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16 主人公の過去(里菜との思い出?)
◯主人公の過去(里菜との思い出?)◯
5歳の僕が住宅地を歩いている。
この住宅地は母の実家がある地域だ。僕はたまたま母の実家に遊びに来ていた。田舎町であるこの地域にはいろんな植物や虫がいた。子供の頃の僕は植物や虫を見るのが好きだった。
このときも植物や虫を見るために田舎町を散策していた。
近くの電柱でミンミンゼミが鳴いていた。それを僕は見ていた。滅多に見れないミンミンゼミに目を輝かせて。
ミンミンゼミは鳴き終えると飛んでいってしまった。
僕は再び歩き出す。
季節は夏だが、今日は比較的涼しかったので絶好の散歩日和だった。
近くの林の中からヒグラシの鳴く声が聞こえてくる。
西の空が少しだけ夕焼け色に染まっていた。
そろそろ帰ろうかな。
そう思ったとき泣き声が聞こえてきた。
僕はその泣き声の元に向かった。
ヒグラシの鳴く声が聞こえる林の近くの道路で女の子が座り込んで泣いていた。青いワンピースを着た女の子だ。
「どうしたの?」
僕は声をかける。
女の子が顔を上げる。一瞬里菜先輩と錯覚してしまう。でも少女の顔は里菜先輩よりも少しだけ幼かった。
15歳の僕が思う。里菜先輩、子供の頃とあんまり変わらないな。
「迷子になっちゃったの」
少女は泣きながら答える。
「そっか。大丈夫だよ。僕が必ずキミを家まで連れてってあげるから」
「ホント?」
「ああ、ホントだよ」
僕は笑顔を浮かべる。
「意地悪しない?」
「意地悪?僕が?」
「うん」
「しないよ」僕は笑顔を浮かべる。「絶対しない。約束する。指切りしてもいいよ」
「お兄ちゃんのこと信じる」
「ありがとう」
僕は笑顔で言う。
少女が立ち上がろうとする。だが「痛い!」と再び座り込んでしまう。
「足が痛い」
「靴ずれかな?」
「わかんない」
「歩けそうにない?」
「わかんない」
再び泣きそうな顔になる。
「おんぶしてあげるよ」
「ホント?」
「ホントだよ」
僕は少女に背中を向け、しゃがむ。「ほら、乗って」
「うん」
少女は頷き、僕の背中に乗る。
僕は少女をおぶったまま立ち上がる。妹と同じくらいの重さだ。この程度の重さなら余裕だ。
「重くない?」
「ぜんぜん。余裕で歩けるよ。ほらね」
僕は歩いてみせる。
「お兄ちゃん、力持ち?」
「そうだよ。力持ちだよ。だからおんぶなんて余裕だよ」
「すごいね」
「ありがとう。じゃあ、出発しようか。キミの家に向かってね」
「うん」
僕は歩き出す。
さて・・・どこに向かおうか?少
女に聞いても自宅の場所はわからないだろう。わかっていたらあんなところで泣いてないはずだ。
そういえばこの辺りに交番があった気がする。交番に向かおう。
そう思った僕は交番に向かって歩き出す。
僕は少女をおぶったまま歩き続ける。歩きながら少女に声をかける。
「そういえばまだ名前聞いてなかったね」
「陽菜」
「陽菜ちゃんか。可愛い名前だね」
「ありがと。お兄ちゃんの名前は?」
「光だよ」
「綺麗な名前だね」
「ありがとう」
僕は笑顔で答える。
「お兄ちゃんって優しいね。私、男の子にこんなに優しくされたの初めて」
「そうなんだ」
「うん。私の周りにいる男の子って意地悪ばかりしてくるの。嫌いな虫を見せてきたり、ボールをぶつけてきたり、スカートを捲ったり」
「酷いね」
「うん。だからね、男の子って嫌いなの」
「そっか」
「でも、お兄ちゃんのことは好きだよ」
「ありがと」
「お兄ちゃんは好きな女の子いる?」
「いないよ」
「そうなんだ。お兄ちゃん、優しいからモテそうなんだけど」
「優しいだけじゃモテないよ」
「そうなの?」
「うん」
「でも私は好きだよ。だから将来お兄ちゃんに彼女ができなかったら私が結婚してあげる」
「ありがと」
「ところでお兄ちゃんは何歳?」
「5歳だよ」
「えっ、5歳なの。私と同い年じゃん」陽菜が驚いたように言う。「年上だと思ってた」
「妹がいるからじゃないかな?」
「そうなんだ。妹さん、可愛い?」
「可愛いよ」
「私にもね、可愛いお姉ちゃんがいるんだよ。名前は里菜。里菜はね、お姉ちゃんだけど、私と同じ5歳なの」
「双子?」
「そう。双子なの。私ね、お姉ちゃんのこと、大好きなの」
「僕も妹が大好きだよ」
「私達似てるね」
「そうだね」
「そっか。同い年なんだ。じゃあ、お兄ちゃんって呼ぶのは変だね。光くんって呼ぶね」
「うん」
・・・おかしい。この辺りに交番があったはずなんだけど。もうかれこれ30分近く歩いてるのに。どこにも交番らしき建物がない。交番、引っ越してしまったのか?
「ねえ、疲れてない?」
陽菜が心配そうに言う。
「大丈夫だよ」
本当に大丈夫だった。僕はこう見えて体力があるのだ。
「光くんは本当に優しいね。私を見つけてくれたのが光くんでよかったよ。私、いじめっ子に好かれるタイプだから」
「そうなんだ」
「うん。だからよく意地悪されるの」
「陽菜ちゃんのことが好きだからつい意地悪しちゃうんじゃないかな?」
「そんなの都市伝説だよ。きっと私のこと嫌いだから意地悪するんだよ。光くん、私のこと好きだよね?好きだからおんぶしてくれてるんだよね?」
「そうだね」
「でも私に意地悪したいと思わないよね。もし、好きだから意地悪することが本当なら、光くんも私に意地悪するはずだよね」
「そうだね」
「ほらね。やっぱり好きだから意地悪するのって都市伝説なんだよ」
「そうかもね」
「そうだよ。だから男の子はみんな嫌い。好きなのは光くんだけ」
「ありがと」
「うん。だから将来、彼女できなかったら私が彼女になってあげるからね」
「うん」
子供の頃の妹は将来お兄ちゃんと結婚するのと言っていた。それと同じような気持ちで陽菜は僕のことを好きだと言っているのだと僕は思っていた。だから笑顔で陽菜の好きという言葉を聞いていることができた。陽菜は僕と同じ5歳だけど、妹のようにしか僕には思えなかった。
「陽菜!」
背後から声が聞こえた。見ると30代くらいの女性がいた。
「お母さん!」
陽菜が言う。
「こんにちわ」
僕は挨拶する。
「こんにちわ」
「迷子になっていたんです。足を痛めてるようだったのでおんぶして、交番に向かってたんです」
「そうだったの。ありがとね」
「いえ」
僕は陽菜を地面に下ろす。
母親が陽菜をおんぶする。
「光くん、ありがとね」
陽菜がお礼を言った。
「どういたしまして」
僕は笑顔で言う。
「じゃあね、バイバイ」
「バイバイ」
そして陽菜は行ってしまった。
なんだ?この回想は・・・陽菜は里菜先輩の妹?双子の妹?
でも里菜先輩は迷子になっているところを僕に助けられたと言った。それで僕を好きになったと言った。
でもこの回想で僕が助けたのは陽菜のほうだ。里菜先輩ではない。なのに里菜先輩は僕に助けられたと言った。
どういうことなんだ?わからない。
5歳の僕が住宅地を歩いている。
この住宅地は母の実家がある地域だ。僕はたまたま母の実家に遊びに来ていた。田舎町であるこの地域にはいろんな植物や虫がいた。子供の頃の僕は植物や虫を見るのが好きだった。
このときも植物や虫を見るために田舎町を散策していた。
近くの電柱でミンミンゼミが鳴いていた。それを僕は見ていた。滅多に見れないミンミンゼミに目を輝かせて。
ミンミンゼミは鳴き終えると飛んでいってしまった。
僕は再び歩き出す。
季節は夏だが、今日は比較的涼しかったので絶好の散歩日和だった。
近くの林の中からヒグラシの鳴く声が聞こえてくる。
西の空が少しだけ夕焼け色に染まっていた。
そろそろ帰ろうかな。
そう思ったとき泣き声が聞こえてきた。
僕はその泣き声の元に向かった。
ヒグラシの鳴く声が聞こえる林の近くの道路で女の子が座り込んで泣いていた。青いワンピースを着た女の子だ。
「どうしたの?」
僕は声をかける。
女の子が顔を上げる。一瞬里菜先輩と錯覚してしまう。でも少女の顔は里菜先輩よりも少しだけ幼かった。
15歳の僕が思う。里菜先輩、子供の頃とあんまり変わらないな。
「迷子になっちゃったの」
少女は泣きながら答える。
「そっか。大丈夫だよ。僕が必ずキミを家まで連れてってあげるから」
「ホント?」
「ああ、ホントだよ」
僕は笑顔を浮かべる。
「意地悪しない?」
「意地悪?僕が?」
「うん」
「しないよ」僕は笑顔を浮かべる。「絶対しない。約束する。指切りしてもいいよ」
「お兄ちゃんのこと信じる」
「ありがとう」
僕は笑顔で言う。
少女が立ち上がろうとする。だが「痛い!」と再び座り込んでしまう。
「足が痛い」
「靴ずれかな?」
「わかんない」
「歩けそうにない?」
「わかんない」
再び泣きそうな顔になる。
「おんぶしてあげるよ」
「ホント?」
「ホントだよ」
僕は少女に背中を向け、しゃがむ。「ほら、乗って」
「うん」
少女は頷き、僕の背中に乗る。
僕は少女をおぶったまま立ち上がる。妹と同じくらいの重さだ。この程度の重さなら余裕だ。
「重くない?」
「ぜんぜん。余裕で歩けるよ。ほらね」
僕は歩いてみせる。
「お兄ちゃん、力持ち?」
「そうだよ。力持ちだよ。だからおんぶなんて余裕だよ」
