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第四章 自由の羽
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「制圧完了! 少年よ、感謝する」
水蒸気で囲まれた王都内の袋小路。ホルンは、視界を奪われた状態で、男の声を聴いた。何が何だか分からないホルンは、狼狽えていた。突然、目の前が真っ暗になったからだ。すると、ホルンの体を覆っていた無数の『マスイノトリ』が一斉に飛び立った。
「ピチチチチチ!」
「え? あ、プッチ?」
ホルンの肩に、プッチが止まっており、ご機嫌そうに鳴いている。無数の『マスイノトリ』が、ホルンの体に集まり、黒い化け物と化していた。
「やあやあ、無事終わったみたいだね? ホルンの頑張りが国を救ったのさ」
「あ、ノアさん! 上手くいったんですか?」
「ああ、ばっちりだ! すべては、ホルンのお陰だよ。シュガーホープ七世様も非常に喜んでおられた。君の功績を称え、君の親友君に会う許可も頂けたよ」
「え? 本当ですか!? やったあ!」
ホルンは、両手を突き上げ、飛び跳ねた。プッチは、ホルンの頭上を飛び回り、嬉しそうにさえずっている。
「それじゃあ、早速地下監獄へ出向くとしようか。捕らえられた『雪幻の光路』は、そこにいる」
ホルンは、表情を引き締め、力強く顎を引いた。
地下下水道へと向かう入り口の扉を押し開けると、長い階段が現れる。人二人分ほどの広さの階段を下っていく。壁には明るい光が灯っており、足元をしっかりと確認する事ができた。階段を下ると、筒の中にいるような円形の地下道が続いている。地面は平たく整備され、地面の中央には鉄格子がはめられている。鉄格子の下には、激流の下水が流れている。鉄格子の上を歩けなくもないが、鉄格子を挟んだ両脇が通路となっていた。
暫く、下水道内を歩いていると、前方に鉄の檻のような柵が現れ、その前に二人の『シールド』隊員が待ち構えていた。
「ああ、キッシュベル殿。話は聞いております。中へどうぞ」
「どうもどうも」
ノアは隊員に手を振り、檻の扉を潜った。檻の中の壁には、等間隔で鉄格子が設置されている。この場所が、監獄だ。下水道の壁を四角く切り取り、通路面の一面が鉄格子だ。そこかしこから、悲鳴や叫び声が鳴り響いている。檻の中には、泣き崩れている者、暴れまわっている者、絶望し項垂れている者など様々いた。ノアは檻の一つ一つの前で立ち止まり、中を確認する。
「ホルン。ビッシュはいるかい?」
「えっと・・・よく見えませんが・・・ノアさん、もう少し左を向いて! ここにはいないみたいです」
「そうか、よし、次だ」
ノアは、隣の檻へと移動した。檻の前で立ち止まったノアは、右から左へと体の向きを変えていく。
「あ! ビッシュだ! ノアさん! いました! あの一番奥で座っているのが、ビッシュです」
「よし、分かった」
ノアは、胸元から鍵の束を抜き取り、扉を解錠する。
「え? ノアさん。その鍵は、どうしたんですか?」
「先ほど、失敬したのさ。後で返しておくから、問題ないよ」
ノアは体を屈めて、檻の中へと入った。今更、ノアに正論を吐いても仕方がないし、ある意味ホルン自身も共犯なので、黙っておく事にした。ノアは、囚人達をかき分け、檻の一番奥へと向かった。
「ビッシュ君だね?」
「・・・え? お、お姉さんは?」
「ちょっと、私についてきてもらえないかね? 会わせたい人がいるのだよ」
ノアは、ビッシュの腕を掴んで、強引に立たせた。そして、ビッシュの腕を引っ張り、檻の外へと出る。そして、扉を施錠した。
