1 / 16
第1話 成長の遅い冒険者
しおりを挟む
「はぁ……はぁ……や、やっとか。やっと倒せた」
俺はやっとの事でモンスターを倒す。その倒したモンスターとは最弱と知られるモンスターだった。
俺はその最弱と呼ばれるスライムを長い時間かけて、やっとの事で倒したのである。
俺はステータス画面を開く。
=====================================
【名 前】 エルク・フリオニール
【年 齢】 15歳
【固有スキル】 『成長率鈍化』
※レベル及びスキルレベルの成長効率が鈍化する
【レベル】 2
【HP】 15
【MP】 6
【攻撃力】 2
【防御力】 2
【俊敏性】 2
【魔力】 2
【魔力防御力】 2
【運気】 2
【スキル】
剣技LV2
【装備】
ブロードソード 攻撃力+5
冒険者の服 防御力+5
=====================================
「はぁ…………」
俺は深く、溜息を吐いた。
冒険者になってから半年が経った。その半年の成果がこれだった。半年もかけてLV1がLV2になった。そして、剣技のスキルレベルがLV1からLV2になった。
同時期になった冒険者達は既にレベルが10を超えている。それが通常の成長速度というものだろう。未だにFランクの冒険者をやっているのは俺くらいのものだった。
俺が未だにFランクの冒険者として足踏みを食らっているのにはちゃんとした理由があった。俺がサボって怠惰な生活を送っていたというわけではない。というか、そうの方がマシだろう。努力をしてこなかった人間だったのなら、努力をするようになればその分伸びしろがある。
努力を積み重ねてきて、それでも結果が出ていない人間には伸びしろなんてものがないのだから。
俺の固有スキル『成長率鈍化』はレベルとスキルレベルの成長を鈍化させる。その結果、半年がかりでスライム相手に格闘を続けても、俺のレベルもスキルレベルもそれぞれ1ずつしか向上しなかったのだ。
この日もまた、俺のレベルもスキルレベルも上がる気配がなかった。
「……帰ろうか」
俺は冒険者ギルドに帰る事にした。足取りは重い。だが、もう夕暮れ時だ。夜になったらより凶悪なモンスターが出てくる。これ以上、クエストを継続するのは危険極まったのだ。
◇
「お待たせしました。こちらがスライム一匹を討伐した報奨金です」
俺は受付嬢から報奨金を受け取る。銅貨1枚だ。辛うじて、今日の安宿の宿代くらいにはなりそうな程度の報奨金だった。
強くならなければ高額の報奨金を貰えるようなクエストは受けられなかった。これではその日暮らしの生活を到底抜け出せそうになかった。
「はっはっは! エルク……お前まだスライム退治なんてやってるのか?」
「お、お前は……」
俺と同時期に冒険者になった貴族の息子——ゴードン・マルチネスである。冒険者とは思えない程整った身なりをした、いかにもボンボンといった風体の嫌味な男だった。ゴードンの周りには何人かの取り巻き達がいた。彼等はパーティーを結成しているのだ。
「俺達はもうCランクの冒険者だっていうのに、お前はいつまでFランクの冒険者なんてしているつもりなんだよ?」
「可哀想な野郎だな。いつまで経っても強くなれないんだからよ。このままじゃお前、スライム退治をしているだけで一生が終わっちまうぜ」
取り巻きも俺を嘲ってくる。
「仕方ねぇな……お前がどうしてもって頭を下げて泣いて頼み込んでくるなら、俺達のパーティーに入れてやらなくもないぜ?」
「ただし、荷物持ち(ポーター)とてだけどよ!」
「「「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」」
冒険者ギルドに哄笑が響く。
「くっ!」
俺にだってプライドがあった。そんな誘いに耳を傾ける気にもなれない。
「どこ行くんだよ? お前みたいなのを冒険者をパーティーに入れてやる奴なんて、他にどこにもいないんだぞ。こんな旨い話を棒に振るつもりか?」
ゴードンは煽ってくる。
俺は言葉を返さず、冒険者ギルドを後にした。やり場のない憤りを抱え、俺は今日もまた安宿に泊まりに行ったのだ。
俺はやっとの事でモンスターを倒す。その倒したモンスターとは最弱と知られるモンスターだった。
俺はその最弱と呼ばれるスライムを長い時間かけて、やっとの事で倒したのである。
俺はステータス画面を開く。
