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話し合い③
「本音を言うと、今すぐ抹消してしまいたいけど……さすがに王族の暗殺はリスクが高いわね」
『準備や後始末も大変だし』と思いつつ、私は腕を組む。
────と、ここで部屋の扉をノックされた。
「ビオラお嬢様、今よろしいでしょうか?」
「どうぞ」
即座に返事すると、扉の向こうから執事が姿を現す。
優雅に一礼してこちらへやってくる彼は、手元に分厚い封筒を持っていた。
「頼まれていた調査資料です」
「ありがとう」
執事から封筒を受け取り、私は『戻っていいわよ』と促す。
すると、彼は軽く頷いて部屋から出ていった。
「じゃあ、早速確認しましょうか」
誰に言うでもなくそう呟き、私は封筒の中から資料を取り出す。
案の定とでも言うべきか、書類の量は凄まじかった。
まあ────ミモザ・バシリス・フスティーシアの身辺と王国の内情を洗ったのだから、当然なのだが。
しかも、どんなに些細な事柄であろうと余すことなく全て共有するよう指示していたため。
『何が役に立つか、分からないからね』と思案しながら、私は資料に目を通していく。
「フェンネル国王陛下はあまりミモザ王女殿下に関心が、ないみたいね。なら、ある程度のことには目を瞑ってくれそう」
おもむろに視線を上げ、私は口元に手を当てた。
「それどころか、力を貸してくれるかもしれないわ。もちろん、条件次第でしょうけど」
『別にミモザ王女殿下を恨んだり憎んだりしている訳じゃないもの』と考え、私は知恵を絞る。
大量の情報を得ていたおかげか直ぐにいくつか案が思い浮かび、今後の方針を定められた。
「それじゃあ、フェンネル国王陛下と接触してみましょうか」
────と、決意した翌日。
私はフスティーシア王国に行くために、ある人物の元を訪ねた。
「帝国の輝かしい星、オルニス・マント・レジデンス皇太子殿下にご挨拶申し上げます」
皇城の一室にて、私は銀髪紫眼の美青年と向き合い、頭を垂れる。
すると、彼は片手を上げてソレを制した。
「堅苦しい挨拶はいいよ。早速本題に入ってくれ」
ソファに座った状態で少し身を乗り出し、オルニス皇太子殿下はこちらの反応を待つ。
好奇心と警戒心が見え隠れする彼を前に、私は顔を上げた。
「承知いたしました。では、単刀直入に言います────フスティーシア王国へ派遣する使節団のメンバーに、私も加えてください」
「!」
僅かに目を見開き、オルニス皇太子殿下は口元に手を当てる。
どこか苦い表情を浮かべる彼を前に、私は『予想通りの反応ね』と内心肩を竦めた。
オルニス皇太子殿下には申し訳ないけど、こうでもしないとなかなか他国に行けないから。
貴族という立場上、長く領地を空ける訳にはいかないがために。
それに、下手に他国と関われば謀反やスパイを疑われる危険性があるわ。
だから、出来れば“個人的に”ではなく“公的に”入国したいの。
まあ、一番の理由は王国側に接触拒否されるかもしれないから、だけど。
あちらとしては、婚約破棄の騒動の当事者が足を運んでくるなんて不快でしかないため。
『少なくとも、警戒はする筈』と思いながら、私は使節団の仲間入りを強く望んだ。
『国の代表として行けば、門前払いはないだろうから』と考える中、オルニス皇太子殿下は一つ息を吐く。
「……一応聞くけど、目的は?」
『準備や後始末も大変だし』と思いつつ、私は腕を組む。
────と、ここで部屋の扉をノックされた。
「ビオラお嬢様、今よろしいでしょうか?」
「どうぞ」
即座に返事すると、扉の向こうから執事が姿を現す。
優雅に一礼してこちらへやってくる彼は、手元に分厚い封筒を持っていた。
「頼まれていた調査資料です」
「ありがとう」
執事から封筒を受け取り、私は『戻っていいわよ』と促す。
すると、彼は軽く頷いて部屋から出ていった。
「じゃあ、早速確認しましょうか」
誰に言うでもなくそう呟き、私は封筒の中から資料を取り出す。
案の定とでも言うべきか、書類の量は凄まじかった。
まあ────ミモザ・バシリス・フスティーシアの身辺と王国の内情を洗ったのだから、当然なのだが。
しかも、どんなに些細な事柄であろうと余すことなく全て共有するよう指示していたため。
『何が役に立つか、分からないからね』と思案しながら、私は資料に目を通していく。
「フェンネル国王陛下はあまりミモザ王女殿下に関心が、ないみたいね。なら、ある程度のことには目を瞑ってくれそう」
おもむろに視線を上げ、私は口元に手を当てた。
「それどころか、力を貸してくれるかもしれないわ。もちろん、条件次第でしょうけど」
『別にミモザ王女殿下を恨んだり憎んだりしている訳じゃないもの』と考え、私は知恵を絞る。
大量の情報を得ていたおかげか直ぐにいくつか案が思い浮かび、今後の方針を定められた。
「それじゃあ、フェンネル国王陛下と接触してみましょうか」
────と、決意した翌日。
私はフスティーシア王国に行くために、ある人物の元を訪ねた。
「帝国の輝かしい星、オルニス・マント・レジデンス皇太子殿下にご挨拶申し上げます」
皇城の一室にて、私は銀髪紫眼の美青年と向き合い、頭を垂れる。
すると、彼は片手を上げてソレを制した。
「堅苦しい挨拶はいいよ。早速本題に入ってくれ」
ソファに座った状態で少し身を乗り出し、オルニス皇太子殿下はこちらの反応を待つ。
好奇心と警戒心が見え隠れする彼を前に、私は顔を上げた。
「承知いたしました。では、単刀直入に言います────フスティーシア王国へ派遣する使節団のメンバーに、私も加えてください」
「!」
僅かに目を見開き、オルニス皇太子殿下は口元に手を当てる。
どこか苦い表情を浮かべる彼を前に、私は『予想通りの反応ね』と内心肩を竦めた。
オルニス皇太子殿下には申し訳ないけど、こうでもしないとなかなか他国に行けないから。
貴族という立場上、長く領地を空ける訳にはいかないがために。
それに、下手に他国と関われば謀反やスパイを疑われる危険性があるわ。
だから、出来れば“個人的に”ではなく“公的に”入国したいの。
まあ、一番の理由は王国側に接触拒否されるかもしれないから、だけど。
あちらとしては、婚約破棄の騒動の当事者が足を運んでくるなんて不快でしかないため。
『少なくとも、警戒はする筈』と思いながら、私は使節団の仲間入りを強く望んだ。
『国の代表として行けば、門前払いはないだろうから』と考える中、オルニス皇太子殿下は一つ息を吐く。
「……一応聞くけど、目的は?」
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