15 / 39
15
そのとき、選択肢が現れた。
『①ずっと前から僕のこと好きって言ったけどいつから好きなの?と聞く』
『②実は里菜先輩のことずっと前から好きだったんだと言う』
『③実は妹のことが好きなんだと言う』
『④実はホモなんだと言う』
④は絶対選ばない。僕はホモにはなりたくない。ロリコンよりも嫌だ。以前、男に追われたことを思い出す。あんな思い二度としたくない。
③もないな。妹のことは好きだが、妹としての好きなだけだ。それ以上の愛情はない。
②もないな。それは嘘だからだ。
というわけで今回は①を選ぶことに決定。
確かに里菜先輩はさっきの会話の中で僕のことをずっと前から好きだったと言った。ずっとっていつから好きなんだろう?興味がある。
そして僕は選択肢①を選んだ。
世界が動き始める。
「里菜先輩」
「なあに?」
「さっき僕のことずっと前から好きだって言いましたよね?」
「言ったわね」
「いつから僕のこと好きなんですか?」
「・・・私が幼稚園の頃からよ」
「幼稚園」
「私ね、幼稚園生のとき、迷子になったことがあるの。私は怖くて泣いていたの。そこに現れたのが光くんだった。光くんはどうしたのって声をかけてくれたの」
迷子・・・何か思い出せそうな気がする・・・水色のワンピースを思い出す。
「そのとき里菜先輩は水色のワンピース着てませんでしたか?」
「着てたわ。思い出してくれた?」
「いや、漠然としか思い出せないです。青いワンピースの女の子に声をかけたような・・・」
「それが私だと思う。私は迷子になっちゃったのって言ったの。泣きながらね。そんな私に光くんは大丈夫だよ。僕が必ず家に連れてってあげるからって言ってくれたの。笑顔でね。素敵な笑顔だったわ。今でも鮮明に覚えてる。たぶんそのときに私は光くんを好きになっていたんだと思う」
里菜先輩は恋する乙女のような表情になっている。その表情を見ているだけで里菜先輩の話が本当だと思えてくる。でも僕は青いワンピースの女の子という漠然とした記憶しか思い出せない。その女の子と何があったのか全然思い出せない。もどかしい。
「私はそのとき靴ずれで足を痛めていたの。買ったばかりの靴だったの。その靴を履いて歩くのが楽しかった。だから馬鹿みたいに歩いて迷子になってしまったの。まあ、途中で猫を追いかけるのに夢中になったのが主な迷子の原因なんだけどね」
里菜先輩は笑う。
「私が足を痛めてることを知った光くんはね、私をおんぶしてくれたのよ。お母さんたちに発見されるまでずっとね。30分くらいはおんぶしてくれていたと思う。その30分の間ね、光くんは嫌な顔ひとつせずにおんぶし続けてくれたの。当時の光くんは私と同じくらいの体格だった。そんな小さな少年が私のことを嫌な顔せずにおんぶしてくれたのよ」
里菜先輩はそんなことができる少年はすごい!という感じで言った。
「私はね、男の子が苦手だったの。私の周りにいる男の子はみんな粗野で意地悪だったから。でも、光くんは違った。すごく繊細で優しかった。そんな光くんだったから私は短い時間で大好きになれたんだと思う」
里菜先輩は照れくさそうに笑う。
「光くんは、私に名前も告げずに帰っていったの。私が光くんの名前を知ったのは今年の4月よ。新入生の中にいる光くんを見て、すぐにあのときの少年だってわかったの。だから光くんのことを調べたの。そして名前を知ったの。光くんが好きな女性のこともね」
「誰にも言ってないんですけど」
「光くんを見ていればわかるわよ。それくらい」里菜先輩は笑う。「とにかく私は幼稚園生の頃から光くんが好きなの。ずっとね。ずっと会える日を信じていた。だから会えたときは本当に嬉しかったの。嬉し涙が出るくらいにね」
里菜先輩は笑う。その目に少し涙が滲んでいるように見えた。
「でも声をかけることはできなかった。見ての通りの幼児体型だからね。こんな体じゃ好きになってもらえないと思ったの」