=====================================
【名 前】 エルク・フリオニール
【年 齢】 15歳
【固有スキル】 『成長率鈍化』
※レベル及びスキルレベルの成長効率が鈍化する
【レベル】 2
【HP】 15
【MP】 6
【攻撃力】 2
【防御力】 2
【俊敏性】 2
【魔力】 2
【魔力防御力】 2
【運気】 2
【スキル】
剣技LV2
【装備】
ブロードソード 攻撃力+5
冒険者の服 防御力+5
=====================================
「はぁ…………」
俺は深く、溜息を吐いた。
冒険者になってから半年が経った。その半年の成果がこれだった。半年もかけてLV1がLV2になった。そして、剣技のスキルレベルがLV1からLV2になった。
同時期になった冒険者達は既にレベルが10を超えている。それが通常の成長速度というものだろう。未だにFランクの冒険者をやっているのは俺くらいのものだった。
俺が未だにFランクの冒険者として足踏みを食らっているのにはちゃんとした理由があった。俺がサボって怠惰な生活を送っていたというわけではない。というか、そうの方がマシだろう。努力をしてこなかった人間だったのなら、努力をするようになればその分伸びしろがある。
努力を積み重ねてきて、それでも結果が出ていない人間には伸びしろなんてものがないのだから。
俺の固有スキル『成長率鈍化』はレベルとスキルレベルの成長を鈍化させる。その結果、半年がかりでスライム相手に格闘を続けても、俺のレベルもスキルレベルもそれぞれ1ずつしか向上しなかったのだ。
この日もまた、俺のレベルもスキルレベルも上がる気配がなかった。
「……帰ろうか」
俺は冒険者ギルドに帰る事にした。足取りは重い。だが、もう夕暮れ時だ。夜になったらより凶悪なモンスターが出てくる。これ以上、クエストを継続するのは危険極まったのだ。
◇
「お待たせしました。こちらがスライム一匹を討伐した報奨金です」
俺は受付嬢から報奨金を受け取る。銅貨1枚だ。辛うじて、今日の安宿の宿代くらいにはなりそうな程度の報奨金だった。
強くならなければ高額の報奨金を貰えるようなクエストは受けられなかった。これではその日暮らしの生活を到底抜け出せそうになかった。
「はっはっは! エルク……お前まだスライム退治なんてやってるのか?」
「お、お前は……」
俺と同時期に冒険者になった貴族の息子——ゴードン・マルチネスである。冒険者とは思えない程整った身なりをした、いかにもボンボンといった風体の嫌味な男だった。ゴードンの周りには何人かの取り巻き達がいた。彼等はパーティーを結成しているのだ。
「俺達はもうCランクの冒険者だっていうのに、お前はいつまでFランクの冒険者なんてしているつもりなんだよ?」
「可哀想な野郎だな。いつまで経っても強くなれないんだからよ。このままじゃお前、スライム退治をしているだけで一生が終わっちまうぜ」
取り巻きも俺を嘲ってくる。
「仕方ねぇな……お前がどうしてもって頭を下げて泣いて頼み込んでくるなら、俺達のパーティーに入れてやらなくもないぜ?」
「ただし、荷物持ち(ポーター)とてだけどよ!」
「「「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」」
冒険者ギルドに哄笑が響く。
「くっ!」
俺にだってプライドがあった。そんな誘いに耳を傾ける気にもなれない。
「どこ行くんだよ? お前みたいなのを冒険者をパーティーに入れてやる奴なんて、他にどこにもいないんだぞ。こんな旨い話を棒に振るつもりか?」
ゴードンは煽ってくる。
俺は言葉を返さず、冒険者ギルドを後にした。やり場のない憤りを抱え、俺は今日もまた安宿に泊まりに行ったのだ。
11
あなたにおすすめの小説
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった
竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。
やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。
それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる