異世界は召喚魔法が主流です

ユーキ

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第十五話

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おはようございます。いまの時刻は八時二十分、遅刻まで後十分です。まぁ、どうにかなるけどね。時空間魔法を発動する。これだけで学園についてしまうのだ。

「おはよう」
「おはようございます」
教室に入ると人数はかなり少ないけど、仲のいいグループが出来上がっている。俺はティナとシャロンと仲がいい感じだ。ちょっと微妙な感じもあるが……。

「はい、みんないるかな。じゃあ、魔法練習場に行くぞ!」
今日は入学式から一日目。召喚魔法を使う日だ。この日で人生が決まるかもしれないと言えるぐらいの大事な日だ。高ランクのモンスターが出れば、冒険者として名を馳せることになるかもしれない。回復魔法の使える超希少なモンスターが出れば、ホーリストの聖教会と呼ばれるこの国の宗教のトップのお偉いさんになれるかもしれない。もしくは聖女に。そのくらい大事な事だ。

ちなみに、この国にはここにしか巨大召喚石がないから、いろんな学園からも人が来る。明日だけど。

「楽しみですね」
「強いモンスターが出てくれるといいな」
みんなもがやがやと興奮している。無理もないか。俺は魔力が無限だから召喚石を使わなくてもSSSランクのモンスターが出るけどね。
「静かにしろ~!」
さすがに怒られた。

「整列してください!!」
魔法練習場には、入学したての一年生がズラッと整列している。なんとも爽快な景色だ。一見落ち着いてるようにも見えるが、心の奥で興奮してると思う。顔が気持ち悪く不気味に微笑んでいるし。

「今日はみなさんにとって、大事な日になると思います。気を引き締めておきましょう。では、注意事項を説明しておきます。召喚するときに、あまり魔力を込めすぎないことです。名付けに影響したり、魔力切れで倒れます。喜びすぎて、他人の邪魔になることをしないことです。時間がかかってしまいます。では、Cクラスから始めてください」

うん。特に心配するべきことではないな。魔力が尽きることなんてまずないだろうし、変に喜びすぎることもないだろうな。めちゃめちゃ強いモンスターがでて大変なことになるとは思うが。

困ったことは名付けだな。ネーミングセンスがないからな。メスドラゴンがでたら、ドラ子って名付ける自信があるんだよな。名付けは自分の魔力で名を与え、永遠の忠誠を誓わせることだから慎重にしないとな。魔力を込めれば込めるほどランクも上がるんだっけ。Fランクのゴブリンに名前をつけて、Cランクにしたっていう話もあるしな。

 がやがやと召喚魔法の発動が始まっている。なにランクのモンスターかは、先生が鑑定石という道具を使って行う。この鑑定石はSSSランクまで測定できる国宝級の石だ。SSSランクのモンスターなんて、一度しか召喚されたことがないのに。伝説の聖竜しかね。

「あー!Eランクかよ!」
「よし!!Dランクだ!」
喜びの声も悲しみの声も交互に響き渡る。モンスターはDランクで一般。Cランクならそこそこ強めといった感じだ。Dランクでもなかなかいい方の部類に入るんだけどね。

「おおっーー!Bランクです!」
おお、なかなかすごいな。Bランクは相当強いぞ。どうやらハイオークと呼ばれるオークの上位種のようだ。
「す、すげぇー!!」
「かっこいい~!」
豚(ハイオーク)ってかっこいいか?

