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第37話 『レベルアップの泉』に入る
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セシリアに案内された俺達はエルフの国の外れまで来ていた。そこにレベルアップの泉があるらしい。
「セシリア様……いかが用でしょうか? ここより先はエルフの国に伝わる泉があるのみです」
国の外れにはエルフ兵がいた。見張り番をしているようだった。やはり貴重な泉であるので、管理がされているようだった。
「ここにいる方々を通して上げて頂きたいのです」
「ですが、ここより先に立ち入るにはエルフ王の許可が……」
「許可なら頂いております。私はエルフ王の命令でここまでこの方々を連れてきたのです」
「そうでしたか……でしたら」
見張り番のエルフ兵が道を譲った。
「私の出番はここまでです。ここより先にエルフの国に伝わる泉があります。皆様、どうかお気をつけて」
そう言って、道案内をしてくれたセシリアがその場を去っていった。
「さあ、行きましょうか……とはいえ、私も入るのは初めての事です」
ここから先はレティシアが先導するようであった。
こうして、俺達はレベルアップの泉へと向かう。
◇
「綺麗です……」
そこにあったのは幻想的な輝きを放つ泉だった。見ただけで不思議な力を宿しているという事に気づく。
「これが『レベルアップの泉』か……確かに、その名の通り普通の泉ではなさそうだな」
俺は何も考えずに、その幻想的な光景を見て、感激に浸っていた。
「……こほん」
エステルがじとーっとした目線を俺に送った後、わざとらしく咳払いをする。
「はっ……」
今更ながらに、俺は気づいた。泉に入るという事は、当然のように服を脱がなければならない。流石に男の俺がこの場にいるのはまずかった。気が利かなかった。
「……すまなかった。気が利かなくて……」
俺は一旦、その場から離れようとする。二人が入った後に、俺だけまた入ればいい。そう思っていたのだ。
――しかし。
するするする。布が擦れるような音がする。
「なっ!?」
レティシアは俺が目の前にいるにも関わらず、平然と服を脱ぎ始めた。そして、その見事なまでの裸体を晒すのだ。美しい。光で透き通ってしまうかのように白い肌を惜しげもなく晒していたのだ。
動揺をしているこちらの気などしれず、レティシアは素知らぬ態度でこちらを見やる。
そして、こう言ったのだ。
「……何か、ありましたか?」
「ど、どうしてレティシア姫は服を脱ぐんだ?」
「何をおっしゃいますか……脱がないまま、泉に入れば服が濡れてしまいます」
何を当たり前の事を言わせるのか、そういった感じのレティシアだった。
「……そ、それは勿論そうだが……」
俺は顔を真っ赤にして視線を反らす。逆に恥ずかしいのはこちらであった。相手の態度が動じていないので、恥ずかしがっているのがまるで馬鹿みたいであった。
「その……俺は言いたいのは恥ずかしいとか、そういう事であってだな」
「恥ずかしい……私がカゲト様に裸を見られて恥ずかしく思わないのか、という、つまりはそういう事ですか?」
「まあ……そうだな。そういう事になるな」
「あまり、考えた事がありません。多種族の異性に裸を見られた経験がないので、恥ずかしいのか。恥ずかしくないのか。そういった事を考えた事がないのかもしれない。カゲト様は猫に裸を見られたからと言って、何か感じるものがあるでしょうか?」
「……別に、何も感じないなぁ」
そう、考えると腑に落ちるものがある。レティシアにとっては俺に裸を見られるのなんて、猫に見られるようなものなのだ。
「けど、やっぱり猫と人間では違うだろ。猫は人畜無害な存在だけど、人間はそうじゃない。危険な存在や、警戒すべき人間だっている」
「私の裸に性的興奮を覚えられるなら、そうかもしれません。カゲト様は覚えられるのですか?」
「そ、そんなわけないだろう!」
全く、その自信がなかったが、それでも俺は精一杯強がって見せる。そこでそれを認めたら、何となく俺の負けなように感じる。
「だったら、別に何も問題がないではないではないですか……それに、私達は無駄な時間を過ごしている暇などないのです。すぐにでもまた、魔王軍が、あの闇勇者とかいう男が攻め入ってくるかもしれません。私達はすぐにでも強くなる必要があるのです。その為に私達はこの『レベルアップの泉』に来たのではありませんか」
「それもその通りだ」
まだ戦時中なのだ。そして、敵である魔王軍は健在である。すぐにでもあの闇勇者ハヤトが襲い掛かってくるかもしれない。弱いままの俺達では、瞬く間にやられてしまう事だろう。いくらあの闇勇者ハヤトでもいつまでも慢心しているとは思えない。今度はもう少し注意深くもなっているはずだ。あいつの力は本物だ。そしてその慢心がなくなったら、油断のならない本物の強敵になる事だろう。
「カゲト様……だったら、今はもう、そんな事を言っている場合ではないではないですか。我々は今、一分一秒一秒を争っている状況なのですから」
「そうだな……その通りだ。俺達は一分一秒を争っている状況なんだ」
