誰かが望んだ楽園の迷い人

AI異世界小説家

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第14章:愚者たちの挽歌、そして新しい時代の幕開け

決着

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14-3
それを見た周りの男たちが、「わあっ」と悲鳴を上げて逃げ出す。彼らの精神的支柱の一つが、今折れたのだ。
 周りを見回すと乱戦になっていた。
 個々の能力では女性たちが圧倒しているが、数は暴力だ。
「きゃあっ!」
 前衛の女性剣士が、三人の男に囲まれ、腕を深く斬りつけられた。
 鮮血が舞う。
「へへっ、捕まえたぞ! そのまま俺達の領地に連れ帰ってやる……」
 男たちが勝利を確信し、歪んだ笑みを浮かべる。
 だが、その瞬間。
「慈悲深き女神よ、その御手にて傷つきし子らを癒やしたまえ……『ハイ・ヒール』!」
 後方で控えていた大司祭セレニティの杖が輝いた。
 カッ!
 強烈な光が傷ついた女性を包み込む。
 斬り落とされかけた腕が、見えない糸に引かれるようにくっつき、傷口が瞬時に塞がった。
「え……?」
 女性剣士は自分の腕を確認し、すぐに剣を構え直した。
「……ありがとう、セレニティ様!」
 ズバッ!
 驚愕で硬直していた男の首元に、剣が叩き込まれた。
 戦場のあちこちで、同じ光景が繰り広げられた。
 男たちは必死の思いで女たちに傷を負わせる。
 しかし、次の瞬間には光に包まれ、何事もなかったかのように立ち上がり、反撃してくるのだ。
「な、なんだこれは……」
「さっき腕を切り落としたはずだぞ!? なんで剣を振ってるんだ!?」
「女たちが……死なない……」
 恐怖が伝染していく。
 大司祭の『ハイ・ヒール』は、即死さえしなければ、欠損部位すら瞬時に繋ぎ合わせる奇跡の魔法だ。
 対する男たちは、ストーンゴーレムの拳に砕かれ、リースの盾に弾かれ、エリアの剣に斬り刻まれ、確実に数を減らしていく。回復役のいない彼らは、傷つけばそこで終わりだ。
「女たちは不死身だ……!」
「不死の魔物になっちまったんだ! 勝てるわけねぇ!」
「ひいいぃっ! 助けてくれぇ!」
 誰かが叫んだその言葉が、決定打となった。
「躾ける」という妄想は、「食われる」という原初的な恐怖に上書きされた。
 男たちは武器を捨て、我先にと背を向けた。
「逃げろ! 逃げろぉぉッ!」
 総崩れだった。ギルドマスターも、ガルドが死んだことに気がつくと、部下を押しのけて逃走を図っている。
「追撃しますか!?」
 殺気立つ女性隊員たちを、俺とリースが制した。
「深追いするな! 追い払えばそれでいい!」
「殲滅する必要はないわ、これ以上の殺生は、私たちが彼らと同じになってしまうわ」
 男たちの背中が地平線の彼方へ消えていく。
 戦場に残されたのは、うめき声を上げる負傷した男たちと、無傷で立ち尽くす女性たちだけだった。
「……勝った」
 エリアがつぶやいた。
 彼女の愛剣、ミスリルの剣は、過剰な魔力付与(エンチャント)に耐えきれず、刀身がボロボロにひび割れていた。
 彼女はその剣を高々と掲げ、青空に向かって叫んだ。
「勝ったわ! 私たちの勝利よ!!」
「うおおおおおおおおっ!!」
「シンジ様万歳! ブレイブ・ハート万歳!!」
 歓喜の声が、グランヴェルの空にこだました。
 それは、三千年の長きにわたる呪縛から、この世界が完全に解き放たれた瞬間だった。
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