「では、Sクラスのみなさんは召喚してください」
どうやら、順番が来たようだ。三時間も待ったよ。

順番はここに来るときにくじ引きで決めた。最初はルークで最後は俺だ。

ルークは、魔力を込め召喚魔法を発動する。出てきたのは筋肉牛だ。
「こ、これは、Bランクのミノタウロス!!」
まぁまぁだな。しかし、ミノタウロスって実際に見るとかなり気持ち悪いな。二足歩行のマッチョな牛だからな。

その後は順番に召喚魔法を使っていく。リアがBランクのスノーフェアリーと呼ばれる小さな妖精。シャロンはCランクのクレイジースケルトンという少し頭のおかしいスケルトン。ティナはBランクのビックラビットという大きめの青みがかったうさぎだ。セオドリクはBランクで最強級のダークタイガーを召喚した。おとなしいセオドリクとは正反対の獰猛なモンスターだ。だが、召喚モンスターは主人の命令に忠実だ。

「では、最後のアルト」
ついに俺の番が来た。目立ちたくはないが、仕方がない。だって強いモンスターほしいじゃん。黒龍刀一本で無双できる気がするけど。

紫色に光っている巨大召喚石の前にたつ。使いすぎで少し欠けているところもあるが、まだ使えるだろう。俺の魔力に耐えられるかはわからんが。

俺は膨大な魔力を練り、召喚魔法を発動する。その瞬間、ものすごい閃光が走る。光が収まると、そこには一本の剣が突き刺さっていた。黄金に輝く、どんなものでも切り刻んでしまいそうな剣だ。だが、その剣は前世で憧れをもっていたあの──

と、またしても閃光が走る。今回はかなり弱い光だった。今度は、金髪の美しい女性が立っていた。目は蒼く、宝石のように輝き、俺のよりも高い身長だ。その、高いところにある目で、俺をじっと見据えている。

「貴方様に従えるべく、召喚に応じました。名は、今はありません」
よく澄んだ声で淡々と述べた。まさか、こんなモンスター?が召喚されるとは。ていうか、名はないと言ってもつける名前は決まっているし。

「そ、そ、そんな馬鹿な!!ランク、SSS!!!?」
と、先生が叫ぶ。それと同時に、魔法練習場は興奮で溢れてしまった。SSSランク、それは国を滅ぼす力もあるとされる強力なモンスター。そんなのが召喚されて、騒がれない方がおかしい。
「ヴォーーー!!!!すごい、凄すぎる!!」
「こ、神々しい。なんて、美しい!!」
あ、結構ヤバイな。

「み、みなさん落ち着くてください。これより名付けをします。召喚したモンスターに名を与えてください!!」
さすがは先生、こんな場面でも落ち着いているとは。あ、落ち着いていない。目が逝ってる。

「すごいですね」
「お前がそんなに強いのを!!」
と、Sクラスのみんなが羨望の視線を送ってくる。正直、今にも逃げ出したくなるな。

まぁ、名前をつけるか。だが、考える必要なんてないな。無言でいるこのモンスターに付ける名前は。

「お前の名前は〝エクスカリバー〟だ!!」
召喚魔法を使った時よりも膨大な強大な魔力を込める。名をつけた瞬間、圧倒的な力が伝わってくる。やばい、やっちまったかな?歩いただけで大陸崩壊みたいなことにならなければいいな。

「エクスカリバー、前世の名前と同じですね。名の通りご主人様の剣となりましょう」
前世と同じ名前、てことはエクスカリバーは地球からきたのか。神様、いいことしてくれるな。

「みんなも名付けは終わった?」
周りでウンウンと唸っていたみんなに声をかける。
「はい、この子はモフちゃんにしました」
ティナってネーミングセンスがないんだね。
「あたしはスカルにしたよ」
「わたしはユキちゃんです」
リアもシャロンもネーミングセンスがなかった。俺はそのままの前世の名前にしたからいい名前だと思っている。

「オレはマッチョロスにしたゼ」
「僕はダークンに決めたよ……」
決定!!この世界の人はネーミングセンスがない!なんだよマッチョロスって?マッチョとミノタウロスを足したのかよ!突っ込みところが多すぎる。だが、他人は他人だ。

すると、いきなり恐ろしい気配がした。圧倒的に力と殺気を。それを感じる方向を見ると一人の男が立っていた。

「フフフ、これが巨大召喚石ですか」
これが、この世の騒乱の始まりになった。
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