俺達はのんびりと温泉旅行に来たわけではないのだ。俺達は純粋に強くなる為。レベルを上げる為に、この『レベルアップの泉』を訪れたのだ。
「さあ、エステル様も服を脱いでください。速やかにこの泉に入りましょう」
「えっ? ……は、はい……その通りですね」
エステルは渋々、俺が目の前にいるという事を知りながら、防具を外し、服を脱ぎ始めた。エステルはレティシアと違い、種族としては人間だ。流石に人間の異性を目の前にして、羞恥と躊躇いを隠せないようではあったが、レティシアの言葉に根負けしたようだ。
するするする……。エステルもまた、レティシアと同じように、生まれたままの姿になる。
ぶるん……。
巨大なものが揺れた。エステルは相当に立派なものをお持ちのようだった。
「……カ、カゲト様。あまり見ないでください」
「み、見ていないって……見てない」
エステルは顔を真っ赤にした。俺も顔が真っ赤だ。平気なのはエルフであるレティシアくらいのものであった。
「カゲト様も早く服を脱いでください」
「わ、わかってるって」
俺もまた、そそくさと服を脱ぎ始める。こうして俺達は『レベルアップの泉』に入る事になったのだ。
『レベルアップの泉』から経験値(EXP)を直接体内に取り込んだ俺達は急激にLVが上がった。
======================================※パーティーメンバー全体のLVが上がりました。
カゲトLV『20』→『30』
技スキル『挑発』
※デバフ効果 相手のヘイトを引き付け、攻撃力を上げる、反面防御力が下がる
使用SP30
技スキル『ロックブレイカー』
※無属性 敵単体に大ダメージを与える。また、HPが少ない程にダメージが大きく上がる。
使用SP50
エステルLV『32』→『35』
技スキル『刀剣乱舞』
※単体バフ効果 一定時間全体のステータスが大幅に上昇する。
使用SP50
レティシアLV『40』→『42』
レティシアはレベルが5の倍数にならなかった為、特に新しい技は覚えません。
※また、LVUPに伴い、全体のステータスが向上しました。それについては次回の戦闘の前に記載します。
======================================
「よし……LVも上がったな。早速この泉を出ようか」
「は、はい。そうですね。そうしましょう」
こうして、俺達は『レベルアップの泉』を後にした。
次の戦場の舞台となるのはエルフ国ではなかった。
人間の国であるエスティーゼ王国だった。そこで俺達は再び、あの闇勇者ハヤトと刃を交える事になる。
それだけではない。魔王軍の四天王の一角である、アスタロトという女の魔族ともまた、闘う事になるのだ。
熾烈な戦いになる。そんな予感を俺は感じざるを得なかったのだ。
「セシリア様……いかが用でしょうか? ここより先はエルフの国に伝わる泉があるのみです」
国の外れにはエルフ兵がいた。見張り番をしているようだった。やはり貴重な泉であるので、管理がされているようだった。
「ここにいる方々を通して上げて頂きたいのです」
「ですが、ここより先に立ち入るにはエルフ王の許可が……」
「許可なら頂いております。私はエルフ王の命令でここまでこの方々を連れてきたのです」
「そうでしたか……でしたら」
見張り番のエルフ兵が道を譲った。
「私の出番はここまでです。ここより先にエルフの国に伝わる泉があります。皆様、どうかお気をつけて」
そう言って、道案内をしてくれたセシリアがその場を去っていった。
「さあ、行きましょうか……とはいえ、私も入るのは初めての事です」
ここから先はレティシアが先導するようであった。
こうして、俺達はレベルアップの泉へと向かう。
◇
「綺麗です……」
そこにあったのは幻想的な輝きを放つ泉だった。見ただけで不思議な力を宿しているという事に気づく。
「これが『レベルアップの泉』か……確かに、その名の通り普通の泉ではなさそうだな」
俺は何も考えずに、その幻想的な光景を見て、感激に浸っていた。
「……こほん」
エステルがじとーっとした目線を俺に送った後、わざとらしく咳払いをする。
「はっ……」
今更ながらに、俺は気づいた。泉に入るという事は、当然のように服を脱がなければならない。流石に男の俺がこの場にいるのはまずかった。気が利かなかった。
「……すまなかった。気が利かなくて……」
俺は一旦、その場から離れようとする。二人が入った後に、俺だけまた入ればいい。そう思っていたのだ。
――しかし。
するするする。布が擦れるような音がする。
「なっ!?」
レティシアは俺が目の前にいるにも関わらず、平然と服を脱ぎ始めた。そして、その見事なまでの裸体を晒すのだ。美しい。光で透き通ってしまうかのように白い肌を惜しげもなく晒していたのだ。
動揺をしているこちらの気などしれず、レティシアは素知らぬ態度でこちらを見やる。
そして、こう言ったのだ。
「……何か、ありましたか?」
「ど、どうしてレティシア姫は服を脱ぐんだ?」
「何をおっしゃいますか……脱がないまま、泉に入れば服が濡れてしまいます」
何を当たり前の事を言わせるのか、そういった感じのレティシアだった。
「……そ、それは勿論そうだが……」
