私の理想の天使様

ROSE

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フェイ 2

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 フェイは昔から大抵のことは楽々とこなしてしまえた。
 いや、楽々とは言えない。フェイ自身は努力をしてきた。しかし、人から見ればなんでも出来る人になってしまった。
 特に苦手なことは無いが、特に得意な事もないのだ。
 大体分かったで大抵のことは終ってしまう。それでも大体は大体でしかない。所謂器用貧乏というやつだ。他人から見れば涼しい顔でなんでもこなしてしまうということになるが、これと言った誰にも負けない一点集中の特技というものがない。
 好きなことは強いて言えば、着飾ることと、美しい剣技を極めること。あとは、昔なじみの友人と集まることが好きだ。
 フェイは周りの人が笑ってくれるのが好きだ。その笑顔のきっかけがフェイ自身ならそれ以上に嬉しいことなど無い。
 フェイは自分が好き過ぎるし、自分の正しいと思っていることを曲げてまで誰かに合わせる必要はないとも思っている。けれども、友達は大事だ。

「あれ……また上手くなった?」
 ジョージィが驚いた顔をする。直線縫いはずれずに真っ直ぐ、曲線だって速度を変えずに縫えるようになった。
「えへっ、実はあれから俺もミシン買ってさ、時間あるときちょこちょこと練習してるんだよねー。まぁ、一から作ったりはしないけどさ、こないだフリルシャツ一枚作ったっけ。でも、やっぱ、ジョージィに作ってもらうやつの方が好きなんだよね。まぁ、作るのは楽しいけど」
 どうも繊細な刺繍は出来ないからフリルで誤魔化してしまった。けれども、意外と着る機会がない。
 作ること自体は楽しいけれど、当然専門の職人であるジョージィが作ったものと比べれば劣ってしまう。
「なんでまた……貴族の君がミシンの練習なんて……」
 驚きと呆れの混ざった表情のジョージィは、それでも少し嬉しそうだ。
「そりゃあねぇ、可愛いローラに会いたい一心で、ジョージィに弟子入りしようかなとか思ったからね。けど、流石にそこまでは暇じゃなくて……一昨年なんて、滅多に出ない盗賊多発とかさ、ああ、畑荒らしもあったな。比較的治安がよかったんだけど、ここ数年、移民が多くてさ……まだ、言葉が通じるヤツはいいけど、言葉が通じないヤツはちょっと国境まで返品しようかなって思ってるとこ」
 思い出してフェイは頭を抱える。
 フェイの知る限りではフェイの領地は国で一番治安がいいだろう。しかし、ここ数年でなぜか移民が増えてしまったのだ。恐らくはテルプロミーズがとても安定したからだろう。レオナルドは王としてかなり有能だ。きっと賢王として歴史に名を刻むに違いない。少なくとも友人という視点を抜いてもそう感じさせてくれるような王だ。
「移民って言うよりはさ、多分、不法入国なんだろうなぁ……領民が自警団を結成したり結構色々やってくれてるけど、流石に冬場はねぇ。そうそう、今回来たのもさ、レオに軍を借りれないかの相談もあるんだよね」
 これが国宝級の剣や絵画ならあっさり貸してくれるけれど、軍となると話は変わってきそうだ。レオナルドとは親しいし、彼はあまり物に対する執着はない。だから美術品なんかは簡単に貸してくれる。けれども、人員となると話は違う。普段では考えられないほど慎重になるだろう。特に軍となれば彼ひとりで判断できることでもないだろう。
「……それで? 治安悪化してるくせにうちのローラをつれて帰ろうなんて考えたわけ?」
 ジョージィは明らかに怒っている。彼は国の危機よりも娘と妻の安全の方が大切だ。
「いやぁ、ローラがあんまり美人になってたもので……領地のことなんてすっかり忘れ……てはいなかったけど、ローラ一人くらいなら護りきれる自信はあるからね」
 剣の腕には自信があるし、屋敷の警備も万全だ。
「フェイ、そろそろ年齢を考えろ。俺だって有事の時はいつでもレオナルドの為に命を差し出すけど、流石に、そろそろ年齢を感じるというか……日に日に昔のキレが失われていくのを感じる」
