36 / 47
第十話「ビハインドアワー~都市伝説接近譚~」
10-1.ビハインドアワー~都市伝説接近譚~
しおりを挟む
真夏の輝く太陽が天頂に上るころ、男は街を歩いていた。
男の名は月岡誠、四葉署怪奇現象犯罪対策課の刑事だ。この頃は大きな事件もなく、忙しさはさほどではないので、昼食選びに少し時間をかけられる。
そんなわけで駅前に向かって歩いていたところ、見知った顔が道の反対側にいるのを見つける。
ぽん吉と綾香栞だ。怪奇ハンターと霊感少女のコンビだが、あまり見かけない組み合わせだ。向こうも誠の存在に気付いたようで、横断歩道を渡ってこちらに歩いてきた。
「よお。月岡じゃねえか、これから昼飯か?」
ぽん吉が気さくに話しかけてきた。栞はその後ろでペコリと頭を下げる。手を軽く上げてその返事とした。
「ああ、そのつもりだ。そっちはあまり見ない組み合わせだが……」
「それがよお。朝っぱらからお化け追っかけてたんだが、そいつがどうも都市伝説でな。俺が捕まえようとしても一向に捕まらねえ。それで、どうしたもんかと思ってたところにこいつが通りかかったもんだから、まあ、手伝ってもらったんだが。そしたら一発で捕まるのな。はあ。自信失うぜ」
やれやれ。と、ため息交じりに語る。
「都市伝説ってそういうものなんでしょ?私一人でも解決できないんだから、そんなに落ち込まないでよ」
肩を落とすぽん吉の肩に手をかけ、栞は励ましの言葉をかける。
「おやおやあ?シオリさんが持っているのはハンバーガーですか?」
いきなりどこからかよく見知った声がする。三人とも急に割り込んできた声に驚き、キョロキョロと周りを見渡す。すると、誠の陰から、真紀奈が顔をひょこりと出した。
「ここですよ、ここ」
「うわあなんでそんなところにいるんだ」
誠は急に後ろから出てきた真紀奈に驚き、少し跳びあがる。
「月岡さんについていくとおいしいお店に連れて行ってくれますからね~」
呆れ顔の誠に、真紀奈は満面の笑みを向ける。そういう風に自分のことを見ていたのか。
「ところで~。そのハンバーガーってこの近くのお店の物ですよね~」
栞の持っている袋にはファストフードチェーンのロゴが大きくついている。
「うん。都市伝説を追ってる間にお昼になっちゃったから、ぽん吉クンがおごってくれるって。それで、この近くにきれいな公園があるからそこで食べようかなって」
「いいですね~。私たちもご一緒してよろしいですか?」
「それはいいけど……」
「私達って、俺もか?」
年齢と見た目が合わない奴が半数いるとはいえ、このメンバーに誠が混じるのは少々気恥しい。
「駄目ですか?」
「はあ……。好きにしろ」
「じゃあ早速買ってきますね!三人は先に公園に行っててください!」
そう言うと、真紀奈は素早く人ごみの中へ消えて行った。
まだ何を食べるかは決めていない誠だったが、まさか女子高生たちとハンバーガーを食べるとは思いもしなかった。
「ああなると聞かないんだ。すまんがご一緒させてもらうよ」
「はい。じゃあ行きましょうか」
初老の男性と少年と少女は、並んで一路公園へ向かう。
目的地は四葉駅からほど近いところにある四葉公園。そこには、大きな池や自然を感じられる林などがあり、町の人の憩いのスポットになっている。
三人が池の見える木蔭のピクニックテーブルの椅子に座ると、ほどなくして買い物を済ませた真紀奈が走ってきた。あの距離をこの速度で走って息を切らさないのは、流石はロボット少女といったところだろう。
「真紀奈ちゃん、こっちこっち」
「はいな~」
真紀奈が開いている場所に座る。中学生くらいに見える男女に、女子高生、そこに40そこそこのおっさんが入るのだから最初は違和感を覚えたものだが、同業者ということもあり、話は意外と弾む。
「月岡さんのは激辛バーガーにしておきましたよ」
「おい」
男の名は月岡誠、四葉署怪奇現象犯罪対策課の刑事だ。この頃は大きな事件もなく、忙しさはさほどではないので、昼食選びに少し時間をかけられる。
そんなわけで駅前に向かって歩いていたところ、見知った顔が道の反対側にいるのを見つける。
ぽん吉と綾香栞だ。怪奇ハンターと霊感少女のコンビだが、あまり見かけない組み合わせだ。向こうも誠の存在に気付いたようで、横断歩道を渡ってこちらに歩いてきた。
「よお。月岡じゃねえか、これから昼飯か?」
ぽん吉が気さくに話しかけてきた。栞はその後ろでペコリと頭を下げる。手を軽く上げてその返事とした。
「ああ、そのつもりだ。そっちはあまり見ない組み合わせだが……」