「おやおや、この中にいる囚人さんは、おとなしい人達ばかりだねえ。私はてっきり逃げ出すかと思ったよ。しかし、君達の判断は、正しいよ。命は大切にしなきゃね」
ノアは、檻の中に向かって片目を閉じ、口角を持ち上げた。狼狽えているビッシュに構う事なく、ノアはスタスタと歩いていく。そして、先ほど入った監獄の出入り口に差し掛かる前に、立ち止まった。
「ちょっと、窮屈だろうけど、暫くここに隠れていてくれないか」
「え? 隠れるって? うわっ!」
ノアは膨らんだスカートの裾を持ち上げて、ビッシュの頭から被せた。
「左足は塞がっているから、右足にでもしがみついておいてくれないか」
「え? え? ホルン!? え?」
「ビッシュ早くしがみついて! ノアさん歩き出しちゃうから!」
ノアのスカートの中で、足にしがみついているホルンが、戸惑うビッシュを急かしている。ビッシュは、狼狽えながら、顔を真っ赤にして、遠慮がちにノアの足にしがみついた。
「ビッシュ! やっと会えたね? 無事で良かった! どこか怪我とかしてない?」
「い、いや、それよりも、この状況でお前はよく平然としてられるな?」
「いや、確かに窮屈だけどさ、でも仕方ないんだよ。流石に、僕がうろつく訳にはいかないからね」
「いや、そういうことじゃねえよ!」
ビッシュは、ドキドキしながら、ノアの足にしがみついている。
「いやあ、青春だねえ。思春期かな?」
「うるさい!」
ケラケラ笑うノアに、ビッシュはすかさず突っ込んだ。ノアは、ホルンとビッシュを両足に装着し、何食わぬ顔で監獄の外へと出た。
「ご苦労様です」
「キッシュベル殿? いったい何用で?」
「ああ、シュガーホープ七世様のお使いさ。『雪幻の光路』の様子を見てきて欲しいと」
「ああ、そうでしたか。まだまだ、増えそうです。檻に収まりきるかどうか」
「アラアラ、それは大変だね」
「まあ、そうなれば、『ソード』の方々が始末して、空きを作って下さるでしょうけれど」
「おお、怖い怖い。私は、早々に退散いたします」
ノアは、片手を上げて、地下下水道を歩いていく。
水蒸気で囲まれた王都内の袋小路。ホルンは、視界を奪われた状態で、男の声を聴いた。何が何だか分からないホルンは、狼狽えていた。突然、目の前が真っ暗になったからだ。すると、ホルンの体を覆っていた無数の『マスイノトリ』が一斉に飛び立った。
「ピチチチチチ!」
「え? あ、プッチ?」
ホルンの肩に、プッチが止まっており、ご機嫌そうに鳴いている。無数の『マスイノトリ』が、ホルンの体に集まり、黒い化け物と化していた。
「やあやあ、無事終わったみたいだね? ホルンの頑張りが国を救ったのさ」
「あ、ノアさん! 上手くいったんですか?」
「ああ、ばっちりだ! すべては、ホルンのお陰だよ。シュガーホープ七世様も非常に喜んでおられた。君の功績を称え、君の親友君に会う許可も頂けたよ」
「え? 本当ですか!? やったあ!」
ホルンは、両手を突き上げ、飛び跳ねた。プッチは、ホルンの頭上を飛び回り、嬉しそうにさえずっている。
「それじゃあ、早速地下監獄へ出向くとしようか。捕らえられた『雪幻の光路』は、そこにいる」
ホルンは、表情を引き締め、力強く顎を引いた。
地下下水道へと向かう入り口の扉を押し開けると、長い階段が現れる。人二人分ほどの広さの階段を下っていく。壁には明るい光が灯っており、足元をしっかりと確認する事ができた。階段を下ると、筒の中にいるような円形の地下道が続いている。地面は平たく整備され、地面の中央には鉄格子がはめられている。鉄格子の下には、激流の下水が流れている。鉄格子の上を歩けなくもないが、鉄格子を挟んだ両脇が通路となっていた。
暫く、下水道内を歩いていると、前方に鉄の檻のような柵が現れ、その前に二人の『シールド』隊員が待ち構えていた。
「ああ、キッシュベル殿。話は聞いております。中へどうぞ」
「どうもどうも」
ノアは隊員に手を振り、檻の扉を潜った。檻の中の壁には、等間隔で鉄格子が設置されている。この場所が、監獄だ。下水道の壁を四角く切り取り、通路面の一面が鉄格子だ。そこかしこから、悲鳴や叫び声が鳴り響いている。檻の中には、泣き崩れている者、暴れまわっている者、絶望し項垂れている者など様々いた。ノアは檻の一つ一つの前で立ち止まり、中を確認する。
「ホルン。ビッシュはいるかい?」
「えっと・・・よく見えませんが・・・ノアさん、もう少し左を向いて! ここにはいないみたいです」
「そうか、よし、次だ」
ノアは、隣の檻へと移動した。檻の前で立ち止まったノアは、右から左へと体の向きを変えていく。
「あ! ビッシュだ! ノアさん! いました! あの一番奥で座っているのが、ビッシュです」
「よし、分かった」
ノアは、胸元から鍵の束を抜き取り、扉を解錠する。
「え? ノアさん。その鍵は、どうしたんですか?」
「先ほど、失敬したのさ。後で返しておくから、問題ないよ」
ノアは体を屈めて、檻の中へと入った。今更、ノアに正論を吐いても仕方がないし、ある意味ホルン自身も共犯なので、黙っておく事にした。ノアは、囚人達をかき分け、檻の一番奥へと向かった。
「ビッシュ君だね?」
「・・・え? お、お姉さんは?」
「ちょっと、私についてきてもらえないかね? 会わせたい人がいるのだよ」
ノアは、ビッシュの腕を掴んで、強引に立たせた。そして、ビッシュの腕を引っ張り、檻の外へと出る。そして、扉を施錠した。
「おやおや、この中にいる囚人さんは、おとなしい人達ばかりだねえ。私はてっきり逃げ出すかと思ったよ。しかし、君達の判断は、正しいよ。命は大切にしなきゃね」
ノアは、檻の中に向かって片目を閉じ、口角を持ち上げた。狼狽えているビッシュに構う事なく、ノアはスタスタと歩いていく。そして、先ほど入った監獄の出入り口に差し掛かる前に、立ち止まった。
「ちょっと、窮屈だろうけど、暫くここに隠れていてくれないか」
「え? 隠れるって? うわっ!」
ノアは膨らんだスカートの裾を持ち上げて、ビッシュの頭から被せた。
「左足は塞がっているから、右足にでもしがみついておいてくれないか」
「え? え? ホルン!? え?」
「ビッシュ早くしがみついて! ノアさん歩き出しちゃうから!」
ノアのスカートの中で、足にしがみついているホルンが、戸惑うビッシュを急かしている。ビッシュは、狼狽えながら、顔を真っ赤にして、遠慮がちにノアの足にしがみついた。
「ビッシュ! やっと会えたね? 無事で良かった! どこか怪我とかしてない?」
「い、いや、それよりも、この状況でお前はよく平然としてられるな?」
「いや、確かに窮屈だけどさ、でも仕方ないんだよ。流石に、僕がうろつく訳にはいかないからね」
「いや、そういうことじゃねえよ!」
ビッシュは、ドキドキしながら、ノアの足にしがみついている。
「いやあ、青春だねえ。思春期かな?」
「うるさい!」
ケラケラ笑うノアに、ビッシュはすかさず突っ込んだ。ノアは、ホルンとビッシュを両足に装着し、何食わぬ顔で監獄の外へと出た。
「ご苦労様です」
「キッシュベル殿? いったい何用で?」
「ああ、シュガーホープ七世様のお使いさ。『雪幻の光路』の様子を見てきて欲しいと」
「ああ、そうでしたか。まだまだ、増えそうです。檻に収まりきるかどうか」
「アラアラ、それは大変だね」
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