「えー、ジョージィ今でも俺が憧れるくらいいいカラダしてるでしょ。この筋肉美とか」
「……いやぁ、このところ、見た目重視の鍛え方だったからね。ついでにマリーの評判は悪いんだ。あんまり、筋肉質すぎるのも好みじゃないってさ」
 ジョージィは言うけれど、結局マリーはどんなジョージィだって好きなんだ。
 そりゃあマリーはめちゃくちゃ怖いけど、ジョージィを心底愛しているし、一人娘のローラが可愛いに決まっている。ちょっと厳しすぎる気がするけど。
「ってか、フェイ、暇なの?」
「俺はわりと暇かな。大体警備のこととかはハンニバルに任せてるしね。まぁ、重大な決断は、一応俺がすることになってるけど、俺だって全部が全部完璧なわけじゃないから、いくつかの意見を聞いて、総合的に判断する、みたいなのが俺の今の仕事」
 領地に居ると息が詰まるから休暇を貰ってきたと言うことは伏せておく。
 他人の目ばかり気にする繊細な性格ではないとは思っていたが、傷つき時はやっぱり傷ついてしまうものだ。
「……ほんっと、真面目だなぁ。執事に丸投げしちゃえばいいじゃん」
「俺は領民が納めてくれる税で生活してるから、それはダメだって。けどまぁ、ここ半年くらい大分平和だったから、俺もかなり暇でさ。領主なんて慣れてきたら殆どやること変んないんだって。おかげで薬師の国際試験合格しちゃったよ」
「へ?」
 ジョージィは目を見開く。
「ちょっと前にクリーヒプランツェの国王に会う機会があってさ、俺が暗記得意な話したら挑戦してみろって言うんで暫く勉強してみたのよ。そしたら、結構あっさり受かった」
 なんとかって新薬に関する講演だったろうか。とても穏やかな人で、学ぶ意思のある人は、身分問わず彼との会話が許される他では考えられないような講演だった。
「……なにそれ。あれって、合格率一割未満って聞いたんだけど? ってか、それって……フェイ、薬屋さんにでもなるの?」
「あ、それいい。ちょっと事業拡大してみるか。って、そしたら俺遊べなくなるじゃん……俺は、ローラと結婚しても、二人でデートとか楽しみたいし、あ、一緒に小さな畑作るのもいいな。自分ちで取れた野菜とか使ってさ、一緒に料理したり……」
 エプロン姿で、畑にしゃがむローラを想像して、思わずにやけてしまう。絶対いい。
「あー、フェイ、ローラは虫が苦手だから、多分畑には近付かないと思うよ」
「へ?」
「前にカメムシが大量発生してから虫が一切ダメになっちゃったんだ。密集して蠢くものが怖いんだってさ」
 だからちっちゃい虫もだめだと彼は言う。
 幼い彼女が木の実を集めていた姿を思い出し、少し寂しく思う。もう、あの愛らしい姿を見ることは出来ないのだろうか。
 それでも、今のローラも愛おしい。
 真っ直ぐ純真な瞳で、フェイを天使様と呼んでくれるあの愛らしい声に完全に心を奪われてしまった。
「それでもいい。俺、ローラを嫁さんに欲しい」
「……ローラが頷いたらね。あの子、あれで結構頑固だから」
「うん。ジョージィそっくりだね。そういや鼻筋がジョージィによく似てるし、やっぱり笑うと似てるなとは思うな。けど、目元はマリー似だね。ローラの方が大人しそうな目をしているけど。瞳の色はジョージィ似かな」
 ローラは両親によく似ているとフェイは思う。
「……俺に似た娘を嫁にしたいってこと?」
 その言葉に、思わず花嫁姿のジョージィが浮かんでしまった。
「へ? いやいやいやいや、そういうのじゃなくて……まぁ……すんごい似てるってのは複雑だけど……ローラは可愛いし……俺に怯えないでくれるし……なにより、天使様って……あれ、いいな。いや、出来れば名前で呼んで欲しいんだけど……でも……天使様って……照れるなぁ……」
 決して親友と似た娘を嫁に欲しいわけではない。ローラが欲しいのだ。
 ローラの可愛らしい唇が、天使様と呼んでくれるたびに、フェイは舞い上がってしまいそうになる。
 特に、彼女の瞳と声が好きだ。少しおどおどとして、自信が無さそうだけれど、それでも懸命に相手のことを考えて接している。そこもまた好感が持てる。
 ローラはとても相手に気を使っているけれど、だからと言って嘘は口にしない。
 少し過ごしただけでわかる。凄く、いい子だ。
