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僕の兄弟は埼玉県に住んでいた。そして埼玉県の病院に入院していた。
僕が兄弟の元を訪れたとき、兄弟は病室にいた。ベットの上で上体を起こしていた。
「やあ、光くん、こんにちわ」
兄弟は気さくに挨拶をしてきた。
「こんにちわ」
僕は戸惑いながら挨拶を返す。
本当に僕に瓜二つだ。
「僕の名前も光だからキミを光くんと呼ぶのに違和感を感じるよ」
「だろうね」
「悪かったね。僕のせいでいろいろ嫌な思いをさせて」
「いや」
僕は首を振る。
「できるならキミに迷惑をかけたくなかった。キミにはキミの人生があるからね」
「気にしなくていいよ」
「ありがとう。僕の病名は聞いてるよね」
「ああ」
「白血病。骨髄移植をしないと死ぬ可能性がある。僕は死にたくない。だからキミに頼りたいって気持ちがあったんだ。妹はその気持を察してキミにお願いに行ったんだ。だから妹を責めないであげてほしい」
「責めないよ」
「ありがとう。キミは良い人だね。僕の双子の兄弟とは思えないほどに良い人だよ」
「そんなことはないよ」
「そうなの?」
「そうだよ」
「そう断定的に言われると僕自身が良くない人って言われてる気がしてしまうよ」
「・・・」
「冗談だよ。ごめん。つまらない冗談を言って」
兄弟は苦笑いを浮かべて言う。
「気にしなくていい。僕もよくつまらない冗談を言うから」
「やっぱり双子だね」
「そうだね」
「光くん。できれば僕に骨髄を提供してほしい。僕は生きたいんだ。まだまだやりたいことがたくさんあるんだ。だから生きるため骨髄を提供してほしい。頼む」
骨髄を提供することは構わない。でも提供しても死ぬ場合があるんだ。そう言いたかった。でもこの部屋には里菜がいる。優香もいる。優香の両親もいる。僕の母さんもいる。そんな状況で言えるわけなかった。だから安易に提供すると答えることができなかった。
「できればキミと二人きりで話がしたい」
僕は言おうと決めていたセリフを言った。
「わかった」
兄弟はうなずいた。
みんな病室を出ていく。そして病室には僕と兄弟だけになった。
「ありがとう。僕のお願いを聞いてくれて」
「気にしなくていいよ。僕もキミに話したいことがあったからね」
「そうなんだ」
「うん。じゃあ話をしようか」
「うん」
まずは里菜のことを話そう。
「キミは陽菜って女の子を知ってる?」
「知ってるよ。子供の頃僕が助けた女の子だよ」
やはりそうだったのか・・・
「里菜って子がいただろう。あの子は陽菜の双子の姉なんだ」
「うん。だと思った。よく似てるからね」
「でも陽菜は死んでしまった。白血病でね」
「うん」
「里菜は陽菜に骨髄移植をしたんだ。にも関わらず陽菜は死んでしまったんだ。里菜は自分を責めて、責め続けて、精神的におかしくなって、多重人格になってしまったんだ。その結果、里菜の中には妹の人格が生じてしまったんだ」
「知ってるよ」
「どうして?」
「夢で見たんだ。里菜ちゃんの夢をね。たぶんキミの記憶が僕の中に流れ込んできた結果そんな夢を見たんだと思う。双子には不思議な力があるっていうだろう。その力が働いたんだと思う」
「そうか」
僕が選択肢によって見た過去も双子特有の力が働いたから見れたのかもしれない。
「そしてキミが里菜ちゃんのために苦しんでる夢も見た」
「そうか」
「うん。キミは里菜ちゃんが本当に好きなんだね」
「ああ好きだ。でも陽菜を助けたのは僕じゃない」
「確かに陽菜ちゃんを助けたのは僕だよ。でも僕は里菜ちゃんを助けてはいない。だから里菜ちゃんの思いに応えることはできない。その資格がないからね」
「・・・でも里菜はキミを好きなんだ」
「いや、里菜ちゃんが好きなのはキミだよ。間違いなくね」
「そうだろうか?」
「そうだよ。キミを好きになったきっかけは陽菜ちゃんの記憶だったかもしれない。でもその後里菜ちゃんがキミをどんどん好きになっていったのはキミの魅力だよ」
「・・・僕はそう思えないよ」
「僕はそう思う。だから里菜ちゃんはキミが幸せにする義務があるんだ。キミが里菜ちゃんを魅了したんだからね」
「・・・」
「里菜ちゃんのこと幸せにできるのはキミだけだよ。僕じゃない」
「僕にはその自信がない」
「自信がなくても頑張るしかないよ。里菜ちゃんを幸せにしたいならね」
「・・・わかってる」
「じゃあ、もう話すことはないよ」
「うん」
「次は骨髄移植について話そう。キミは僕が陽菜ちゃんのようになるかもしれないと思ってるよね」
「思ってる」
「もしそうなってもキミのせいではないよ」
「そう思える自信がない。僕も里菜のようになってしまうかもしれない。罪悪感に耐えられなくなって」
「キミはそんな弱い人間じゃないよ。僕にはそれがわかる。双子の兄弟である僕にはね」
「・・・」
「そしてキミを好きになった里菜ちゃんもきっと強くなれる。キミを幸せにできるくらいにね」
「里菜は自殺しようとしたんだぞ」
「それでも強くなれる。何かきっかけがあればね」
「きっかけ」
「どんなきっかけかはわからない。でもそのきっかけは必ず生じる。そのとき里菜ちゃんは強くなってキミを支えてくれるはずだよ」
「キミには千里眼があるのか?」
「さあ、どうだろうね」
兄弟は意味深な笑いを浮かべる。
もし千里眼があるなら骨髄移植した後どうなるか教えてほしい。
「僕が両親や妹に死ぬ可能性もあることを話しておくよ。陽菜ちゃんのことを話してね」
「・・・」
「だからキミは移植した後のことを考えなくていい。移植を望んだのは僕だ。だからすべての責任は僕にある。だからたとえ失敗しても気に病む必要はない」
「・・・」
「でもキミは気に病むだろうね。優しい人だから。僕は嬉しいよ。兄弟がキミのような優しい人で」
「・・・」
「なんかキミを褒めてると自画自賛のような気がして恥ずかしくなるよ」
兄弟は笑う。
僕は笑えない。
「僕達は捨て子だった。そんな僕達を鮎川家の人が拾ってくれた。そして大切に育ててくれた。だからそんな鮎川家の人の恩に報いるためにも幸せになる努力をしなければならないんだ。だからキミは自分が幸せになる努力をしてほしい。僕もするから。わかったね」
「わかったよ」
「うん。じゃあ約束のキスでもしようじゃないか」
「・・・」
「冗談だよ。男同士で指切りも気持ち悪いな。だから握手をしよう」
兄弟は手を差し出してくる。
その手を握る。
「お互い幸せになる努力をしようね」
「うん」
「嘘ついたら針1000本飲んでもらうからね」
「うん」
僕達は握手を止めた。
「よし。これで安心して移植を受けられるよ」
「頑張れよ」
「うん。頑張るよ。だからキミの頑張れ」
「うん」
僕はうなずいた。
僕が兄弟の元を訪れたとき、兄弟は病室にいた。ベットの上で上体を起こしていた。
「やあ、光くん、こんにちわ」
兄弟は気さくに挨拶をしてきた。
「こんにちわ」
僕は戸惑いながら挨拶を返す。
本当に僕に瓜二つだ。
「僕の名前も光だからキミを光くんと呼ぶのに違和感を感じるよ」
「だろうね」
「悪かったね。僕のせいでいろいろ嫌な思いをさせて」
「いや」
僕は首を振る。
「できるならキミに迷惑をかけたくなかった。キミにはキミの人生があるからね」
「気にしなくていいよ」
「ありがとう。僕の病名は聞いてるよね」
「ああ」
「白血病。骨髄移植をしないと死ぬ可能性がある。僕は死にたくない。だからキミに頼りたいって気持ちがあったんだ。妹はその気持を察してキミにお願いに行ったんだ。だから妹を責めないであげてほしい」
「責めないよ」
「ありがとう。キミは良い人だね。僕の双子の兄弟とは思えないほどに良い人だよ」
「そんなことはないよ」
「そうなの?」
「そうだよ」
「そう断定的に言われると僕自身が良くない人って言われてる気がしてしまうよ」
「・・・」
「冗談だよ。ごめん。つまらない冗談を言って」
兄弟は苦笑いを浮かべて言う。
「気にしなくていい。僕もよくつまらない冗談を言うから」
「やっぱり双子だね」
「そうだね」
「光くん。できれば僕に骨髄を提供してほしい。僕は生きたいんだ。まだまだやりたいことがたくさんあるんだ。だから生きるため骨髄を提供してほしい。頼む」
骨髄を提供することは構わない。でも提供しても死ぬ場合があるんだ。そう言いたかった。でもこの部屋には里菜がいる。優香もいる。優香の両親もいる。僕の母さんもいる。そんな状況で言えるわけなかった。だから安易に提供すると答えることができなかった。
「できればキミと二人きりで話がしたい」
僕は言おうと決めていたセリフを言った。
「わかった」
兄弟はうなずいた。
みんな病室を出ていく。そして病室には僕と兄弟だけになった。
「ありがとう。僕のお願いを聞いてくれて」
「気にしなくていいよ。僕もキミに話したいことがあったからね」
「そうなんだ」
「うん。じゃあ話をしようか」
「うん」
まずは里菜のことを話そう。
