に出かける仕度を手伝ってください」と言われ、なりあきさまのお部屋に行くと、なりあきさまはさっさとご自分でお仕度をされ、「どうしましょう。仕事に行きたくありません」と言われ、されていた。
五回目のキスはお仕事から戻られたなりあきさまが黒革の鞄を俺に手渡し、そのままついてくるように言われ、なりあきさまのお部屋まで運ぶと「ただいま、キヨノさん」と言われ、された。
そこから先は、よくわからなくなってしまった。
その晩もベッドに入ると、抱きしめられ、キスをされ、間を置かずまたされ、「おやすみなさい」と言われながらまたされ、「いい夢を」とまたされ、「どうしよう、止まりそうにない」と連続で二三度された。
「キヨノさんは、キスはおいやですか」
「よくわかりません。が、困る」
「困る?」
「はい。なんだかふわふわした、へんな感じになります」
「ふーん、そう。
嫌いでは、ない?」
うーん。
「嫌いでは、ない。かな」
「じゃあ、好き?」
「好き、でもない、かな」
「じゃあ、キスも好きになるようにがんばってください」
そう言ってまた、何度かキスをする。
「回数、多くありませんか?」
「さあ、どうでしょうね。
統計を取ったことがないので、わかりません」
「中川さんに聞いてみたら、わかりますか」
「中川でも知らないことはあると思いますよ。
でも、それは野暮というものです」
「どうして」
「恋人同士のやり取りを人に話したいですか?
お聞きになりたい?」
「?」
「私とキスをたくさんしている、と誰かにお話したいですか」
なっ!
「いやです!
いやっ」
「どうして」
「恥ずかしいからに決まっているでしょう!」
ふふふ、となりあきさまが笑っている。
「だから他の人にはお話せずに、秘密にしておきましょう。
キスの回数なんて、その二人にまかせておけばいい」
「う」
「多すぎる?」
「……うん」
「じゃあ、今夜はこれでやめましょう」
なりあきさまはそう言うと、またそよ風のようにキスをした。
「おやすみなさい、キヨノさん。
また明日キスしましょう」
「ま、まだするんですか」
「ええ、もちろん。
キヨノさんがお嫌でなければ」
「キスすれば、こいびとどうしのまねごとになる?」
「ええ、私はそう思います」
「じゃあ、がんばります」
「本当に嫌なときにはおっしゃってください」
「はぁ」
「じゃあ、今度こそ、本当におやすみ」
なりあきさまは俺のおでこにキスをすると目を閉じた。
この時点で俺は、何回キスをしたのか、数えるのを諦めた。
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