俺は顔を真っ赤にして視線を反らす。逆に恥ずかしいのはこちらであった。相手の態度が動じていないので、恥ずかしがっているのがまるで馬鹿みたいであった。
「その……俺は言いたいのは恥ずかしいとか、そういう事であってだな」
「恥ずかしい……私がカゲト様に裸を見られて恥ずかしく思わないのか、という、つまりはそういう事ですか?」
「まあ……そうだな。そういう事になるな」
「あまり、考えた事がありません。多種族の異性に裸を見られた経験がないので、恥ずかしいのか。恥ずかしくないのか。そういった事を考えた事がないのかもしれない。カゲト様は猫に裸を見られたからと言って、何か感じるものがあるでしょうか?」
「……別に、何も感じないなぁ」
そう、考えると腑に落ちるものがある。レティシアにとっては俺に裸を見られるのなんて、猫に見られるようなものなのだ。
「けど、やっぱり猫と人間では違うだろ。猫は人畜無害な存在だけど、人間はそうじゃない。危険な存在や、警戒すべき人間だっている」
「私の裸に性的興奮を覚えられるなら、そうかもしれません。カゲト様は覚えられるのですか?」
「そ、そんなわけないだろう!」
全く、その自信がなかったが、それでも俺は精一杯強がって見せる。そこでそれを認めたら、何となく俺の負けなように感じる。
「だったら、別に何も問題がないではないではないですか……それに、私達は無駄な時間を過ごしている暇などないのです。すぐにでもまた、魔王軍が、あの闇勇者とかいう男が攻め入ってくるかもしれません。私達はすぐにでも強くなる必要があるのです。その為に私達はこの『レベルアップの泉』に来たのではありませんか」
「それもその通りだ」
まだ戦時中なのだ。そして、敵である魔王軍は健在である。すぐにでもあの闇勇者ハヤトが襲い掛かってくるかもしれない。弱いままの俺達では、瞬く間にやられてしまう事だろう。いくらあの闇勇者ハヤトでもいつまでも慢心しているとは思えない。今度はもう少し注意深くもなっているはずだ。あいつの力は本物だ。そしてその慢心がなくなったら、油断のならない本物の強敵になる事だろう。
「カゲト様……だったら、今はもう、そんな事を言っている場合ではないではないですか。我々は今、一分一秒一秒を争っている状況なのですから」
「そうだな……その通りだ。俺達は一分一秒を争っている状況なんだ」
俺達はのんびりと温泉旅行に来たわけではないのだ。俺達は純粋に強くなる為。レベルを上げる為に、この『レベルアップの泉』を訪れたのだ。
「さあ、エステル様も服を脱いでください。速やかにこの泉に入りましょう」
「えっ? ……は、はい……その通りですね」
エステルは渋々、俺が目の前にいるという事を知りながら、防具を外し、服を脱ぎ始めた。エステルはレティシアと違い、種族としては人間だ。流石に人間の異性を目の前にして、羞恥と躊躇いを隠せないようではあったが、レティシアの言葉に根負けしたようだ。
するするする……。エステルもまた、レティシアと同じように、生まれたままの姿になる。
ぶるん……。
巨大なものが揺れた。エステルは相当に立派なものをお持ちのようだった。
「……カ、カゲト様。あまり見ないでください」
「み、見ていないって……見てない」
エステルは顔を真っ赤にした。俺も顔が真っ赤だ。平気なのはエルフであるレティシアくらいのものであった。
「カゲト様も早く服を脱いでください」
「わ、わかってるって」
俺もまた、そそくさと服を脱ぎ始める。こうして俺達は『レベルアップの泉』に入る事になったのだ。
『レベルアップの泉』から経験値(EXP)を直接体内に取り込んだ俺達は急激にLVが上がった。
======================================※パーティーメンバー全体のLVが上がりました。
カゲトLV『20』→『30』
技スキル『挑発』
※デバフ効果 相手のヘイトを引き付け、攻撃力を上げる、反面防御力が下がる
使用SP30
技スキル『ロックブレイカー』
※無属性 敵単体に大ダメージを与える。また、HPが少ない程にダメージが大きく上がる。
使用SP50
エステルLV『32』→『35』
技スキル『刀剣乱舞』
※単体バフ効果 一定時間全体のステータスが大幅に上昇する。
使用SP50
レティシアLV『40』→『42』
レティシアはレベルが5の倍数にならなかった為、特に新しい技は覚えません。
※また、LVUPに伴い、全体のステータスが向上しました。それについては次回の戦闘の前に記載します。
======================================
「よし……LVも上がったな。早速この泉を出ようか」
「は、はい。そうですね。そうしましょう」
こうして、俺達は『レベルアップの泉』を後にした。
次の戦場の舞台となるのはエルフ国ではなかった。
人間の国であるエスティーゼ王国だった。そこで俺達は再び、あの闇勇者ハヤトと刃を交える事になる。
それだけではない。魔王軍の四天王の一角である、アスタロトという女の魔族ともまた、闘う事になるのだ。
熾烈な戦いになる。そんな予感を俺は感じざるを得なかったのだ。
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