上 下
16 / 22
急に始まる学園編 ~完結まで猛ダッシュ☆~

1

しおりを挟む



 さあ、悪夢の婚約会議から8年が経ちました。

 早すぎる?仕方ないじゃん。ずーっと同じこと繰り返してたんだもん。

 王太子妃になるための教育に、鮫島くん改駄犬の調教と散歩という名のデート。

 私の精神が日々削られて行ったぶん、文字数も減りました。そうだね、HP4,000~5,000くらいかな。雑魚ならまず死んでる。チュートリアルで絶対貰える初期キャラパーティが格上とバトってんだからまあ死ぬよね。

 その点私はあれだよ。レア度高めの推しキャラを集めたパーティで、全キャラお金の力でスキルバンバン開放させて無双するタイプの人間だからさ。

 ちゃんとスキルバランスも見てるし割とつおいのよ??

 とまあ、そんな訳で学園始まったよ。今始業式終わってヒロインとの出会いイベントしてるとこ。

 え、なんでそんな冷静なのかって?

 違う違う。これは冷静なんじゃないの。呆れ返ってんの。

 駄犬がシナリオ通りにならなさすぎて…


「ノア、大丈夫だった?まったく。貴様が勝手に転んでおいて、私の婚約者に罪をなすり付けようなどとは… 余程牢獄に入りたいのだな?」

「ルモンド殿下。殿下はとぉーっても牢獄がお好きなのですねぇ…?私気にしてませんのに、ホイホイと牢獄に入れてしまっては民が居なくなりますわ。
 そこの貴女。ええ、貴女ですわアリス・トーニャ子爵令嬢様。その方を医務室へご案内して差し上げて。
 一人で歩けるでしょうから男子生徒の付き添いは無用です。歩けるわね?無理なら私が補助魔法を付けますわ。申告なさい。」

「…歩けるわよ。」

「そう。なら行きなさい。殿下も良いですね?」

「優し過ぎないかい?これは立派な不敬罪だ。」

「婚約段階である今、私は未だモルフェス公爵家に属します。罪に問われるほどの不敬ではございません。さあ、皆様。まもなくお昼休みも終わりますわ。お急ぎになってはいかが?」


 声をかければ蜘蛛の子を散らすように退散する生徒達。

 人っ子一人居ない中庭のベンチで、私は駄犬に抱きかかえられました。

 これがさぁ… 最近可愛く見えちゃってさぁ…

 絆されちゃったのかなぁと…

 好きだなぁと感じることもあるし、多分もう前世でのことはチャラになるくらい私に尽くしくれてるし、もういいかなぁ…



しおりを挟む

処理中です...