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矢田健司③凹む男、喜ぶ乙女、腹立たしい男
第4話天音プレゼンツ!昼食
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スーパーノヴァ2。話としては前作スーパーノヴァとは別視点の話となっていた。
前作スーパーノヴァでは寿命を迎えようとしている太陽の恒星大爆発、スーパーノヴァを食い止めようとする主人公と地球から離れて遠くの星へと移住しようとする者達との衝突と人々の葛藤を描いたものだった。
今回のスーパーノヴァ2では、スーパーノヴァの事を知らない人間達がどのような行動をとったのかを様々な視点から追った様な作品であった。
前情報無しに見たが、僕としては前作より専門用語が少なく、知識のない人でも見やすいように配慮がされているし、民間人視点であるため登場人物の感情もわかりやすい。実際そうなったら自分はどう行動するだろうと考えられる面白いSF映画だと感じた。
天音さんは黙って真剣に映画を観ていたが、山吹は開始30分のところでトイレに行き、トイレから帰ってきたかと思ったら速攻で寝やがった!
そのくせして自分の分のポップコーンとコーラは完食しているというのだから余計に腹立たしい!
映画館を出ると僕は伸びをして、外の明るさに目を慣らした。
「前作観てませんけど十分楽しめました」
「ふぁ~あ。うむ、随分といい心地だ。素晴らしく寝心地が良かった」
「お前チケット買わずに外で待ってりゃ良かっただろ」
「何を言う。映画を観はしたぞ!」
「30分観たくらいじゃ映画観た内にはいらないんだよ!」
「屁理屈を言うなよ、矢田氏。一秒でも観ればそれは映画を観たと言えるのだよ」
「うるせぇ!屁理屈はお前の発言の方だ!」
まったく腹の立つ!
本当になんで僕はこんな奴と一緒にいるんだ?自分で自分がわからなくなってくる。
「まぁまぁ、お二人さんその辺にしてくださいな」
天音さんが喋り出すと僕たちも言い合いをやめて、天音さんに注目する。……やっぱり天音さんには小悪魔的な魅力がある様に思う。話し方や仕草で男性の注意を引いたりするのがやけに上手い。自然にやっているのだとしたら相当恐ろしいのだが……。
「お腹空きませんか?お昼にしましょう」
「いいけど、僕はそんなに空いてないな。ポップコーン食べてたから」
「私は問題ない」
「そうですか、それじゃあこの下のフードコートで食べたいもの食べるってことにします?それなら自分の食べたい分だけ食べられるでしょう?」
「そうだな、そうしよう」
下の階へエスカレーターで降りて、左に真っ直ぐ進むとフードコートが見えてくる。
フードコートにあるのはハンバーガーチェーン店やうどん、焼きそば、ラーメン、あとたこ焼き。
映画終わりでちょうどお昼時ということもあって殆どの席が埋まっている。
「やっぱり多いな」
「仕方がないですよ。とりあえず誰か席確保しないとですね」
「なら僕がやろう。あんまりお腹空いてないわけだし買いに行くのは最後でもいい」
「それじゃあ矢田さんお願いしますね。じゃあ私買ってきます」
「では私も買いに行くとしよう。ちゃんと見つけておくのだぞ矢田氏よ」
山吹は無視して僕は席を探し始めた。
こういう人が多い時は店から離れた場所が空いていることが多い。逆に近いところはそんなに空いていない。
僕は明らかに店から遠い場所へと向かった。
かなり人は多いが、やはりちらほら空席がある。
僕が見つけた場所は店から離れた四人座れる席だった。
ちょうど良く三人座れる様な席はないので仕方がない。天音さんはバックを持っているから置く場所も必要だろうから四人席でも問題ない。うん、問題ない。
「なんだ矢田氏、随分と遅かったではないか」
「……ぶっ!」
何故か僕の見つけた席に山吹が座っている!意味がわからず僕は完全に面食らってしまった。
「はっはっは!君の行動はすぐに把握できるのだよ」
机の下から出したのはハンバーガーショップで買ってきたであろうハンバーガーとポテト、ドリンクの乗ったトレイだった。
「はっや……」
「当然だ。はっはっは」
くそ、なんだかすごいムカつく。ここを探すのにかかった時間なんてほんの5分くらいだぞ?だいぶ人が並んでいるはずだから、普通もっと時間がかかるはずだ!どんなセコイ技を使ったというのだこのひねくれ者は!
「ふふふふふふ!私ほどになるとこれくらい造作もないのだよ」
「無理やり割り込んだとかか?」
「そんなことはしない。人が並んでいないタイミングを見計らって行ったのだよ。そして注文したものも作るのに時間がかからないものばかりにしたのだよ。店員の手際にもよるが、5分あれば充分なのだよ」
そう言って高らかに笑っているのがよくわからない敗北感を感じて余計腹がたつ!
「あれ?早いですね山吹さん」
天音さんは担々麺にした様だ。辛いのが好きなのだろうか?
