3 / 5
第3話
しおりを挟む
「はぁ……やっと着いたか」
俺は肩で息をしていた。お金もなかった為、移動は基本的に徒歩だ。休みなく歩き続けたのでそれなり以上に疲れた。
だが、その甲斐あってやっとの事目的地である『ギアナ平原』に到達したのだ。
俺はここでレベリングをする事にした。レベリングをし、スキルポイント(SP)を獲得する。そして、そのSPで魔法スキルを獲得するつもりなのだ。
やはり賢者の華は魔法だ。魔法を覚えていなければ賢者たりえない。今の俺では賢者失格だった。今の俺は賢者とは言えない。賢者もどきだ。
俺は物陰に隠れ、ターゲットを探す。目的のモンスターは一つだけだ。それ以外のモンスターだったら、今の俺では倒せない事だろう。
俺は必死に耐えた。待つより他にない。俺は機会を伺った。
「いた……あれだ」
ぴょん、ぴょん、ぴょん。
俺の目の前を一匹の兎が通過する。兎の名は『ラッキーラビッド』。このギアナ平原に生息している兎型のモンスターだ。
出現率こそ低いが、HPが低く倒しやすい。LV1の俺でも倒せるモンスターだ。その上に、取得できる金(ゴールド)と経験値(EXP)の割が良い。
ただ、注意しなければならない。HPや防御力こそ低いものの、敏捷性自体は高いのだ。LV1の俺の敏捷性では、逃げられたらアウトだ。決して追いつく事はできない事だろう。
チャンスは一度しかない。所持金もない、着のみ着のままで追い出されたんだ。当然のように装備を整えているような余裕などない。
俺は近くにあった手ごろな石を両手で持ちあげた。
ラッキーラビッドが向こう側を向いた瞬間を俺は狙った。完全に、俺の事が死角になっているのだ。
「はあああああああああああああああああああああ!」
俺は物陰から跳んだ。まだ気づいていない。勝った! 俺は歓喜する。
ゴン!
キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
俺の一撃はラッキーラビッドに炸裂した。ラッキーラビッドは絶命する。
「やった! 倒したぞっ!」
俺は歓喜した。このゲーム世界。〈アルティメット・オンライン〉の世界に転移してから。賢者として二度目のプレイとしては初めて倒したモンスターだからだ。
幾度となくモンスターを倒してきたはずなのに、妙な新鮮味を俺は感じていた。
『経験値(EXP)を100取得しました。LVがUPしました』『取得ゴールドを100G入手しました』
機械的な音声が聞こえてくる。システムの音声だ。
「よし……レベルがあがったな。おまけにG(ゴールド)も手に入れたみたいだ」
俺はステータスウィンドウを開き、ステータスを確認する。
【アーサー】
職業:賢者
Lv :10
HP :100/100
MP :100/100
攻撃力:30
防御力:30
魔法力:50
素早さ:30
【魔法】
【スキル】
成長性鈍化※取得経験値に対するレベルアップ効率が低下する
ドロップ率減少※モンスターを倒した場合のアイテムドロップ率が減少する
取得金(ゴールド)減少※モンスターを倒した場合に取得できる資金が減少する
【所持金】
100G
ラッキーラビッドの経験値効率も資金稼ぎ効率は破格だった。それは俺のネガティブスキルを補って余りある程のものだ。
恐らくは本来だったら経験値(EXP)は150。G(ゴールド)も150程稼げていた事だろう。
だが、十分だ。これだけの経験値とGが稼げたら、大分戦略の幅は広がる。
『レベルアップに従い、スキルポイント(SP)を100獲得しました』
またもや、機械的な音声が聞こえてくる。
よし。これで俺は魔法スキルを習得する事ができる。やはり、賢者は魔法を覚えてこそだ。
俺はスキルウィンドウを開いた。SPを支払う事で習得できる、様々なスキルが並んでいる。俺はそこから、魔法スキルを選んで習得するつもりだ。
初級魔法がSP20か……ちょうど、5個の魔法を覚える事ができるな。
俺はそう思考した。悩んだ末に、5個の初級魔法を習得する。
『ファイアボール』※炎系の初級魔法。炎の弾を飛ばす攻撃。消費MP10。
『フロストアロー』※氷系の初級魔法。氷の矢を放つ攻撃。消費MP10。
『ライトニング』※雷系の初級魔法。雷を放つ。消費MP10。
『オフェンスバフ』※自己強化魔法。攻撃力が上がる。効果単体。消費MP10。
『ヒーリング』※初級回復魔法。回復魔法。HPを小回復する。効果単体。消費MP10。
以上の5つの魔法を俺は習得した。その為、残存SPは『0』になった。
すっからんだ。だがいい。SPはLVがあがるごとに習得できる、ポイントだ。今まではLVに上限があったから、習得しきれない魔法やスキルもあった。だが、今の俺にはLVの上限がない。LVを極限まで上げて、全ての魔法やスキルを覚える事すら可能だ。
「……さて、どうするか。魔法の試し打ちでもしてみたいところだけど」
俺は頭を悩ませていた。
――と、その時であった。
甲高い、剣の音が聞こえてきたのである。
「なんだ? ……この音は」
目に入ったのは、獰猛そうな一匹の巨大な狼と、そのモンスターと対峙している、一人の女の子の姿であった。
「……何をやってるんだ、あんなモンスターと一人で闘うなんて」
放っておけるわけもない。俺は急いで駆け付けるのであった。
俺は肩で息をしていた。お金もなかった為、移動は基本的に徒歩だ。休みなく歩き続けたのでそれなり以上に疲れた。
だが、その甲斐あってやっとの事目的地である『ギアナ平原』に到達したのだ。
俺はここでレベリングをする事にした。レベリングをし、スキルポイント(SP)を獲得する。そして、そのSPで魔法スキルを獲得するつもりなのだ。
やはり賢者の華は魔法だ。魔法を覚えていなければ賢者たりえない。今の俺では賢者失格だった。今の俺は賢者とは言えない。賢者もどきだ。
俺は物陰に隠れ、ターゲットを探す。目的のモンスターは一つだけだ。それ以外のモンスターだったら、今の俺では倒せない事だろう。
俺は必死に耐えた。待つより他にない。俺は機会を伺った。
「いた……あれだ」
ぴょん、ぴょん、ぴょん。
俺の目の前を一匹の兎が通過する。兎の名は『ラッキーラビッド』。このギアナ平原に生息している兎型のモンスターだ。
出現率こそ低いが、HPが低く倒しやすい。LV1の俺でも倒せるモンスターだ。その上に、取得できる金(ゴールド)と経験値(EXP)の割が良い。
ただ、注意しなければならない。HPや防御力こそ低いものの、敏捷性自体は高いのだ。LV1の俺の敏捷性では、逃げられたらアウトだ。決して追いつく事はできない事だろう。
チャンスは一度しかない。所持金もない、着のみ着のままで追い出されたんだ。当然のように装備を整えているような余裕などない。
俺は近くにあった手ごろな石を両手で持ちあげた。
ラッキーラビッドが向こう側を向いた瞬間を俺は狙った。完全に、俺の事が死角になっているのだ。
「はあああああああああああああああああああああ!」
俺は物陰から跳んだ。まだ気づいていない。勝った! 俺は歓喜する。
ゴン!
キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
俺の一撃はラッキーラビッドに炸裂した。ラッキーラビッドは絶命する。
「やった! 倒したぞっ!」
俺は歓喜した。このゲーム世界。〈アルティメット・オンライン〉の世界に転移してから。賢者として二度目のプレイとしては初めて倒したモンスターだからだ。
幾度となくモンスターを倒してきたはずなのに、妙な新鮮味を俺は感じていた。
『経験値(EXP)を100取得しました。LVがUPしました』『取得ゴールドを100G入手しました』
機械的な音声が聞こえてくる。システムの音声だ。
「よし……レベルがあがったな。おまけにG(ゴールド)も手に入れたみたいだ」
俺はステータスウィンドウを開き、ステータスを確認する。
【アーサー】
職業:賢者
Lv :10
HP :100/100
MP :100/100
攻撃力:30
防御力:30
魔法力:50
素早さ:30
【魔法】
【スキル】
成長性鈍化※取得経験値に対するレベルアップ効率が低下する
ドロップ率減少※モンスターを倒した場合のアイテムドロップ率が減少する
取得金(ゴールド)減少※モンスターを倒した場合に取得できる資金が減少する
【所持金】
100G
ラッキーラビッドの経験値効率も資金稼ぎ効率は破格だった。それは俺のネガティブスキルを補って余りある程のものだ。
恐らくは本来だったら経験値(EXP)は150。G(ゴールド)も150程稼げていた事だろう。
だが、十分だ。これだけの経験値とGが稼げたら、大分戦略の幅は広がる。
『レベルアップに従い、スキルポイント(SP)を100獲得しました』
またもや、機械的な音声が聞こえてくる。
よし。これで俺は魔法スキルを習得する事ができる。やはり、賢者は魔法を覚えてこそだ。
俺はスキルウィンドウを開いた。SPを支払う事で習得できる、様々なスキルが並んでいる。俺はそこから、魔法スキルを選んで習得するつもりだ。
初級魔法がSP20か……ちょうど、5個の魔法を覚える事ができるな。
俺はそう思考した。悩んだ末に、5個の初級魔法を習得する。
『ファイアボール』※炎系の初級魔法。炎の弾を飛ばす攻撃。消費MP10。
『フロストアロー』※氷系の初級魔法。氷の矢を放つ攻撃。消費MP10。
『ライトニング』※雷系の初級魔法。雷を放つ。消費MP10。
『オフェンスバフ』※自己強化魔法。攻撃力が上がる。効果単体。消費MP10。
『ヒーリング』※初級回復魔法。回復魔法。HPを小回復する。効果単体。消費MP10。
以上の5つの魔法を俺は習得した。その為、残存SPは『0』になった。
すっからんだ。だがいい。SPはLVがあがるごとに習得できる、ポイントだ。今まではLVに上限があったから、習得しきれない魔法やスキルもあった。だが、今の俺にはLVの上限がない。LVを極限まで上げて、全ての魔法やスキルを覚える事すら可能だ。
「……さて、どうするか。魔法の試し打ちでもしてみたいところだけど」
俺は頭を悩ませていた。
――と、その時であった。
甲高い、剣の音が聞こえてきたのである。
「なんだ? ……この音は」
目に入ったのは、獰猛そうな一匹の巨大な狼と、そのモンスターと対峙している、一人の女の子の姿であった。
「……何をやってるんだ、あんなモンスターと一人で闘うなんて」
放っておけるわけもない。俺は急いで駆け付けるのであった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる