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第十一話「ベースボールアワー~都市伝説白球譚~」
11-1.ベースボールアワー~都市伝説白球譚~
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お盆も過ぎ、八月も中盤といったところ。立秋を過ぎ、残暑と言っても今まで以上の暑さが支配する。
いつものように神社に来ている駆人は、天子と共にテレビを眺めていた。高校野球の全国大会だ。天子は野球が好きで、いつもはプロ野球中継を欠かさず見ているが、この季節になると一番の楽しみは高校野球だそうだ。テレビの向こうでは、球児達が勝利を求めて投げ、打ち、守り、青春の汗を流している。しかし、立っているだけでもキツイこの暑さであれだけ運動するのは大変だろう。と、思えるのは家の中で転がって眺めているからか。
カーン。
快音が響き、打者の打ったボールは内野手の頭を越える。外野ヒットとなってノーアウト満塁のチャンスだ。
「……、のうカルト。こんな都市伝説を聞いたことはないか?」
寝ているのか起きているのか分からないほど静かにテレビを見ていた天子が、姿勢はそのままに問いかけてくる。
「野球では、ノーアウト満塁からは得点が入らないんだそうじゃ」
異な話だ。一塁、二塁、三塁と回って本塁を踏めば得点になる野球という競技。当然三塁まで埋まっている満塁の状況であれば、安打が出れば得点になる。得点には最も近い状況。攻撃終了のチェンジから最も遠いノーアウトともなればなおさらだ。
ズバッ!
ストライク。ストレートを空振りしての三振だ。投手の気迫のこもった表情が映る。これでワンアウト。しかし満塁のチャンスは変わらない。
「ファンの間でもよく言われているし、選手の間でもジンクスとして語られているそうじゃよ」
確かに、満塁は守備側にとってただ単に不利というわけではない。すべての塁がフォースプレイとなる。満塁策という戦法もあるくらいだ。むしろ空きがあるよりも守備側に有利とも言える。
カン。
高く浮いた打球。遊撃手が後ろに下がってうまくキャッチした。ランナーは進むことができない。これでツーアウトだ。チェンジまでアウトはあと一つ。
「そんなによくあることでもないが、かなりのチャンスに写ることは間違いないから、得点が取れないシーンをよく憶えているだけ、という話もあるがの」
よくある話だ。数ある成功よりも、数度の失敗の方が記憶に残る。今回のパターンも実際には少なくとも一、二点程度はとる場合が多いのだろう。しかし、大チャンスからの無得点は衝撃が大きく、記憶に残りやすいものだ。
カキーン。
投手が投じた球を芯で捕らえた打球は、大きく弧を描き、ライトスタンドに消えた。
満塁ホームランだ。塁を回る打者も喜びを隠しきれない。これで一挙に四得点、試合を一気に動かす一発だ。
「……」
その後、試合は先ほど満塁ホームランを打ったチームがそのリードを守り切り、勝利した。第一試合が終わり、まだ正午までには時間がある。その余韻も冷めやらぬまま、興奮した面持ちの天子が立ちあがり叫ぶ。
「カルトよ!野球をするぞ!あの都市伝説を検証せねばならん!」
あの問答の後、天子はまた静かな状態に戻ったので、駆人としてはこのまま次の試合も続けてみるものだと思っていた。不意に声をかけられ、一瞬頭が働かない。
「……。天子様がですか?」
「お主もじゃ」