「それがよお。朝っぱらからお化け追っかけてたんだが、そいつがどうも都市伝説でな。俺が捕まえようとしても一向に捕まらねえ。それで、どうしたもんかと思ってたところにこいつが通りかかったもんだから、まあ、手伝ってもらったんだが。そしたら一発で捕まるのな。はあ。自信失うぜ」
やれやれ。と、ため息交じりに語る。
「都市伝説ってそういうものなんでしょ?私一人でも解決できないんだから、そんなに落ち込まないでよ」
肩を落とすぽん吉の肩に手をかけ、栞は励ましの言葉をかける。
「おやおやあ?シオリさんが持っているのはハンバーガーですか?」
いきなりどこからかよく見知った声がする。三人とも急に割り込んできた声に驚き、キョロキョロと周りを見渡す。すると、誠の陰から、真紀奈が顔をひょこりと出した。
「ここですよ、ここ」
「うわあなんでそんなところにいるんだ」
誠は急に後ろから出てきた真紀奈に驚き、少し跳びあがる。
「月岡さんについていくとおいしいお店に連れて行ってくれますからね~」
呆れ顔の誠に、真紀奈は満面の笑みを向ける。そういう風に自分のことを見ていたのか。
「ところで~。そのハンバーガーってこの近くのお店の物ですよね~」
栞の持っている袋にはファストフードチェーンのロゴが大きくついている。
「うん。都市伝説を追ってる間にお昼になっちゃったから、ぽん吉クンがおごってくれるって。それで、この近くにきれいな公園があるからそこで食べようかなって」
「いいですね~。私たちもご一緒してよろしいですか?」
「それはいいけど……」
「私達って、俺もか?」
年齢と見た目が合わない奴が半数いるとはいえ、このメンバーに誠が混じるのは少々気恥しい。
「駄目ですか?」
「はあ……。好きにしろ」
「じゃあ早速買ってきますね!三人は先に公園に行っててください!」
そう言うと、真紀奈は素早く人ごみの中へ消えて行った。
まだ何を食べるかは決めていない誠だったが、まさか女子高生たちとハンバーガーを食べるとは思いもしなかった。
「ああなると聞かないんだ。すまんがご一緒させてもらうよ」
「はい。じゃあ行きましょうか」
初老の男性と少年と少女は、並んで一路公園へ向かう。
目的地は四葉駅からほど近いところにある四葉公園。そこには、大きな池や自然を感じられる林などがあり、町の人の憩いのスポットになっている。
三人が池の見える木蔭のピクニックテーブルの椅子に座ると、ほどなくして買い物を済ませた真紀奈が走ってきた。あの距離をこの速度で走って息を切らさないのは、流石はロボット少女といったところだろう。
「真紀奈ちゃん、こっちこっち」
「はいな~」
真紀奈が開いている場所に座る。中学生くらいに見える男女に、女子高生、そこに40そこそこのおっさんが入るのだから最初は違和感を覚えたものだが、同業者ということもあり、話は意外と弾む。
「月岡さんのは激辛バーガーにしておきましたよ」
「おい」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
異世界ランドへようこそ
来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。
中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。
26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。
勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。
同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。
――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。
「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。
だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった!
経営者は魔族、同僚はガチの魔物。
魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活!
やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。
笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。
現代×異世界×職場コメディ、開園!
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる