レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。

つくも/九十九弐式

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第66話 決勝戦銀髪剣士レイ

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 パン! パン! パン!

 やはり決勝戦は特別なようだった。大空に花火が打ち上げられる。剣神武闘会を盛り上げる演出である。

『さあ! 長かったような、短かったような、どちらかはわかりませんが二日間に渡って行われた剣神武闘会もつい大詰め、いよいよ決勝戦の時がやって参りました!』

 実況(アナウンス)が響く。

『決勝に残ったのはこの両名です! まず一人目はユグドラシル家の兄弟対決を制したソル選手です! 準決勝では弟のエドワード選手が凄まじい剣技を見せましたが、ソル選手は完璧にその剣を捌き切りました! 決勝ではどのような闘いを見せるでしょうか! 要注目です!』

 ソルが登場する。
 
 おおおおおおおおおおおお! と地響きのするような唸り声が響き渡る。

『もう『レベル0』なんて呼ばせない! 優勝は俺の物だ! ソル選手の登場です!』

「ソル! ここまで来たら優勝しちまえ!」

「ああ! 『レべル0』なんて呼び名は関係ねぇ! 俺達はお前の闘いを何戦も見てきたからな! お前の実力は本物だ! 自信を持って闘えよ!」

 ソルが登場すると怒号のような歓声が響き渡ってくる。もはやソルを馬鹿にする声どころか、純粋に応援するような声もあった。誰もが『レべル0』と呼ばれ蔑まれた少年の成り上がり物語(ストーリー)を望んでいる。

 そしてそれと対峙するのは謎の銀髪少年。全てが謎に包まれている、ミステリアスな少年という組み合わせに、準決勝の時と同じように、劇的なものを感じ、観客達は大いに盛り上がっていた。

『そしてソル選手と対決しますはレイ選手! レイ選手は全てが謎に包まれた謎の剣士です! 一体正体は何者なんでしょうか! しかし、その実力は本物です! 今までの対戦者はなすすべもなく、レイ選手の前に敗れ去っています! このまま優勝へと駆け上がってしまうのか! それとも初めての敗北を喫するのか!』

「……ふっ。くだらない。こんな戯事。すぐに終わらせてあげるよ」

 レイは剣を抜く。黒い魔剣のような剣だった。魔力のような力を感じる。やはり、この男は只者ではなかった。雰囲気を感じた。そしてどす黒い、邪気のようなものも感じていた。

 ソルは未だかつてないくらい、相手を警戒して事にかかる。

「一体……何者なんだ。君は」

 ソルは相手から発せられる気に違和感を感じていた。ダンジョン『ゲヘナ』での生死をかけた生活の中で、ソルは独自の感覚を培っていった。それは野生の勘のようなものだ。第六感のようなものをソルは得るようになったのである。

「ん? 僕の事がどうかしたか?」

「君の気は普通じゃない。普通の人間ではそんな気は放たない。君は何者なんだ?」

「ふふっ……そうか。僕がどこか、おかしいと思うか。僕に勝てたら僕の正体を教えてあげるよ」

 レイは微笑を浮かべた。やはり普通の人間ではないようだった。バハムートが言っていた綻びとは。世界を危険な状態にする因子とは、彼の事なのかもしれない。

 ――だが、ともかく、今は剣を交えるより他にない。今、ここにいる場は剣神武闘会の決勝戦に他ならないのだから。もはや言葉など必要ない。剣で語る以外にない。

『両者、ステージ上で視線で激しい火花を散らしています。両者、準備は整ったようです! それではこれより剣神武闘会の決勝戦を行うます!』

 パン! と大きな花火が天空で散った。

『ゴン!』そしてゴングとなる鐘が鳴らされる。

『試合開始です!』

「さてと……それじゃ、ソル君だったか」

 レイが剣を構える。

「君が僕の遊び相手として相応しいか、試させて貰うよ」
 
 レイが斬りかかってくる。その剣速、踏み込みはエドのものよりも速い。エドが本気になった時よりも速いかとも思う程だ。少なくとも人間の動体視力で追える速度は超えていた。目にも止まらぬ速さとはこの事だ。

 ――だが、ソルはその攻撃にも反応できた。

 キィン! 甲高い剣の音が闘技場(コロシアム)に響き渡る。

「へぇ……」

 防がれても尚、レイは余裕の笑みを浮かべていた。驚きはないようであった。その前の試合を見ていたのだから当然であろうか。

「やっぱり……君は人理を逸しているね。とても興味深いよ。どこでそこまでの強さを身に着けたんだい? それに危険でもある。君は危険な存在だよ。僕達の邪魔になりうる存在」

「僕達? ……」
 
 何を言っているんだこいつは? ソルは考えていた。やはり別の国のスパイか何かか? このフレースヴェルグに敵対する存在なのだろうか。

 いや、国という単位ではないかもしれない。人類種自体に敵対する存在。他種族の存在かもしれない。バハムートのように人間を模す事ができる種族もいる。そもそも見た目が人類種と殆ど変わらない種族もいる。

 その類かもしれない。ソルはあらゆる可能性を洞察し、考慮していた。

「ソル・ユグドラシル! 危険因子の君は今すぐ、ここで僕が排除する! 遊びは終わりだ! ここからは本気で行かせてもらうよ!」

 今まで本気でなかったというのか。驚きであった。レイの剣速はまだまだ上昇を見せた。

『物凄い剣の応酬です! 決勝戦に相応しいハイレベルな闘い!』

「すげぇ……速すぎて剣の動きが見えないぜ」

「お、俺もだ……目で追うのがやっと……いや、目で追う事すらできねぇかも』

 二人の闘いはさらに速度を増していく。闘技場ステージに無数の火花が散る。


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