「まあ私程になれば……な?」
「飯買ってくる!」
僕は一直線にたこ焼き屋まで行き、六個入りたこ焼きを買うと、そそくさと席について無言で食べ始めた。
「あらあら、よっぽど腹立つことがあったんですね。矢田さん」
「ああ!コンクール落ちたショックなんて吹っ飛んで今は苛立ちしかないな!」
「はて、誰のせいだ?」
山吹がとぼけた様に俺を言った。
プチっと心の中の何かが切れた様な音がした。いや、堪忍袋の尾が切れたのか。
「お前だよ!!」
多分、僕人生の中で史上初の怒りの声だっただろう。なんせ空間が静まり返ったのだから。
衝動的に立ってしまった僕は冷静になって座り直してたこ焼きをすぐさま食べ終えて、「トイレに行ってくる」と言ってその場を離れた。
あんまりにも恥ずかしかったのだ。
前作スーパーノヴァでは寿命を迎えようとしている太陽の恒星大爆発、スーパーノヴァを食い止めようとする主人公と地球から離れて遠くの星へと移住しようとする者達との衝突と人々の葛藤を描いたものだった。
今回のスーパーノヴァ2では、スーパーノヴァの事を知らない人間達がどのような行動をとったのかを様々な視点から追った様な作品であった。
前情報無しに見たが、僕としては前作より専門用語が少なく、知識のない人でも見やすいように配慮がされているし、民間人視点であるため登場人物の感情もわかりやすい。実際そうなったら自分はどう行動するだろうと考えられる面白いSF映画だと感じた。
天音さんは黙って真剣に映画を観ていたが、山吹は開始30分のところでトイレに行き、トイレから帰ってきたかと思ったら速攻で寝やがった!
そのくせして自分の分のポップコーンとコーラは完食しているというのだから余計に腹立たしい!
映画館を出ると僕は伸びをして、外の明るさに目を慣らした。
「前作観てませんけど十分楽しめました」
「ふぁ~あ。うむ、随分といい心地だ。素晴らしく寝心地が良かった」
「お前チケット買わずに外で待ってりゃ良かっただろ」
「何を言う。映画を観はしたぞ!」
「30分観たくらいじゃ映画観た内にはいらないんだよ!」
「屁理屈を言うなよ、矢田氏。一秒でも観ればそれは映画を観たと言えるのだよ」
「うるせぇ!屁理屈はお前の発言の方だ!」
まったく腹の立つ!
本当になんで僕はこんな奴と一緒にいるんだ?自分で自分がわからなくなってくる。
「まぁまぁ、お二人さんその辺にしてくださいな」
天音さんが喋り出すと僕たちも言い合いをやめて、天音さんに注目する。……やっぱり天音さんには小悪魔的な魅力がある様に思う。話し方や仕草で男性の注意を引いたりするのがやけに上手い。自然にやっているのだとしたら相当恐ろしいのだが……。
「お腹空きませんか?お昼にしましょう」
「いいけど、僕はそんなに空いてないな。ポップコーン食べてたから」
「私は問題ない」
「そうですか、それじゃあこの下のフードコートで食べたいもの食べるってことにします?それなら自分の食べたい分だけ食べられるでしょう?」
「そうだな、そうしよう」
下の階へエスカレーターで降りて、左に真っ直ぐ進むとフードコートが見えてくる。
フードコートにあるのはハンバーガーチェーン店やうどん、焼きそば、ラーメン、あとたこ焼き。
映画終わりでちょうどお昼時ということもあって殆どの席が埋まっている。
「やっぱり多いな」
「仕方がないですよ。とりあえず誰か席確保しないとですね」
「なら僕がやろう。あんまりお腹空いてないわけだし買いに行くのは最後でもいい」
「それじゃあ矢田さんお願いしますね。じゃあ私買ってきます」
「では私も買いに行くとしよう。ちゃんと見つけておくのだぞ矢田氏よ」
山吹は無視して僕は席を探し始めた。
こういう人が多い時は店から離れた場所が空いていることが多い。逆に近いところはそんなに空いていない。
僕は明らかに店から遠い場所へと向かった。
かなり人は多いが、やはりちらほら空席がある。
僕が見つけた場所は店から離れた四人座れる席だった。
ちょうど良く三人座れる様な席はないので仕方がない。天音さんはバックを持っているから置く場所も必要だろうから四人席でも問題ない。うん、問題ない。
「なんだ矢田氏、随分と遅かったではないか」
「……ぶっ!」
何故か僕の見つけた席に山吹が座っている!意味がわからず僕は完全に面食らってしまった。
「はっはっは!君の行動はすぐに把握できるのだよ」
机の下から出したのはハンバーガーショップで買ってきたであろうハンバーガーとポテト、ドリンクの乗ったトレイだった。
「はっや……」
「当然だ。はっはっは」
くそ、なんだかすごいムカつく。ここを探すのにかかった時間なんてほんの5分くらいだぞ?だいぶ人が並んでいるはずだから、普通もっと時間がかかるはずだ!どんなセコイ技を使ったというのだこのひねくれ者は!
「ふふふふふふ!私ほどになるとこれくらい造作もないのだよ」
「無理やり割り込んだとかか?」
「そんなことはしない。人が並んでいないタイミングを見計らって行ったのだよ。そして注文したものも作るのに時間がかからないものばかりにしたのだよ。店員の手際にもよるが、5分あれば充分なのだよ」
そう言って高らかに笑っているのがよくわからない敗北感を感じて余計腹がたつ!
「あれ?早いですね山吹さん」
天音さんは担々麺にした様だ。辛いのが好きなのだろうか?
「まあ私程になれば……な?」
「飯買ってくる!」
僕は一直線にたこ焼き屋まで行き、六個入りたこ焼きを買うと、そそくさと席について無言で食べ始めた。
「あらあら、よっぽど腹立つことがあったんですね。矢田さん」
「ああ!コンクール落ちたショックなんて吹っ飛んで今は苛立ちしかないな!」
「はて、誰のせいだ?」
山吹がとぼけた様に俺を言った。
プチっと心の中の何かが切れた様な音がした。いや、堪忍袋の尾が切れたのか。
「お前だよ!!」
多分、僕人生の中で史上初の怒りの声だっただろう。なんせ空間が静まり返ったのだから。
衝動的に立ってしまった僕は冷静になって座り直してたこ焼きをすぐさま食べ終えて、「トイレに行ってくる」と言ってその場を離れた。
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