俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも/九十九弐式

文字の大きさ
6 / 16

第6話 Eランクへの昇格クエスト

しおりを挟む
「え? 昇格クエストを受けたい?」

「は、はい!」

 翌朝、俺は冒険者ギルドへ行き、受付嬢に話しかけた。

「昇格クエストを受ける事は構わないのですが……いくらEランクへの昇格クエストとはいえ、スライム退治の時と同じようにソロで行くのはおすすめできませんよ。スライムを相手にするのとはわけが違いますから。パーティーで行かれた方が……」

 受付嬢は俺の身を案じてくれているようだ。勿論、昇格クエストはパーティーを組んでいなければ受けられない、という決まりはないだろう。ソロだと危険が増すし、パーティーを組んでいた方が安定感が増す。ソロ攻略は禁止はされていないが、推奨はされていない……という事であろう。

「……そうですか。ありがとうございます」

 とはいえ、俺の悪評は冒険者ギルド内で広まり切っている。今まで俺がパーティーに入れなかったのもそれが原因だ。一年を経過してもFランクの冒険者である俺をお荷物だと判断して、パーティーメンバーに入れたがらない者は多い。
 
 ゴードン達程、直接的に罵倒してくる者はあまりいないが、陰口を叩き、無視している冒険者は数多くいるのが現実だ。

 果たして……こんな俺とパーティーを組んでくれる冒険者がここにいるというのか。

 俺は冒険者ギルドを見回す。

――と、その時の事であった。複数人の冒険者達が一人の少女を囲んでいるのが見えた。新参の冒険者だろうか……見た事のない顔だった。魔導士風のローブとスタッフを装備している、整った顔の少女だ。

「いいじゃねぇかよ、嬢ちゃん。俺達のパーティーに入ろうぜ」

「俺達が手取り足取り教えてやるからよ……勿論、冒険(クエスト)の事だけじゃなくて色々とよ……ぐっひっひ!」

「俺達のパーティーには魔導士が欠けてるんだよ。どうか俺達のパーティーに入ってくれよ。君が攻撃されないように俺達で全力で守るからさ!」

「えっと……ちょっと……あの……その」

 魔導士風の女の子は躊躇っているようだった。新参の冒険者で右も左もわからないところを付け込んで、強引にパーティーに勧誘しようとしているのだ。

 彼女は俺の方を見た。

「す、すみません! わ、私、この人のパーティーに入るので!」
 
 そして、俺の背中に隠れる。俺を盾にしているようだった。俺のパーティーに入る……という事を口実に断わろうとしているのだろう。

「「「ぎゃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」」

 哄笑が響く。

「正気か? 嬢ちゃん」

「そいつが誰か知ってるのか? 一年間経ってもFランクの冒険者をやっているノロマ野郎なんだぜ? 足手まといって噂が広まって、どこのパーティーにも入れてくれないんだよ」

「そんな奴のパーティーに入ろうっていうのか?」

 連中は俺を嘲わらう。

「えっ? そうだったんですか?」

 事情を理解していない少女は驚いているようだった。

「エルク! てめー! Fランクの冒険者のくせに俺達の獲物を横取りしようっていうのか!」

 『獲物』本音がダダ漏れだった。彼女を冒険者として引き入れたいというよりかは、性的欲求を満たす為に食い物にしたいとしか思えない。

 奴等は冒険者ギルドであるにも関わらず、武器を取り出してきた。これではもう、冒険者というよりは盗賊のようなものである。

 仕方がない。こうなっては俺も武器を抜かざるを得なかった。俺は背中の鞘からブロードソードを抜き出す。

「やっちまえっ!」

「「おうっ!」」

 男達が俺に襲い掛かってくる。

 キィン! キィン!

 しかし、俺は剣を以って、奴等の得物を叩き落した。

「な、なんだと! 馬鹿な!」

「てめーは本当にあのノロマのエルクなのか!」

 予想外の出来事に、連中は驚いていた。

「い、行こうか」

「は、はい!」

 いつまでもこの場にいるのはまずかった。

 俺は女の子を連れて、冒険者ギルドを抜け出したのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...