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予感《アニス side》①
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◇◆◇◆
────ミモザと別れて、実家に戻った……いや、モータル公爵家に連れてこられた翌日。
僕は豪華な室内で、ひたすら脱出方法を考えていた。
正面突破……は、どう考えても無理か。
扉はしっかり施錠してあるし、廊下は屈強な騎士で溢れ返っているらしいから。
『間違いなく、捕まる』と眉を顰め、僕はチッと舌打ちする。
「おまけに、窓には鉄格子……これじゃあ、家出したときみたいに窓から抜け出すことも出来ない」
八方塞がりな状況に苛立ちを覚え、僕は乱暴に頭を掻いた。
「クソッ……!こんなところで、足止めを食らっている場合じゃないのに……!」
近くのチェストを殴りつけ、僕はギシッと奥歯を噛み締める。
先日、手の甲に作った傷を眺めながら。
「早く、周囲を抱き込まなければ……!わざわざ、こんなシナリオを組んだ意味がなくなるだろ!」
苦渋の決断として行った作戦ということもあり、僕は全く手応えのない状態に憤った。
本当は『女性の暴力に屈する男』なんて情けない汚名、被りたくなかったので。
「だが、現状結果を出すのは難しい……!」
周りにビオラ側の人間しか居ないことを考慮し、僕は『不可能』の文字が過ぎる。
「なら、せめてミモザに作戦中止の連絡を……!」
今頃王国に戻ってビオラの悪評を広めているであろうミモザを思い浮かべ、僕は頭を抱えた。
『このままでは、ミモザの立場が……!』と危機感を覚えて。
「手紙を書くか……!?いや、書いたとしてどうやって届ける……!?」
公爵家の人間に没収……最低でも検閲される未来しか見えず、僕は苦悩する。
────と、ここで扉が開いた。
「!」
反射的に出入り口の方を振り返る僕は、騎士の姿を目にする。
『食事を持ってきたのか』と思案する僕を他所に、彼はテーブルの上にトレイを載せた。
かと思えば、さっさと踵を返す。
相変わらず、挨拶もなしか……!この無礼者め!
ここに来てからまともに誰かと会話を交わしたことがなく、僕は不満を募らせた。
『そういう教育をしているのか、それともビオラの指示か』と考えつつ、僕は騎士の後を追い掛ける。
交渉、あるいは正面突破が出来ないかと思って。
「おい!僕をここから、出せ!そしたら、褒美をやる!」
「……」
案の定とでも言うべきか、騎士は返事も一瞥もくれずに進んでいった。
なので、僕は一か八か開いたままの扉へ向かおうとする。
『どうせ廊下には他の騎士も居るだろうが、もしかしたら……!』と希望を抱く中、僕は騎士の横を通り過ぎた。
が、首根っこを掴まれて止められる。
「は、離せ……!僕を誰だと思っているんだ!」
身動ぎして何とか解放してもらおうとすると、騎士はソファの方に僕を投げ飛ばした。
尻餅をつくような形で倒れる僕を前に、彼は部屋を出る。
と同時に、施錠した。
「廊下に出ることすら出来なかった上、こんな扱いを受けるとは……!」
ソファの上で怒りに震え、僕は扉を睨みつける。
『こんな屈辱、初めてだ……!』と叫び、僕は傍にあった花瓶を投げた。
扉に当たって砕けるソレを前に、僕は『はぁはぁ』と肩で息をする。
「まさか、こんな日々がずっと続く訳じゃないよな……?」
漠然とした不安を抱き、僕は僅かに表情を硬くした。
なんだか、急に恐ろしくなってきて。
「そんなの絶対に御免だぞ……!さっさと婚約破棄を成立させて、僕はミモザのところに……!」
ギュッと胸元を握り締め、僕は愛する人に会いたい思いを強くした。
────ミモザと別れて、実家に戻った……いや、モータル公爵家に連れてこられた翌日。
僕は豪華な室内で、ひたすら脱出方法を考えていた。
正面突破……は、どう考えても無理か。
扉はしっかり施錠してあるし、廊下は屈強な騎士で溢れ返っているらしいから。
『間違いなく、捕まる』と眉を顰め、僕はチッと舌打ちする。
「おまけに、窓には鉄格子……これじゃあ、家出したときみたいに窓から抜け出すことも出来ない」
八方塞がりな状況に苛立ちを覚え、僕は乱暴に頭を掻いた。
「クソッ……!こんなところで、足止めを食らっている場合じゃないのに……!」
近くのチェストを殴りつけ、僕はギシッと奥歯を噛み締める。
先日、手の甲に作った傷を眺めながら。
「早く、周囲を抱き込まなければ……!わざわざ、こんなシナリオを組んだ意味がなくなるだろ!」
苦渋の決断として行った作戦ということもあり、僕は全く手応えのない状態に憤った。
本当は『女性の暴力に屈する男』なんて情けない汚名、被りたくなかったので。
「だが、現状結果を出すのは難しい……!」
周りにビオラ側の人間しか居ないことを考慮し、僕は『不可能』の文字が過ぎる。
「なら、せめてミモザに作戦中止の連絡を……!」
今頃王国に戻ってビオラの悪評を広めているであろうミモザを思い浮かべ、僕は頭を抱えた。
『このままでは、ミモザの立場が……!』と危機感を覚えて。
「手紙を書くか……!?いや、書いたとしてどうやって届ける……!?」
公爵家の人間に没収……最低でも検閲される未来しか見えず、僕は苦悩する。
────と、ここで扉が開いた。
「!」
反射的に出入り口の方を振り返る僕は、騎士の姿を目にする。
『食事を持ってきたのか』と思案する僕を他所に、彼はテーブルの上にトレイを載せた。
かと思えば、さっさと踵を返す。
相変わらず、挨拶もなしか……!この無礼者め!
ここに来てからまともに誰かと会話を交わしたことがなく、僕は不満を募らせた。
『そういう教育をしているのか、それともビオラの指示か』と考えつつ、僕は騎士の後を追い掛ける。
交渉、あるいは正面突破が出来ないかと思って。
「おい!僕をここから、出せ!そしたら、褒美をやる!」
「……」
案の定とでも言うべきか、騎士は返事も一瞥もくれずに進んでいった。
なので、僕は一か八か開いたままの扉へ向かおうとする。
『どうせ廊下には他の騎士も居るだろうが、もしかしたら……!』と希望を抱く中、僕は騎士の横を通り過ぎた。
が、首根っこを掴まれて止められる。
「は、離せ……!僕を誰だと思っているんだ!」
身動ぎして何とか解放してもらおうとすると、騎士はソファの方に僕を投げ飛ばした。
尻餅をつくような形で倒れる僕を前に、彼は部屋を出る。
と同時に、施錠した。
「廊下に出ることすら出来なかった上、こんな扱いを受けるとは……!」
ソファの上で怒りに震え、僕は扉を睨みつける。
『こんな屈辱、初めてだ……!』と叫び、僕は傍にあった花瓶を投げた。
扉に当たって砕けるソレを前に、僕は『はぁはぁ』と肩で息をする。
「まさか、こんな日々がずっと続く訳じゃないよな……?」
漠然とした不安を抱き、僕は僅かに表情を硬くした。
なんだか、急に恐ろしくなってきて。
「そんなの絶対に御免だぞ……!さっさと婚約破棄を成立させて、僕はミモザのところに……!」
ギュッと胸元を握り締め、僕は愛する人に会いたい思いを強くした。
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