駆人は野球のルールは理解しているものの、実際にやった経験は学校の体育の時間に数度、といったところだ。やること自体は構わないが……。
「そもそもさっき言ってた状況でホームランで四点入ったじゃないですか。あれで検証終了でしょう。都市伝説は都市伝説です」
「わしらがやることに意義があるんじゃ!」
「まあ。やること自体は反対じゃないですけど……。でも、二人じゃ野球はできませんよ。一チーム九人。相手チームも必要ですから十八人いないと試合はできないじゃないですか」
その指摘に天子はひるむことなく不敵に笑みを浮かべる。
「その辺は抜かりない。場所や道具も準備はできとる。じゃあ午後一番で試合開始じゃぞ。遅れずに来るようにな!」
それだけ言うと、天子は外へと走り去っていった。
「相変わらず無茶苦茶な人だ……」
昼ごはんの時間になっても天子は帰ってこなかった。空子にはあらかじめ話が行っていたようで、昼食を食べてから二人で天子が用意したという野球場へ向かう。
神社から歩いて二十分ほどの四葉公園内の野球場。学生大会の試合で使用するような割と立派な野球場だ。こんなところ思いつきで使えるのだろうか。
そう思いながら通路を抜けると、すでに野球の試合をするのに十分な人数が集まっていた。そこに先に来ていた天子が声をかけに来る。
「お主ら遅いぞ。一番最後じゃ」
よくもまあこれだけの人数を短時間に集めたものだ。そう思いながら、集まったメンバーを眺める。こちらチームらしい方には、ぽん吉や怪奇現象犯罪対策課の二人、更に栞までいる。なんとなく納得のメンバーだ。対して相手チームは……。
「ちょっと、天子様。あいつらって……」
「せっかくじゃから協力してもらうことにした!人数合わせにちょうどいいからな!」
自慢げに胸を張る天子。駆人はもう無事に終わらない予感がしていた。。
「ということで今回の試合の出場メンバーを紹介するぞ!」
四葉町スカイフォックス 都市伝説怪奇軍
1 牧島真紀奈 (中) メリーさん (三)
2 七生駆人 (遊) 百キロババア (中)
3 ぽん吉 (二) 都市伝説の魔王 (遊)
4 天子 (投) 口裂け女 (捕)
5 月岡誠 (右) フジツボゴーレム(左)
6 メイドのクーコ(一) 赤い紙青い紙 (一)
7 テンコ姫 (三) 白いワニ (右)
8 空子 (捕) 人面犬 (二)
9 綾香栞 (左) 質問テレフォン (投)
「以上じゃ!」
いつものように神社に来ている駆人は、天子と共にテレビを眺めていた。高校野球の全国大会だ。天子は野球が好きで、いつもはプロ野球中継を欠かさず見ているが、この季節になると一番の楽しみは高校野球だそうだ。テレビの向こうでは、球児達が勝利を求めて投げ、打ち、守り、青春の汗を流している。しかし、立っているだけでもキツイこの暑さであれだけ運動するのは大変だろう。と、思えるのは家の中で転がって眺めているからか。
カーン。
快音が響き、打者の打ったボールは内野手の頭を越える。外野ヒットとなってノーアウト満塁のチャンスだ。
「……、のうカルト。こんな都市伝説を聞いたことはないか?」
寝ているのか起きているのか分からないほど静かにテレビを見ていた天子が、姿勢はそのままに問いかけてくる。
「野球では、ノーアウト満塁からは得点が入らないんだそうじゃ」
異な話だ。一塁、二塁、三塁と回って本塁を踏めば得点になる野球という競技。当然三塁まで埋まっている満塁の状況であれば、安打が出れば得点になる。得点には最も近い状況。攻撃終了のチェンジから最も遠いノーアウトともなればなおさらだ。
ズバッ!
ストライク。ストレートを空振りしての三振だ。投手の気迫のこもった表情が映る。これでワンアウト。しかし満塁のチャンスは変わらない。
「ファンの間でもよく言われているし、選手の間でもジンクスとして語られているそうじゃよ」
確かに、満塁は守備側にとってただ単に不利というわけではない。すべての塁がフォースプレイとなる。満塁策という戦法もあるくらいだ。むしろ空きがあるよりも守備側に有利とも言える。
カン。
高く浮いた打球。遊撃手が後ろに下がってうまくキャッチした。ランナーは進むことができない。これでツーアウトだ。チェンジまでアウトはあと一つ。
「そんなによくあることでもないが、かなりのチャンスに写ることは間違いないから、得点が取れないシーンをよく憶えているだけ、という話もあるがの」
よくある話だ。数ある成功よりも、数度の失敗の方が記憶に残る。今回のパターンも実際には少なくとも一、二点程度はとる場合が多いのだろう。しかし、大チャンスからの無得点は衝撃が大きく、記憶に残りやすいものだ。
カキーン。
投手が投じた球を芯で捕らえた打球は、大きく弧を描き、ライトスタンドに消えた。
満塁ホームランだ。塁を回る打者も喜びを隠しきれない。これで一挙に四得点、試合を一気に動かす一発だ。
「……」
その後、試合は先ほど満塁ホームランを打ったチームがそのリードを守り切り、勝利した。第一試合が終わり、まだ正午までには時間がある。その余韻も冷めやらぬまま、興奮した面持ちの天子が立ちあがり叫ぶ。
「カルトよ!野球をするぞ!あの都市伝説を検証せねばならん!」
あの問答の後、天子はまた静かな状態に戻ったので、駆人としてはこのまま次の試合も続けてみるものだと思っていた。不意に声をかけられ、一瞬頭が働かない。
「……。天子様がですか?」
「お主もじゃ」
駆人は野球のルールは理解しているものの、実際にやった経験は学校の体育の時間に数度、といったところだ。やること自体は構わないが……。
「そもそもさっき言ってた状況でホームランで四点入ったじゃないですか。あれで検証終了でしょう。都市伝説は都市伝説です」
「わしらがやることに意義があるんじゃ!」
「まあ。やること自体は反対じゃないですけど……。でも、二人じゃ野球はできませんよ。一チーム九人。相手チームも必要ですから十八人いないと試合はできないじゃないですか」
その指摘に天子はひるむことなく不敵に笑みを浮かべる。
「その辺は抜かりない。場所や道具も準備はできとる。じゃあ午後一番で試合開始じゃぞ。遅れずに来るようにな!」
それだけ言うと、天子は外へと走り去っていった。
「相変わらず無茶苦茶な人だ……」
昼ごはんの時間になっても天子は帰ってこなかった。空子にはあらかじめ話が行っていたようで、昼食を食べてから二人で天子が用意したという野球場へ向かう。
神社から歩いて二十分ほどの四葉公園内の野球場。学生大会の試合で使用するような割と立派な野球場だ。こんなところ思いつきで使えるのだろうか。
そう思いながら通路を抜けると、すでに野球の試合をするのに十分な人数が集まっていた。そこに先に来ていた天子が声をかけに来る。
「お主ら遅いぞ。一番最後じゃ」
よくもまあこれだけの人数を短時間に集めたものだ。そう思いながら、集まったメンバーを眺める。こちらチームらしい方には、ぽん吉や怪奇現象犯罪対策課の二人、更に栞までいる。なんとなく納得のメンバーだ。対して相手チームは……。
「ちょっと、天子様。あいつらって……」
「せっかくじゃから協力してもらうことにした!人数合わせにちょうどいいからな!」
自慢げに胸を張る天子。駆人はもう無事に終わらない予感がしていた。。
「ということで今回の試合の出場メンバーを紹介するぞ!」
四葉町スカイフォックス 都市伝説怪奇軍
1 牧島真紀奈 (中) メリーさん (三)
2 七生駆人 (遊) 百キロババア (中)
3 ぽん吉 (二) 都市伝説の魔王 (遊)
4 天子 (投) 口裂け女 (捕)
5 月岡誠 (右) フジツボゴーレム(左)
6 メイドのクーコ(一) 赤い紙青い紙 (一)
7 テンコ姫 (三) 白いワニ (右)
8 空子 (捕) 人面犬 (二)
9 綾香栞 (左) 質問テレフォン (投)
「以上じゃ!」
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