【R18】選択肢のある世界 ~エッチな選択肢は好きですか?~

赤い翼

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『①◯◯夢を見る』
『②××夢を見る』

◯◯夢と××夢・・・僕は伏せ字になっている部分を考える。

明晰夢・・・白昼夢・・・予知夢。思いついたのがそれくらいだ。

どちらかが予知夢のような気がする。

きっと選択肢を選んだあと、嫌な夢を見せられるのだろう。

選択肢が現れる前に先輩が言ったセリフが気になる。先輩は僕が命じれば死ねると言った。

死・・・これから見せられる夢は死に関する夢ではないか?

里菜先輩の死・・・そう考えて僕はぞっとする。

もしこの2つの選択肢の中に予知夢という選択肢があって、それを選んでしまったら・・・予知夢が現実になり、里菜先輩は死んでしまう・・・恐怖を感じる。

もちろん、2つとも予知夢ではないかもしれない。でも逆にどちらも予知夢の場合だってあるのだ。

そう考えるとどちらも選びたくなくなる。

でも僕が悩んでいる間にも時間は経過する。「60」という数字が現れる。

いつもなら選択肢の下に強制的に選択肢を選ぶというメッセージが表示される。なのに今回は表示されなかった。

くそっ。ヒントも与えてくれないのか。

強制される選択肢はいつも嫌な予感がするものばかりだった。だからその選択肢を選ばないという判断をすることができた。でも今回はそれすらできない。

くそっ。どちらを選べばいいんだ?わからない。

38、37、36、35、確実に時間が減って行く。

早く選ばなければと焦る。

でも同時にこのままタイムリミットを待つのも悪くないのではないか?

いや、駄目だ。強制された選択肢は今までろくなものしかなかった気がする。

時間が「0」になった瞬間、ろくでもない選択肢を強制的に選ばされる可能性は高い。

くそっ。どっちだ?どっちを選べばいい?

10、9、8、7、6、5、4、3、2・・・僕は選択肢①を選んだ。

こちらが正しいという根拠はない。ただ自分の直感に従っただけだ。

世界が動き出す。

場面が変わる。僕は本校舎の屋上にいる。里菜先輩が僕に大事なところを見せてくれた屋上だ。

すぐ近くにドアがある。そのドアがが開き、里菜先輩が屋上に現れる。

僕は里菜先輩の近くにいる。

でも里菜先輩は僕に気づかない。僕に目を向けることなく、金網の前に行く。

僕は里菜先輩のそばに移動する。やはり里菜先輩は気づかない。

里菜先輩はしばらくの間、金網の向こうの景色を眺めていた。それから金網を登り始めた。

僕は里菜先輩を止めようとする。

でも里菜先輩の体に触れることができない。僕の体が幽霊のような状態になっているせいだ。何度、里菜先輩に触れようと手を伸ばしても触れることはできなかった。

里菜先輩は金網の向こう側に立った。一歩踏み出せば地上に落下してしまうだろう。

里菜先輩は景色を眺めていた。その目から涙が溢れていた。

「さようなら。光くん」そう言い残して、里菜先輩は屋上から飛び降りた。そして地上に落ちていく。

それを僕は見ていることしかできない。地面にぶつかる音が聞こえてきた。地面に血が広がるのが見えた。

予知夢という言葉が浮かぶ。嫌だ・・・こんなのが予知夢なんて・・・嫌だ・・・絶対に嫌だ・・・



場面が変わる。別棟の屋上のベンチに僕は座っている。目の前に里菜先輩がいる。生きている里菜先輩がいる。

僕は里菜先輩を抱きしめる。抱きしめずにはいられなかった。

「先輩。死なないでください。何があっても死なないでください。絶対に死なないでください。僕は先輩のことが大好きなんです。もし、先輩に死なれたら僕は・・・」

「光くん。私が死ぬわけないでしょ。死ねるって言ったのはそれくらい光くんのことが好きだって意味だよ。実際に命令されても死んだりしないよ。絶対にね。だって死んじゃったら光くんのこと悲しませてしまうでしょ。私は光くんが悲しむことはしないよ」

「・・・」

「私の言葉が信じられない?」

「信じます。先輩の言葉信じます」

「うん。ごめんね。私が軽率なことを言ったせいで光くんに勘違いをさせてしまったみたいだね」

「・・・」

「それにしても好きな人にこうして抱きしめられるのは良いものだね」先輩は嬉しそうに言う。「このまま時が止まればいいのにって思っちゃうよ」

僕もそう思う。このまま時が止まればいいのに、と。

「光くん。約束する。私は死んだりしない。何があっても死んだりしない。だから安心して自分の好きなことをしてね」

「・・・はい」

僕は里菜先輩と付き合いたい。それが僕の望みだ。でも今の僕は選択肢によって杉浦さんに告白することが決定している。いつ強制力が働いて、告白させられるかわからない。告白した後どうなるかもわからない。だから里菜先輩と付き合いたいなんて言うことはできなかった。

もちろん、付き合いたいと言ってしまいたい気持ちはある。でもそれは選択肢の決定に逆らうことのように思えた。もし逆らえばペナルティーを受けるのではないかと思った。そのペナルティーは先輩の死かもしれない。そう思うと怖くて先輩と付き合いたいと言うことができなかった。

これが夢だったらと思う。僕は夢から覚め、夢オチだったと思い、ほっとするだろう。心底ほっとするだろう。夢であってほしいと思う。そして夢オチだったと思わせてほしいと思う。

だが、この物語は夢ではなかった。紛れもない現実だった。それを僕はこの後うんざりするほど痛感させられることになる。

でもこのときの僕はまだ知らない。知らずに先輩を抱きしめ続けていた。この温もりを失いたくないと思いながら。
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