「すごいね」
「ありがとう。じゃあ、出発しようか。キミの家に向かってね」
「うん」
僕は歩き出す。
さて・・・どこに向かおうか?少
女に聞いても自宅の場所はわからないだろう。わかっていたらあんなところで泣いてないはずだ。
そういえばこの辺りに交番があった気がする。交番に向かおう。
そう思った僕は交番に向かって歩き出す。
僕は少女をおぶったまま歩き続ける。歩きながら少女に声をかける。
「そういえばまだ名前聞いてなかったね」
「陽菜」
「陽菜ちゃんか。可愛い名前だね」
「ありがと。お兄ちゃんの名前は?」
「光だよ」
「綺麗な名前だね」
「ありがとう」
僕は笑顔で答える。
「お兄ちゃんって優しいね。私、男の子にこんなに優しくされたの初めて」
「そうなんだ」
「うん。私の周りにいる男の子って意地悪ばかりしてくるの。嫌いな虫を見せてきたり、ボールをぶつけてきたり、スカートを捲ったり」
「酷いね」
「うん。だからね、男の子って嫌いなの」
「そっか」
「でも、お兄ちゃんのことは好きだよ」
「ありがと」
「お兄ちゃんは好きな女の子いる?」
「いないよ」
「そうなんだ。お兄ちゃん、優しいからモテそうなんだけど」
「優しいだけじゃモテないよ」
「そうなの?」
「うん」
「でも私は好きだよ。だから将来お兄ちゃんに彼女ができなかったら私が結婚してあげる」
「ありがと」
「ところでお兄ちゃんは何歳?」
「5歳だよ」
「えっ、5歳なの。私と同い年じゃん」陽菜が驚いたように言う。「年上だと思ってた」
「妹がいるからじゃないかな?」
「そうなんだ。妹さん、可愛い?」
「可愛いよ」
「私にもね、可愛いお姉ちゃんがいるんだよ。名前は里菜。里菜はね、お姉ちゃんだけど、私と同じ5歳なの」
「双子?」
「そう。双子なの。私ね、お姉ちゃんのこと、大好きなの」
「僕も妹が大好きだよ」
「私達似てるね」
「そうだね」
「そっか。同い年なんだ。じゃあ、お兄ちゃんって呼ぶのは変だね。光くんって呼ぶね」
「うん」
・・・おかしい。この辺りに交番があったはずなんだけど。もうかれこれ30分近く歩いてるのに。どこにも交番らしき建物がない。交番、引っ越してしまったのか?
「ねえ、疲れてない?」
陽菜が心配そうに言う。
「大丈夫だよ」
本当に大丈夫だった。僕はこう見えて体力があるのだ。
「光くんは本当に優しいね。私を見つけてくれたのが光くんでよかったよ。私、いじめっ子に好かれるタイプだから」
「そうなんだ」
「うん。だからよく意地悪されるの」
「陽菜ちゃんのことが好きだからつい意地悪しちゃうんじゃないかな?」
「そんなの都市伝説だよ。きっと私のこと嫌いだから意地悪するんだよ。光くん、私のこと好きだよね?好きだからおんぶしてくれてるんだよね?」
「そうだね」
「でも私に意地悪したいと思わないよね。もし、好きだから意地悪することが本当なら、光くんも私に意地悪するはずだよね」
「そうだね」
「ほらね。やっぱり好きだから意地悪するのって都市伝説なんだよ」
「そうかもね」
「そうだよ。だから男の子はみんな嫌い。好きなのは光くんだけ」
「ありがと」
「うん。だから将来、彼女できなかったら私が彼女になってあげるからね」
「うん」
子供の頃の妹は将来お兄ちゃんと結婚するのと言っていた。それと同じような気持ちで陽菜は僕のことを好きだと言っているのだと僕は思っていた。だから笑顔で陽菜の好きという言葉を聞いていることができた。陽菜は僕と同じ5歳だけど、妹のようにしか僕には思えなかった。
「陽菜!」
背後から声が聞こえた。見ると30代くらいの女性がいた。
「お母さん!」
陽菜が言う。
「こんにちわ」
僕は挨拶する。
「こんにちわ」
「迷子になっていたんです。足を痛めてるようだったのでおんぶして、交番に向かってたんです」
「そうだったの。ありがとね」
「いえ」
僕は陽菜を地面に下ろす。
母親が陽菜をおんぶする。
「光くん、ありがとね」
陽菜がお礼を言った。
「どういたしまして」
僕は笑顔で言う。
「じゃあね、バイバイ」
「バイバイ」
そして陽菜は行ってしまった。
なんだ?この回想は・・・陽菜は里菜先輩の妹?双子の妹?
でも里菜先輩は迷子になっているところを僕に助けられたと言った。それで僕を好きになったと言った。
でもこの回想で僕が助けたのは陽菜のほうだ。里菜先輩ではない。なのに里菜先輩は僕に助けられたと言った。
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