「キミは陽菜って女の子を知ってる?」
「知ってるよ。子供の頃僕が助けた女の子だよ」
やはりそうだったのか・・・
「里菜って子がいただろう。あの子は陽菜の双子の姉なんだ」
「うん。だと思った。よく似てるからね」
「でも陽菜は死んでしまった。白血病でね」
「うん」
「里菜は陽菜に骨髄移植をしたんだ。にも関わらず陽菜は死んでしまったんだ。里菜は自分を責めて、責め続けて、精神的におかしくなって、多重人格になってしまったんだ。その結果、里菜の中には妹の人格が生じてしまったんだ」
「知ってるよ」
「どうして?」
「夢で見たんだ。里菜ちゃんの夢をね。たぶんキミの記憶が僕の中に流れ込んできた結果そんな夢を見たんだと思う。双子には不思議な力があるっていうだろう。その力が働いたんだと思う」
「そうか」
僕が選択肢によって見た過去も双子特有の力が働いたから見れたのかもしれない。
「そしてキミが里菜ちゃんのために苦しんでる夢も見た」
「そうか」
「うん。キミは里菜ちゃんが本当に好きなんだね」
「ああ好きだ。でも陽菜を助けたのは僕じゃない」
「確かに陽菜ちゃんを助けたのは僕だよ。でも僕は里菜ちゃんを助けてはいない。だから里菜ちゃんの思いに応えることはできない。その資格がないからね」
「・・・でも里菜はキミを好きなんだ」
「いや、里菜ちゃんが好きなのはキミだよ。間違いなくね」
「そうだろうか?」
「そうだよ。キミを好きになったきっかけは陽菜ちゃんの記憶だったかもしれない。でもその後里菜ちゃんがキミをどんどん好きになっていったのはキミの魅力だよ」
「・・・僕はそう思えないよ」
「僕はそう思う。だから里菜ちゃんはキミが幸せにする義務があるんだ。キミが里菜ちゃんを魅了したんだからね」
「・・・」
「里菜ちゃんのこと幸せにできるのはキミだけだよ。僕じゃない」
「僕にはその自信がない」
「自信がなくても頑張るしかないよ。里菜ちゃんを幸せにしたいならね」
「・・・わかってる」
「じゃあ、もう話すことはないよ」
「うん」
「次は骨髄移植について話そう。キミは僕が陽菜ちゃんのようになるかもしれないと思ってるよね」
「思ってる」
「もしそうなってもキミのせいではないよ」
「そう思える自信がない。僕も里菜のようになってしまうかもしれない。罪悪感に耐えられなくなって」
「キミはそんな弱い人間じゃないよ。僕にはそれがわかる。双子の兄弟である僕にはね」
「・・・」
「そしてキミを好きになった里菜ちゃんもきっと強くなれる。キミを幸せにできるくらいにね」
「里菜は自殺しようとしたんだぞ」
「それでも強くなれる。何かきっかけがあればね」
「きっかけ」
「どんなきっかけかはわからない。でもそのきっかけは必ず生じる。そのとき里菜ちゃんは強くなってキミを支えてくれるはずだよ」
「キミには千里眼があるのか?」
「さあ、どうだろうね」
兄弟は意味深な笑いを浮かべる。
もし千里眼があるなら骨髄移植した後どうなるか教えてほしい。
「僕が両親や妹に死ぬ可能性もあることを話しておくよ。陽菜ちゃんのことを話してね」
「・・・」
「だからキミは移植した後のことを考えなくていい。移植を望んだのは僕だ。だからすべての責任は僕にある。だからたとえ失敗しても気に病む必要はない」
「・・・」
「でもキミは気に病むだろうね。優しい人だから。僕は嬉しいよ。兄弟がキミのような優しい人で」
「・・・」
「なんかキミを褒めてると自画自賛のような気がして恥ずかしくなるよ」
兄弟は笑う。
僕は笑えない。
「僕達は捨て子だった。そんな僕達を鮎川家の人が拾ってくれた。そして大切に育ててくれた。だからそんな鮎川家の人の恩に報いるためにも幸せになる努力をしなければならないんだ。だからキミは自分が幸せになる努力をしてほしい。僕もするから。わかったね」
「わかったよ」
「うん。じゃあ約束のキスでもしようじゃないか」
「・・・」
「冗談だよ。男同士で指切りも気持ち悪いな。だから握手をしよう」
兄弟は手を差し出してくる。
その手を握る。
「お互い幸せになる努力をしようね」
「うん」
「嘘ついたら針1000本飲んでもらうからね」
「うん」
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「頑張れよ」
「うん。頑張るよ。だからキミの頑張れ」
「うん」
僕はうなずいた。
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