里菜先輩は自嘲するように笑う。
「声をかけられないうちに光くんが杉浦さんを好きなのを知ってしまった。それでますます声かけられなくなっちゃった。あのときは助けてくれてありがとうって言いたかったのに。それも言えなくなっちゃった。情けない先輩でしょ」
「そんなことないです。僕だって自分に自信が持てなくて好きな女性にずっと告白できずにいるんですから。僕のほうが情けないです。先輩は行動しました。でも僕は何もできずにいます。そんな自分が情けないって何度も思いました」
「そうだったんだ」
「はい」
「私たち似た者同士だったんだね」
「そうですね」
「嬉しいよ。光くんが私に似ていて」
「・・・」
「きっと光くんも行動できるよ。だって似た者同士の私が行動できたんだからね」
「・・・はい」
「頑張れ。光くん。私はいつだって光くんの応援をしているから。だから頑張れ」
僕をずっと好きと言ってくれた里菜先輩。秘密の花園を僕に見せてくれるくらい僕のことを好きな里菜先輩。それなのに里菜先輩は僕の恋を応援してくれると言ってくれた・・・泣きそうな気分になる。
「はい」
里菜先輩はニカッと笑う。
僕も笑う。涙を我慢しながら。
僕はこんな素敵な先輩に好かれて本当に幸せ者だと思う。本当の本当に幸せ者だと思う。
もし、先輩が僕が入学したときに声をかけてくれていたら、先輩を好きになっていたかもしれない。いや、入学当時の僕はロリコンじゃなかったから、先輩のこと好きにならなかったかな。
いや、先輩の思い出話を聞いて、先輩が迷子になったときのことを僕が思い出せば、先輩のこと好きになったかもしれない。
でも僕はそのときの記憶を漠然としか思い出せない。
思い出したいと思う。そのときの記憶を。
そして選択肢が現れた。
『①里菜先輩との思い出を体験する』
『②里菜先輩との思い出を体験する』
『③里菜先輩との思い出を体験する』
僕は迷わずその選択肢を選んだ。
『①ずっと前から僕のこと好きって言ったけどいつから好きなの?と聞く』
『②実は里菜先輩のことずっと前から好きだったんだと言う』
『③実は妹のことが好きなんだと言う』
『④実はホモなんだと言う』
④は絶対選ばない。僕はホモにはなりたくない。ロリコンよりも嫌だ。以前、男に追われたことを思い出す。あんな思い二度としたくない。
③もないな。妹のことは好きだが、妹としての好きなだけだ。それ以上の愛情はない。
②もないな。それは嘘だからだ。
というわけで今回は①を選ぶことに決定。
確かに里菜先輩はさっきの会話の中で僕のことをずっと前から好きだったと言った。ずっとっていつから好きなんだろう?興味がある。
そして僕は選択肢①を選んだ。
世界が動き始める。
「里菜先輩」
「なあに?」
「さっき僕のことずっと前から好きだって言いましたよね?」
「言ったわね」
「いつから僕のこと好きなんですか?」
「・・・私が幼稚園の頃からよ」
「幼稚園」
「私ね、幼稚園生のとき、迷子になったことがあるの。私は怖くて泣いていたの。そこに現れたのが光くんだった。光くんはどうしたのって声をかけてくれたの」
迷子・・・何か思い出せそうな気がする・・・水色のワンピースを思い出す。
「そのとき里菜先輩は水色のワンピース着てませんでしたか?」
「着てたわ。思い出してくれた?」
「いや、漠然としか思い出せないです。青いワンピースの女の子に声をかけたような・・・」
「それが私だと思う。私は迷子になっちゃったのって言ったの。泣きながらね。そんな私に光くんは大丈夫だよ。僕が必ず家に連れてってあげるからって言ってくれたの。笑顔でね。素敵な笑顔だったわ。今でも鮮明に覚えてる。たぶんそのときに私は光くんを好きになっていたんだと思う」
里菜先輩は恋する乙女のような表情になっている。その表情を見ているだけで里菜先輩の話が本当だと思えてくる。でも僕は青いワンピースの女の子という漠然とした記憶しか思い出せない。その女の子と何があったのか全然思い出せない。もどかしい。
「私はそのとき靴ずれで足を痛めていたの。買ったばかりの靴だったの。その靴を履いて歩くのが楽しかった。だから馬鹿みたいに歩いて迷子になってしまったの。まあ、途中で猫を追いかけるのに夢中になったのが主な迷子の原因なんだけどね」
里菜先輩は笑う。
「私が足を痛めてることを知った光くんはね、私をおんぶしてくれたのよ。お母さんたちに発見されるまでずっとね。30分くらいはおんぶしてくれていたと思う。その30分の間ね、光くんは嫌な顔ひとつせずにおんぶし続けてくれたの。当時の光くんは私と同じくらいの体格だった。そんな小さな少年が私のことを嫌な顔せずにおんぶしてくれたのよ」
里菜先輩はそんなことができる少年はすごい!という感じで言った。
「私はね、男の子が苦手だったの。私の周りにいる男の子はみんな粗野で意地悪だったから。でも、光くんは違った。すごく繊細で優しかった。そんな光くんだったから私は短い時間で大好きになれたんだと思う」
里菜先輩は照れくさそうに笑う。
「光くんは、私に名前も告げずに帰っていったの。私が光くんの名前を知ったのは今年の4月よ。新入生の中にいる光くんを見て、すぐにあのときの少年だってわかったの。だから光くんのことを調べたの。そして名前を知ったの。光くんが好きな女性のこともね」
「誰にも言ってないんですけど」
「光くんを見ていればわかるわよ。それくらい」里菜先輩は笑う。「とにかく私は幼稚園生の頃から光くんが好きなの。ずっとね。ずっと会える日を信じていた。だから会えたときは本当に嬉しかったの。嬉し涙が出るくらいにね」
里菜先輩は笑う。その目に少し涙が滲んでいるように見えた。
「でも声をかけることはできなかった。見ての通りの幼児体型だからね。こんな体じゃ好きになってもらえないと思ったの」
里菜先輩は自嘲するように笑う。
「声をかけられないうちに光くんが杉浦さんを好きなのを知ってしまった。それでますます声かけられなくなっちゃった。あのときは助けてくれてありがとうって言いたかったのに。それも言えなくなっちゃった。情けない先輩でしょ」
「そんなことないです。僕だって自分に自信が持てなくて好きな女性にずっと告白できずにいるんですから。僕のほうが情けないです。先輩は行動しました。でも僕は何もできずにいます。そんな自分が情けないって何度も思いました」
「そうだったんだ」
「はい」
「私たち似た者同士だったんだね」
「そうですね」
「嬉しいよ。光くんが私に似ていて」
「・・・」
「きっと光くんも行動できるよ。だって似た者同士の私が行動できたんだからね」
「・・・はい」
「頑張れ。光くん。私はいつだって光くんの応援をしているから。だから頑張れ」
僕をずっと好きと言ってくれた里菜先輩。秘密の花園を僕に見せてくれるくらい僕のことを好きな里菜先輩。それなのに里菜先輩は僕の恋を応援してくれると言ってくれた・・・泣きそうな気分になる。
「はい」
里菜先輩はニカッと笑う。
僕も笑う。涙を我慢しながら。
僕はこんな素敵な先輩に好かれて本当に幸せ者だと思う。本当の本当に幸せ者だと思う。
もし、先輩が僕が入学したときに声をかけてくれていたら、先輩を好きになっていたかもしれない。いや、入学当時の僕はロリコンじゃなかったから、先輩のこと好きにならなかったかな。
いや、先輩の思い出話を聞いて、先輩が迷子になったときのことを僕が思い出せば、先輩のこと好きになったかもしれない。
でも僕はそのときの記憶を漠然としか思い出せない。
思い出したいと思う。そのときの記憶を。
そして選択肢が現れた。
『①里菜先輩との思い出を体験する』
『②里菜先輩との思い出を体験する』
『③里菜先輩との思い出を体験する』
僕は迷わずその選択肢を選んだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858