「俺はさ、別にフェイだったら心配ないとは思ってるけど、でも、やっぱり、歳が離れすぎかなとは思うよ。フェイが先にくたばったらローラはどうなるんだろうって心配はあるな」
 ジョージィはいつもからは考えられないほど静かな声で、真面目な様子で言う。
「え? えーっと、それは……ローラには一生苦労させないだけの貯えは残すつもりだけど……やっぱ俺が先に死ぬ、よな。普通……」
 年齢のことを考えると辛い。十八も離れているのだ。
「まだ、二十歳かぁ……俺、二十歳の頃なにやってたっけ。ああ、レオと飲み歩いてたな。あと、やっぱ暇すぎて弁護士の国家試験受けたんだっけ」
 余裕で受かったけどお前にだけは弁護士など任せたくないとレオナルドに拒絶された。暇すぎるとなにかと資格を取りたがるのは今も変わっていないのかもしれない。
「あれ? 絵画の展覧会に出展してなかったっけ?」
「あー、やってたかも。ああ、宮廷音楽家の試験も受けたっけ。専門が決まらなくてやめたんだけど。俺さ、ほんっと、向いてることがわかんなくてさ……迷走しっぱなし。未だに俺に何が向いているのかわかんないし」
 なんでもそこそこそれなりにできてしまうから、なにか一つを極められる人間を尊敬している。彼らは迷わず真っ直ぐ一つに向き合っている。フェイにはできないことだ。
「フェイはなんでもそこそこ出来ちゃうからね。んで? 今の趣味は?」
「ローラへの贈り物を考えることかな。もう、ローラのことしか考えらんない」
 そうだ、今日だってローラの為にサンドウィッチを作ってきたのに、ローラにバスケットを手渡す前にマリーに没収されてしまった。
 ソースだって手製だったのに。
 フェイは溜息を吐く。
「せめて一口だけでもローラの口に入ってくれるといいのだけど……」
「あー、フェイ、料理好きだったよね」
「うん。そこそこ上手い自信もあるし、それに料理できる俺もカッコイイ」
「うん、そこ。最後いらない。ローラは、あんまりぐいぐい寄られると怖がっちゃうよ」
 フェイとしてはそこが不思議だ。マリーとジョージィの娘なのに、ローラは随分と気が小さいというか、遠慮しがちに見える。
 本当は凄く、よく笑う可愛い子のはずなのに、随分弱っている。
「ねぇ、ジョージィ、ローラ、学校でなにかあった?」
「え?」
 ジョージィは驚いた顔をする。
「いや、昔会った時はもっと活発な子だったと思ったけど、随分大人しくなったなって」
「あー……そう、だね。同世代の子とあんまり上手くいかなかったみたいでね。一人で本を読んでる子だったよ。ちょっと浮いちゃってね」
 ジョージィは苦笑する。
「成績は良かったんだ。ただね、マリーが……一人娘が可愛すぎて期待しすぎちゃったところもあってね、少し厳しくしすぎたんじゃないかとは思うよ」
 そういえば、歴史の成績がクラスで一番良かったけれども数学が二番で夏の旅行を中止にさせられた話をジョージィから聞いたことがある。
 本当は、ローラが湖の小舟に乗りたがっていたと聞いたときはフェイがこっそり連れて行ってあげたいと思ったけれど、そんなことをすればローラが余計に怒られてしまう。
「ローラはね、成績は悪くなかったんだ。ちょっと魔術の成績は、クラスで五番目くらいになっちゃったけど、それ以外は三番以内に入ってた。俺の学生時代よりずっと成績は良かったのにさ、マリーは全部一番じゃなきゃダメだって。ローラはそもそも争いごとに向かない性格だからねぇ。人と競うっていう発想が無いんだろうね。いやぁ、でも、満点とって帰ってきても、マリーはあんまり褒めなかったしなぁ」
 フェイの父はどうだっただろう。あまり感心を持ってくれていなかったと思う。祖母はがみがみとフェイの外見について文句を言っていたけれど、成績で文句を言われたことは無かった。
「俺の家族は俺の成績には興味持ってくれなかったなー。服装のことはしょっちゅう怒られたけど」
「……それ、フェイが満点ばっかり取ってたからじゃないの?」
 ジョージィは呆れた顔をしている。
「あー、そうだっけ? まぁ、俺、暗記系は得意だし、算数好きだったな。数学? あと、科学とかさ」
 けれども勉強は嫌いだった。授業中大人しく椅子に座っているのが苦痛だったことは覚えている。
「ローラは元々照れ屋だし、ちょっと人見知りでしょう? それに加えて真面目だから、勉強ばっかりで友達との接し方がわからなくなっちゃったんじゃないかな? それに……ローラの学年、気の強いお嬢さんたちが多すぎてね。まぁ、うちが有名な仕立て屋だったおかげで苛められずに済んだんだけどね。ローラを苛めたら舞踏会に着ていくドレスを仕立てられなくなるだろう?」
 ジョージィは笑う。
 確かに、お嬢さん方には死活問題だ。
「やっぱ仕立て屋って大事だよ。俺もジョージィが居ないと死活問題だもん」
 でも、これからはローラも居るか。
 そう思って、思わずにやけてしまう。
 彼女の感性は本当に好きだ。あのスカートが仕上がるのが楽しみでならない。
「フェイ、でれでれしすぎ。まぁ、ローラがかわいいのは認めるけどね。マリーは伯爵家に嫁がせたいみたいで、見合い話を進めるのに忙しいよ」
「え? それ、ローラは?」
 そんな噂、フェイの耳には届いていなかった。ローラが年頃になるあたりから、随分探っていたはずなのに。
「……ローラは、強く言われたら諦めちゃうんじゃないかな。あの子、自分が折れれば済むことは大抵折れるし、マリーを悲しませたくないんだ」
 ジョージィは困ったように笑う。昔からマリーには全く頭が上がらないこの男は世の中で一番怖いのはマリーだと公言している。
 けれども、ローラが好きでもない貴族に嫁ぐなんて、我慢できない。
 ローラがどうしても愛する男と結婚するというのならまだ諦められる。けれども、彼女が愛していない男と結婚するなんてフェイは納得できない。
「ローラさえ頷いてくれればすぐにでも攫っていくのに」
「流石に被害届だすよ? 可愛い一人娘なんだから」
「可愛いなら、好きでもない相手に嫁がせたりしないだろう?」
 ジョージィのはっきりしない態度に腹が立ってしまう。
「でもねぇ……相手は貴族様だから。マリーも、どうしても、爵位が欲しいみたいだしねぇ」
 困ったように笑う姿から、本当は彼も気が乗らないのだろう。
「爵位なら、俺、俺が居るでしょ」
「俺は否定しないよ。ローラ次第だと思ってる」
 ジョージィはそう言って、右手で思いっきりフェイの背を叩いた。
 それは若い頃と変わらず容赦ないほどに痛い。
 けれどもそんな痛みも気にならない褒美をぶら下げられてしまう。
「さ、ほらほら、続き続き。もう一着終ったらローラとお昼食べる権利をあげるから」
「なっ、マジ? 俺、本気で頑張る」
「よーしよしよし、フェイ、カッコイイよ。上手上手」
 ジョージィは感情の全く籠もっていない声で適当に褒める。これは、昔からフェイになにかをやらせたいジョージィがやるおだてだ。
「……あのさ、俺、そんな単純だと思われてる?」
 流石に長い付き合いだからそのくらいは見抜けるよと彼を見れば、悪戯がバレた子供のような笑みを見せられる。
「え? とりあえずカッコイイって言っておけばそれなりに働いてくれるかなって」
 悪びれも無く言うジョージィに溜息が出る。
 確かに、カッコイイといわれると、嬉しいけど……。
「そこまで単純じゃないよ。まぁ、ローラに言われたらそれなりに調子乗っちゃうかもしれないけど」
 しかし、カッコイイと言われると嬉しいのは事実だ。
 だが、ジョージィは昔から絶対「フェイ、カッコイイよ。俺の次にカッコイイよ」と絶対に自分よりカッコイイとは言ってくれない。
「そんなんだから俺の次なんだよ」
 若い頃のような、フェイをからかうときの笑みでジョージィは言う。
「へ?」
「フェイ、単純だし」
 それは少しばかり自覚している。
「フェイは、もう少し自分がこうやりたいって言うの、人の意見を気にせずやっちゃえばいいんだよ。うん。服装くらい他人に気を遣わず行動することがあってもいいと思う」
 ジョージィの言葉に驚く。
 そこそこ好き勝手に生きてきたつもりだ。親にも呆れられる人生だ。それなのに、彼はまだ、フェイがなにかに遠慮しているとでも言うのだろうか。
 訊ねようとして、少し戸惑う。
 そうしている間に、手を動かせと言う圧力を感じ、フェイは再びミシンへ向かった。
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