至って平凡なハーレムのお話

える

文字の大きさ
5 / 9

5. 既に両手に花ですがなにか

しおりを挟む


 お鍋を待っている間にまた隣の部屋の扉が開いた。
 風間さん帰ってたんだ。まあ、そりゃ俺たちがご飯食べてる間ずっと外ってことは無いよな。

 でもなんかさっきより不機嫌じゃないか…?えー、なんで?


「そんなところにしゃがんで、寒くないのか?」

「んー、ちょっと寒いですけど、良美さんすぐ戻ってくると思うんで。」

「む、犬飼さんだけずるい。俺も名前で呼んで欲しい。」

「幸人さん?はなんか言いづらいから、ゆきさんでどうですか?」

「ふふ、嬉しいよ。真空くんはさ、どんな人が好みなの?」


 急に好みの話!?どうしたんだろ?
 でも俺の好みってあげたらキリがないしなぁ…

 え、ちょちょ、何?急に擦り寄ってくるのは反則では!?猫か!あなたは猫か!顎こちょこちょしちゃうぞ!


「あふ、ん、こら。大人をからかわないの。ぁ、質問に、答えて?」

「俺の好みはあげたらキリがないんですよ。好きな人もいっぱいいるし。」

「へぇ、それは皆女の人?」

「はは、俺ゲイなんで。今みたいな可愛い声出してると、襲っちゃいますよ。」

「俺は君の好み?」

「はい、バッチリ。顎くすぐるの、気持ちいいですか?」


 ああ、とても心地よくて気持ちいいよ、だって。そんな可愛いこと言ってるとキスマークつけちゃうぞ~。

 って顔近づけたら、良美さん戻ってきてた。


「こ、こらぁ!風間さんも真空くんも何してるのっ!」

「あ、戻ってきた。ゆきさん、またね。次のお休み楽しみにしてる。」

「あと少しだったのに。犬飼さんってば…。またね、真空くん。」


 少し、いやかなり残念そうなゆきさんは去り際に俺の頬にキスを落として、自分の部屋に戻って行った。

 うわ、大人の余裕ってやつだ。今度の休みはグズグズにしてやるから覚悟しといてね、ゆきさん。


「さてと、良美さんおかえりなさい。中入りましょうか。」

「…ん。」

「あぁ~、やだった?」

「…ん。」

「じゃあお詫びさせてください。ね?」

「…、ん。」


 拗ね方まで可愛いんですけどこの未亡人!いやまあ未亡人は俺がつけたあだ名だけど。
 良美さん未婚の独身って言ってたからね。

 中に入って靴を脱ごうとする良美さんから鍋を取り上げて、二口あるコンロの片方に置いとく。

 素早く良美さんの方にかけ寄って、手を引いてご飯の時と同じ位置へ。

 俯く良美さんの顔を下から覗き見ると、ちょっと目がうるうるしてる。


「わわ、ごめんね?良美さん、そんなに嫌だった?」

「ち、違うの。真空くんが他の人とも仲良くするのは別に嫌とかじゃないの…。でも、今朝は僕が独り占めできると思ってたから…、ちょっとやだった…。」

「そうだったんだ。それは俺が悪いね。今日は土曜日だし、もうこっから出る用事もないんだけど、もう少し俺と一緒にいてくれる?」

「今日はずっとここにいるの?」


 いや、本当は買い物とか行こうと思ってたけど、良美さんのうるうる攻撃受けたら良美さん以外の用事無くなるでしょうよ。
 うるうるな良美さんの手を握って、ずっと居ますよって言ったら、ふにゃふにゃ笑顔頂きました。


「じゃあ、今日は僕もずっとここにいるね。お泊まりしてもいい?」

「ふぁっ!?おと、おと、お泊まり!?俺の理性の脆さナメてます!?」

「ふふ、僕も夜這いしちゃうかもしれないし、お互い様だよ。」


 お互い様だよ、じゃねえ!いいのか!?これはもうOKなのか!?

 お泊まりってことは、あれか?湯上りの良美さん?パジャマの良美さん?寝起きの良美さん!?

 最高かよ!!!!!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

俺の指をちゅぱちゅぱする癖が治っていない幼馴染

海野
BL
 唯(ゆい)には幼いころから治らない癖がある。それは寝ている間無意識に幼馴染である相馬の指をくわえるというものだ。相馬(そうま)はいつしかそんな唯に自分から指を差し出し、興奮するようになってしまうようになり、起きる直前に慌ててトイレに向かい欲を吐き出していた。  ある日、いつもの様に指を唯の唇に当てると、彼は何故か狸寝入りをしていて…?

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

処理中です...