魔王軍の修繕師(リペアラー)

AI異世界小説家

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第6章:蘇る絶望と「真の覚醒」

蘇る絶望と「真の覚醒」

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「ガハハ! そいつがお前の知り合いか? 傑作だな!」  オーガは腹を抱えて笑い、手に持った魔導注射器でカプセルを叩いた。  「そいつはな、魔素の馴染みが悪くて、知性を削って無理やり筋肉に変えた『欠陥品』だ。だが安心しろ、ハーピーの女。お前が隣のカプセルに入れば、地獄でも再会させてやるよ!」

 その嘲笑が、引き金(トリガー)だった。  ルルの脳内に、凄まじい勢いで「失われた記憶」が逆流する。

 ――広場で踊る自分の姿。拍手。少年の笑い声。  ――「いつか大きな街で、お前のダンスを見せるんだろ?」そう言って笑ったティート。  ――それらすべてを、冷たい銀色の薬と、目の前の男の醜悪な笑みが踏みにじった。

「あ……あぁ……。あいつが、薬を……。私が泣いて、やめてって言ったのに、笑いながら……!」

 ベルが頭を抱えて叫ぶ。彼女の記憶もまた、真っ赤に染まった村の景色と共に蘇っていた。村を守ろうとした父の死、狩人だった自分が罠にかかり、この男に引きずられていく屈辱。  ロゼもまた、暗い路地裏で「腹が減ってるならこっちへ来い」とザガンに誘われ、そのまま意識を失ったあの日を思い出していた。

「思い出した……全部……! 私たちは、道具じゃない……ゴミなんかじゃない!!」

 三人の体から、これまでにない濃度の魔力が溢れ出す。  だが、それは暴走に近い、自壊を伴う力だった。過去の絶望と魔物の本能が衝突し、彼女たちの精神を焼き切ろうとしている。

「みんな、俺を見ろ!」

 俺は叫び、三人の中心へと踏み込んだ。  恐怖で震えるロゼの手を、憎悪で血の涙を流すベルの肩を、絶望に沈むルルの背中を、強く抱き寄せた。

「カイト……さん……。わたし、わたしは……人間、だったの……」 「ああ、知ってる。お前たちは人間として生き、人間として苦しみ、そして今、ここで生きている」

 俺は【解析眼】を全開にする。  彼女たちの脳内、以前俺が除去したはずの「暴走回路」の残滓が、記憶の復活と共に共鳴しているのが見えた。だが、今の俺には「直す」以上のことができる。

「お前たちの絶望を、俺が『再定義』してやる。人間でも魔物でもない――お前たちだけの、あいつをぶち殺すための力に作り変えてやる!」

 俺は指先から、修復(リペア)ではなく**「最適化(オプティマイズ)」**の魔力を流し込んだ。  人間としての高い知性と技術、そして魔物としての圧倒的な生命力。  相反する二つの資質を、俺のスキルが橋渡し(リンク)していく。

「スキル発動――《魔導生命の最適化:ハイブリッド・覚醒》!」

 一瞬間、研究棟が眩い光に包まれた。

「な、なんだと……!? 実験体ごときが、この俺の術式に手を加えただと!?」

 オーガが驚愕に目を見開く。  光の中から現れたのは、これまでの「魔物」の姿とは一線を画す、神々しささえ漂わせる三人の少女だった。

ロゼ: 透き通る桜色の肌はそのままに、腕を「形状記憶」の魔力を持つ液状の金属に形成する。

ベル: 黒い外骨格は精緻なドレスのように姿を変え、その背後には無数の影の糸が蠢いている。

ルル: 傷だらけだった翼は鋼のような輝きを放ち、周囲には真空の刃が渦を巻いていた。

 かつてザガンに虐げられた「元人間」と、俺が直した「最強の魔物」が、今この瞬間、完全に融合したのだ。

「……殺す」

 ロゼが、感情の消えた声で呟いた。  彼女の足元が水溜まりのように広がり、一瞬で距離を詰める。

「ふ、ふざけるな! たかがゴミが……ぐあぁっ!?」

 オーガが振り下ろした巨大な拳は、ロゼの流体化した体ですり抜け、逆に彼女の形成した水の刃がオーガの厚い皮を切り裂いた。

「この力……体が軽い。カイトさんが、私たちにくれた……」

 ベルが影の糸を操り、襲いかかる人造魔物たちを瞬時に拘束する。  ルルは空中へと舞い上がり、カプセルの中にいるティートを見守るように、風の障壁を展開した。

「オーガ。お前はさっき、こいつらを素材と言ったな」

 俺はゆっくりと、腰に下げた作業用の短剣を抜き放った。

「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ。お前のその醜い肉体、俺が『解体』して、その中身を徹底的に解析(調べて)やる」

 絶望の底から這い上がった三人の少女と、一人の修繕師。  逆襲の幕が、今、切って落とされた。
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