乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ

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1:アイゼン王国編(チュートリアル)

1:断罪

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「婚約は破棄だ。ハイデマリー・アデーレ・トゥ・シーレンベック。お前のような性悪を我が妃に迎えるわけにはいかない」

 いかにも重々しい口ぶりで、王太子ボニファツが口を開いた。
 わたくしは真っ向に王太子を見据えた。

 ここは王宮、奥向きの応接室だ。王太子とその婚約者であるわたくし、それぞれの両親が顔を揃えている。
 扉から一番遠い席に国王夫妻、その右に王太子。国王夫妻の左にはわたくしの父であるシーレンベック公爵とその現夫人。
 わたくしは彼らと相対する位置にひとりで腰を下ろしている。

 どう見ても、一対多。多勢に無勢。わたくしひとりを吊し上げるための場であることは間違いない。

 負けたのだ。わたくしは。

 それでも精一杯の抵抗の結果、少しだけわたくしの末路が変わってはいるようだ。
 本来、『悪役令嬢ハイデマリー』の断罪は王宮の舞踏会という衆目の面前で行われる。王太子の恋人であるヒロインをいじめたという罪状で婚約破棄され、その場で逮捕収監、連れていかれた牢で毒杯を賜るらしい。

 それを思えば、随分とマイルドな断罪ではある。

 悪役令嬢の断罪は現状世界の絶対のことわりらしい。強制力としか言いようのない巡り合わせが何度もわたくしの邪魔をしてきた。
 いじめなどしていない。けれど、アリバイを実証してみても誰も信用しなかった。やっていないことの証明は実質不可能だし、被害者側の申し立てで話が進んでいく。
 そうこうするうちにわたくしは、『ハイデマリー』が本当に悪であろうがなかろうが関係ないのだと気がついた。
 『ハイデマリー』は『ヒロイン』が必要とする『悪役』なのだ。物語の展開に必要な悪。

「お言葉ですが。性悪程度で婚約破棄がなされるなら、この世の中、成婚に至ることのできる方々のほうが少ないのでは?」
「屁理屈を捏ねるな。そういうところが性根が腐っているというのだ。そう思いませんか、シーレンベック公爵」

 わたくしを睨みつけたまま、ボニファツ殿下が話を向けたのはわたくしの父だ。
 嬉々として、シーレンベック公爵が口を開いた。
「如何にも殿下のおっしゃる通り。ハイデマリーのさかしさには私も妻も辟易しておりましてな。我が娘ながら、このような女を妻とすれば男子一生の不覚と言えましょう」

 まるで役者の口上のように滔々と恥ずかしげもない。
 若い頃は浮き名を流しまくったというシーレンベック公爵は四十を超えてもなお美形だ。撫で付けた金髪は溶かした金の色、瞳は薄い紫。王族に数えられる公爵家当主に相応しいと思う。見た目だけは。

 アイゼン王国王家代々の色が金髪と紫の瞳だ。国王夫妻と王太子もシーレンベック公爵と同じ色をしている。この国では最も高貴な色と讃えられている。
 ひいて、わたくし。
 シーレンベック公爵の長子であるわたくしの髪は黒、瞳も黒い。濃い茶色ではなく、まったくの黒だ。南の大国、フォンストルム王国王女だった亡き母譲りのもので、アイゼン王国では少々目立つ異国の風貌である。

 わたくしは自分の見た目は気に入っている。でも、今、この場での疎外感は半端なものではない。周り中が金髪紫瞳で、わたくしを睨みつけているのだから当然だ。
 あ、現公爵夫人は髪も瞳も赤茶色だった。仲間はずれ仲間がいても、別に嬉しくない。

「ハイデマリー。お前の悪事はすでに明らかになっているんだ。……妹を、ゲルダを、腹違いだといっていじめただろう」
「わたくしを下賤の生まれといって見下し、罵詈雑言を浴びせてくることも毎日のことでございましたわ」
 ハンカチを握りしめた現公爵夫人が王太子の言葉に重ねてきた。品のない行いだが、この場では流すらしい。

 現公爵夫人を含めた五人の思惑は一致している。
 わたくしを貶めたいのだ。

「身に覚えがありません」
 実際にないからそうとしか言えない。
「認めなくても構わない。お前との婚約は破棄だ」
「シーレンベック家の娘を妃に迎えずに殿下の治世を守れると?」

 ちょっと軽く、王太子を煽ってやったら覿面。短気なボニファツ殿下は鼻頭に皺を寄せ、わたくしをさらに睨みつけてきた。
 整った顔立ちだけに凄みがある。
 ちょっとヒヤッとしたけど、もちろん顔には出さない。隙を見せれば取られるのは真理。
 ギリギリの勝負だ。油断はできない。

「勘違いするな、ハイデマリー。シーレンベック公爵家との縁組はそのままだ。ただ殿下の相手が姉から妹にかわるだけのこと。お前でなくても不都合はないのだ。つけ上がりおって」
 忌々しげに吐き捨てた公爵は片手を上げ、扉側に控えていた侍従に合図した。
 音もなく開く扉。
 入ってきたのは、もちろん『ヒロイン』だ。

 ゲルダ・シーレンベック。
 ピンクブロンドとピンクからパープルにグラデーションしている瞳を持つ美しい公爵令嬢。現公爵夫人が産んだ、シーレンベック公爵の娘である。
 母が違う姉妹はどちらも十八歳。生まれ月がわたくしのほうが少しだけ早い。それだけで、誰がどういう関係だったかお察しというものだ。

「ゲルダ、さあ、おいで」
 ボニファツ殿下は立ち上がってゲルダを迎え、エスコートして自分の隣に座らせた。その間も見つめ合うふたり。目を細める国王公爵両夫妻。
 薄気味悪い茶番だ。

 ともかく、これで一対六になった。
 わたくしに味方はない。

「どうか全て認めて謝ってください、ハイデマリーお姉様。あなたから受けた陰湿ないじめの数々は殿下にすべて報告しました。いくらお姉様が強情を張ってももう言い逃れはできないんですよ」
 大きな瞳は潤んでいるし、声も肩も震えている。ゲルダは儚く愛らしい。殿下やその周辺が『春の妖精』と称えるのも尤もだと、わたくしでも思うくらい。

 でも、やってもいないことを認めるわけにはいかない。

「わたくしがお前をいじめるわけないでしょう」
「お姉様はわたしとお母様を嫌い抜いてるじゃないですか。顔を合わせるといじわるばかり」
「嫌い抜いているのはお互い様。意地悪ばかり言うのもするのも、お前たち親子でしたが?」
「ほら、すぐにそうやって言い逃れる!」
 また乗っかってきたのは現公爵夫人。追従ばかりで品も知性もない。

「言い逃れではありません。わたくしが悪口だの意地悪だの、小手先の嫌がらせをするとでも? やるのなら徹底的に存在を消します」
「け、けす……?」
 ゲルダがぽかんと繰り返した。

 公爵夫妻は気まずげに、王妃と王太子は一瞬だけ顔を見合わせた。
 性悪だと罵ってきた割には可愛らしい想定しかしていなかったようで笑いたくなる。

 そこで不意に、国王が立ち上がった。
 公爵夫妻も王妃も王太子も、ついでにゲルダもその場で頭を垂れた。わたくしもだ。作法だから仕方ない。

「王太子ボニファツの婚約者はゲルダ・シーレンベックとする。王家と公爵家のつながりは今後も強固で変わりない。よって、ハイデマリー・アデーレ・トゥ・シーレンベック」
 国王の声は重さがあるようだ。

 わたくしは視線をあげて王を見た。王太子があと二十年経ったらこうなるんだろうな、という姿形のアイゼン王は感情のない目でわたくしの方を見ている。
 いや、見てないのかも。
 ただ決められた役割、決められた言葉を口にするための装置みたいだ。

 物語の強制力。
 ゲームの成り行き通りに話が動かされる時、大体、こういう気配がする。

「長い間、王太子の婚約者としての勤め、ご苦労だった。その労に報い、王領よりエンダベルト領を分け与える。以後、二度と現地を離れず統治に励め」
 王の言葉が終わると、控えていた侍従が任命状を載せた台を捧げ持ってわたくしの前に膝をついた。
 任命状は王の署名の入った正式なものだ。
 つまり王命。
 覆ることはない。

 わたくしはゲルダを見、笑みかけた。

『おめでとう。お前はヒロインとしてハッピーエンドに辿り着いた。悪役令嬢はここで退場するわ』

 敢えての日本語だ。

 ゲルダもわたくしと同じく、この世界の異分子であることは随分前に気がついていた。ゲルダが攻略対象がどうの、フラグがこうのと声に出していたのを何度も聞いている。
 攻略情報を忘れないようにするためか、部屋にメモまで残していた。

 ゲルダのメモによると、ここは『恋よ! 花よ!』という乙女ゲームの世界だという。ヒロインの恋愛対象になるのは王太子ボニファツ、白騎士エリアス、公爵家継嗣ゲーアハルト、豪商オスカーの四人と、二周目以降解禁になる隠しキャラがもうひとりいるとか。
 独り言もメモ書きも、ゲルダは日本語を使っていた。誰にもわからないと安心していたはずだ。

『ま、さか、お姉様も転生者だったの……?』

「ゲルダ、どうした? どこの国の言葉だ?」
 驚愕を隠せもしないゲルダを気遣い、ボニファツ殿下が白くて華奢な手を取った。ゲルダがついに涙をこぼした。ボニファツ殿下は大慌てでハンカチを取り出し、必死にゲルダを宥め始める。

 わたくしはイチャつくふたりをまるっと無視して、任命状を汚物のように摘み上げた。

「エンダベルト領領主、拝命いたします。お命じの通り、自領を離れることは致しません」
 
 この国だけでなく、フォンストルム王国の王位継承権も持つわたくしを罪に処すのは生半なことではない。だから追放だ。国内辺境地は順当なところだ。
 もちろん予想していた地だ。

 負け戦の、ギリギリの落とし所としてはまあまあと言える。強制力には勝てなかったが、捻じ曲げることはできた。

「あの恐ろしい女は二度と君の前には現れないよ、ゲルダ。もう大丈夫だ」
「殿下……」
「私が君を守るよ。生涯かけて、ずっとだ」
「……はい!」

 見つめ合う花のように美しいヒロインと、彼女を守る麗しのヒーロー。
 キラキラ輝くふたりの笑顔のスチルが入る、というシーンだろうか。
 そして流れるスタッフロール。メインテーマ曲が終わるとルートごとのエンドスチルが表示される。

 画面ではないから見えないのが残念だが、この場合だと、再来年のボニファツ殿下とゲルダの結婚式の場面ではないだろうか。
 皆に祝福される若き王太子夫妻。舞い散る花びら、華やかなウェディングドレス。ヒロインの幸せの具現だ。

 そして最後に出てくるお決まりの言葉。


『THANK YOU FOR PLAYING』


 『ヒロイン』は無事にハッピーエンドを迎え、乙女ゲームは終わった。




 さあ。
 ここからは私の番だ。


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