37 / 38
第14章:愚者たちの挽歌、そして新しい時代の幕開け
決着
しおりを挟む
14-3
それを見た周りの男たちが、「わあっ」と悲鳴を上げて逃げ出す。彼らの精神的支柱の一つが、今折れたのだ。
周りを見回すと乱戦になっていた。
個々の能力では女性たちが圧倒しているが、数は暴力だ。
「きゃあっ!」
前衛の女性剣士が、三人の男に囲まれ、腕を深く斬りつけられた。
鮮血が舞う。
「へへっ、捕まえたぞ! そのまま俺達の領地に連れ帰ってやる……」
男たちが勝利を確信し、歪んだ笑みを浮かべる。
だが、その瞬間。
「慈悲深き女神よ、その御手にて傷つきし子らを癒やしたまえ……『ハイ・ヒール』!」
後方で控えていた大司祭セレニティの杖が輝いた。
カッ!
強烈な光が傷ついた女性を包み込む。
斬り落とされかけた腕が、見えない糸に引かれるようにくっつき、傷口が瞬時に塞がった。
「え……?」
女性剣士は自分の腕を確認し、すぐに剣を構え直した。
「……ありがとう、セレニティ様!」
ズバッ!
驚愕で硬直していた男の首元に、剣が叩き込まれた。
戦場のあちこちで、同じ光景が繰り広げられた。
男たちは必死の思いで女たちに傷を負わせる。
しかし、次の瞬間には光に包まれ、何事もなかったかのように立ち上がり、反撃してくるのだ。
「な、なんだこれは……」
「さっき腕を切り落としたはずだぞ!? なんで剣を振ってるんだ!?」
「女たちが……死なない……」
恐怖が伝染していく。
大司祭の『ハイ・ヒール』は、即死さえしなければ、欠損部位すら瞬時に繋ぎ合わせる奇跡の魔法だ。
対する男たちは、ストーンゴーレムの拳に砕かれ、リースの盾に弾かれ、エリアの剣に斬り刻まれ、確実に数を減らしていく。回復役のいない彼らは、傷つけばそこで終わりだ。
「女たちは不死身だ……!」
「不死の魔物になっちまったんだ! 勝てるわけねぇ!」
「ひいいぃっ! 助けてくれぇ!」
誰かが叫んだその言葉が、決定打となった。
「躾ける」という妄想は、「食われる」という原初的な恐怖に上書きされた。
男たちは武器を捨て、我先にと背を向けた。
「逃げろ! 逃げろぉぉッ!」
総崩れだった。ギルドマスターも、ガルドが死んだことに気がつくと、部下を押しのけて逃走を図っている。
「追撃しますか!?」
殺気立つ女性隊員たちを、俺とリースが制した。
「深追いするな! 追い払えばそれでいい!」
「殲滅する必要はないわ、これ以上の殺生は、私たちが彼らと同じになってしまうわ」
男たちの背中が地平線の彼方へ消えていく。
戦場に残されたのは、うめき声を上げる負傷した男たちと、無傷で立ち尽くす女性たちだけだった。
「……勝った」
エリアがつぶやいた。
彼女の愛剣、ミスリルの剣は、過剰な魔力付与(エンチャント)に耐えきれず、刀身がボロボロにひび割れていた。
彼女はその剣を高々と掲げ、青空に向かって叫んだ。
「勝ったわ! 私たちの勝利よ!!」
「うおおおおおおおおっ!!」
「シンジ様万歳! ブレイブ・ハート万歳!!」
歓喜の声が、グランヴェルの空にこだました。
それは、三千年の長きにわたる呪縛から、この世界が完全に解き放たれた瞬間だった。
それを見た周りの男たちが、「わあっ」と悲鳴を上げて逃げ出す。彼らの精神的支柱の一つが、今折れたのだ。
周りを見回すと乱戦になっていた。
個々の能力では女性たちが圧倒しているが、数は暴力だ。
「きゃあっ!」
前衛の女性剣士が、三人の男に囲まれ、腕を深く斬りつけられた。
鮮血が舞う。
「へへっ、捕まえたぞ! そのまま俺達の領地に連れ帰ってやる……」
男たちが勝利を確信し、歪んだ笑みを浮かべる。
だが、その瞬間。
「慈悲深き女神よ、その御手にて傷つきし子らを癒やしたまえ……『ハイ・ヒール』!」
後方で控えていた大司祭セレニティの杖が輝いた。
カッ!
強烈な光が傷ついた女性を包み込む。
斬り落とされかけた腕が、見えない糸に引かれるようにくっつき、傷口が瞬時に塞がった。
「え……?」
女性剣士は自分の腕を確認し、すぐに剣を構え直した。
「……ありがとう、セレニティ様!」
ズバッ!
驚愕で硬直していた男の首元に、剣が叩き込まれた。
戦場のあちこちで、同じ光景が繰り広げられた。
男たちは必死の思いで女たちに傷を負わせる。
しかし、次の瞬間には光に包まれ、何事もなかったかのように立ち上がり、反撃してくるのだ。
「な、なんだこれは……」
「さっき腕を切り落としたはずだぞ!? なんで剣を振ってるんだ!?」
「女たちが……死なない……」
恐怖が伝染していく。
大司祭の『ハイ・ヒール』は、即死さえしなければ、欠損部位すら瞬時に繋ぎ合わせる奇跡の魔法だ。
対する男たちは、ストーンゴーレムの拳に砕かれ、リースの盾に弾かれ、エリアの剣に斬り刻まれ、確実に数を減らしていく。回復役のいない彼らは、傷つけばそこで終わりだ。
「女たちは不死身だ……!」
「不死の魔物になっちまったんだ! 勝てるわけねぇ!」
「ひいいぃっ! 助けてくれぇ!」
誰かが叫んだその言葉が、決定打となった。
「躾ける」という妄想は、「食われる」という原初的な恐怖に上書きされた。
男たちは武器を捨て、我先にと背を向けた。
「逃げろ! 逃げろぉぉッ!」
総崩れだった。ギルドマスターも、ガルドが死んだことに気がつくと、部下を押しのけて逃走を図っている。
「追撃しますか!?」
殺気立つ女性隊員たちを、俺とリースが制した。
「深追いするな! 追い払えばそれでいい!」
「殲滅する必要はないわ、これ以上の殺生は、私たちが彼らと同じになってしまうわ」
男たちの背中が地平線の彼方へ消えていく。
戦場に残されたのは、うめき声を上げる負傷した男たちと、無傷で立ち尽くす女性たちだけだった。
「……勝った」
エリアがつぶやいた。
彼女の愛剣、ミスリルの剣は、過剰な魔力付与(エンチャント)に耐えきれず、刀身がボロボロにひび割れていた。
彼女はその剣を高々と掲げ、青空に向かって叫んだ。
「勝ったわ! 私たちの勝利よ!!」
「うおおおおおおおおっ!!」
「シンジ様万歳! ブレイブ・ハート万歳!!」
歓喜の声が、グランヴェルの空にこだました。
それは、三千年の長きにわたる呪縛から、この世界が完全に解き放たれた瞬間だった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる