11 / 43

第11話 キングキラーベアを倒す

しおりを挟む
 俺は北へと向かっていた。目的は当然、北にある荒れ果てた墓地である。そこにはアンデッドの強力なモンスターが出るらしい……という噂を酒場のマスターから聞きつけた。

 北にある、荒れ果てた墓地に行きつく為には、深緑の森を通らなければならない。

 飛行(フライ)の魔法かスキルがあれば安全に空を飛んで通過できるかもしれないが。生憎と、俺はそんなスキルは習得していないのであった。

 こうして、俺は深緑の森を歩き始めたのだ。

「不気味な森だ……」

 俺は一人、呟く。今にもモンスターが出て来そうな、不気味な森であった。明らかに、危険な場所だ。

 俺は慎重に森を進んでいく。

 ――と、その時の事であった。

 グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 突如、野獣の叫び声が聞こえてきた。森が震撼する。声量の大きさから察するに、間違いなく巨大なモンスターのものだ。

「な、なんだ!?」

 俺は慌てて、声のする方向へと向かった。

 そこにいたのは大きな熊のようなモンスターだった。

「『解析(アナライズ)』」

 俺は早速、モンスターの特徴を『解析(アナライズ)』のスキルで分析する。まずは敵の情報を知る必要があったのだ。

=====================================
モンスター名。キングキラーベア。
LV20 HP200 弱点属性炎
※巨大な熊型のモンスター。HPと防御力に優れ、耐久力に富んでいるが、決して動きが鈍重という事はない。その巨体に見合わない素早さの持ち主。鋭い爪から放たれつ一撃は驚異的であり、熟練の冒険者でも決して侮れるものではない。
=====================================

 どうやら、このキングキラーベアというモンスターは、この森の主のようだった。

「……なんだ?」

 よくよく見ると、その場には一人の少女が居合わせていた。金髪をした、凛々しい印象の少女だった。

 普通、こういう場面では、女の子というのは悲鳴を上げるものなのではないか。そして、地面にヘタレ込み、ヒーローの登場を待つ。そういう役回りのはずだ。漫画とかの物語で言うと。

 だが、彼女は剣を構えていて、そのキングキラーベアという、恐ろしいモンスターと向き合っている。

 闘うつもりなのか……あんな恐ろしいモンスターと。だが、一人ではあまりに危険すぎる。

 グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 けたたましい叫び声の後、キングキラーベアが少女に襲い掛かる。

 ま、まずい、あんな攻撃食らったら一たまりもない。

 ドスン!

 衝撃音が響いた。だが、空振りだった。彼女はその攻撃を避けていたのだから。

「はああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 天高く舞った、彼女は輝かしい剣でキングキラーベアの脳天を叩き割った。

 グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 ドスン!

 キングキラーベアは断末魔のような悲鳴を上げた後、地面に崩れ落ちた。

「ふうっ……呆気ないものですね」

 彼女はキングキラーベアが絶命したと思い込み、背を向けた。
 
 だが、キングキラーベアの生命力は並みのものではなかったのだ。キングキラーベアはよろよろと立ち上がる。彼女はまだ、キングキラーベアが生き延びているという事に気づいていなかった。

「あ、危ないっ!」

 俺は思わず、身を乗り出していた。今が最大の機会(チャンス)だ。この前に習得した、技スキルを披露する、絶好の機会(チャンス)。

 敵単体に大ダメージを与えられる技スキル『一刀両断』を使用する、機会(チャンス)だ。

「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!
!」

 技スキル『一刀両断』を発動した。単純な技だった。高く飛び上がり、剣を振り下ろすという、単純明快な技。だが、その威力は抜群だった。全体重をかけた一撃はキングキラーベアの脳天に直撃する。

 先ほど、少女により攻撃を加えられた箇所に、再度の攻撃が行われたのだ。その効果は抜群であった。

 グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 ドスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 キングキラーベアは、断末魔を上げて、果てた。

『レベルが10になりましたので、新たな技スキルを修得しました』

 どこからともなく、システムコールのような音声が聞こえてくる。

「そうか、ボスモンスターを倒したから、一気にレベルが上がったのか。ステータスオープン」

 ボスモンスターを倒した俺は、早速ステータスを確認する。
============================

臼井影人 16歳 男 レベル:10(NEW)

職業:無職

HP:50(NEW)※以下、パラメーターは更新されています

MP:50

SP:50

攻撃力:50

防御力:50

素早さ:50

魔法力:50

魔法耐性:50

運:50

装備:銅の剣 ※ 攻撃力+5 銅の防具 ※防御力+5

資金:1000G (NEW)

スキル:『HP成長適正大』『MP成長適正大』『防御力成長適正大』『素早さ成長適正大』『魔法力成長適正大』『魔法耐性成長適正大』『経験値取得効率向上』『レベルアップ上限突破』『資金獲得効率大』『炎耐性大』『水耐性大』『雷耐性大』『地耐性大』『光耐性大』『闇耐性大』『全武器装備可能』『全防具装備可能』
『アイテム保有上限突破』『魔獣、聖獣使い(※ありとあらゆるモンスターを使役する事ができる)』『勇者の証(※勇者が取得できる全技が習得可能になる)』『解析(アナライズ)』※モンスターのデータを解析し、読み取れるスキル。

技スキル:一刀両断【敵単体に大ダメージを与える剣技】※使用SP10 
回し斬り【自身の周辺にいる複数体のモンスターにダメージを与える件技】※使用SP20(NEW)
アイテム:
ポーション※回復力小のポーション。一回限りの使い切り。消耗品。×5

============================

 こうして、キングキラーベアを倒した俺達。やっとの事で俺は目の前にいる、可憐な美少女と向き合う事ができるのであった。



しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...