たとえ、あなたが誰を愛していようとも

あーもんど

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二人の策謀①

「ご機嫌麗しゅうございます、ミモザ王女殿下」

 ドレスのスカート部分を摘み上げ、私は優雅にお辞儀した。
すると、ミモザ王女殿下はにこやかに応じる。

「初めまして、ビオラ嬢。会えて、嬉しいわ」

 無邪気に喜んでいる素振りを見せ、ミモザ王女殿下は少しばかり身を乗り出した。

「貴方には、ずっと言いたいことがあったから」

「何でしょう?気になりますね」

 顎に手を当てて、私は小さく首を傾げる。
話の先を促す私の前で、ミモザ王女殿下はチラリと周囲を見回した。
そして、注目されていることを確認すると、彼女は少しばかり真剣な顔つきになる。

「────どうして、婚約者にあのような真似を?」

 硬い声色で問い詰め、ミモザ王女殿下は強く手を握り締めた。

「自分の方が身分は上だからと、婚約者を軽んじていらっしゃるの?」

「いいえ、そんなことはありません」

 即刻否定する私に対し、ミモザ王女殿下は追撃を行う。

「じゃあ、何で婚約者に手を上げるの?彼は貴方の行いに、身も心も痛めているわよ?他国の人間である私に相談するくらいだから」

 とても深刻な問題であることを強調し、ミモザ王女殿下は顔を歪めた。
『悲しくて悲しくてしょうがない』とでも言うように。

「彼があまりにも可哀想だわ」

 目に涙を浮かべ、ミモザ王女殿下は視線を逸らした。
心配という感情を前面に出してくる彼女の前で、私は笑みを深める。

 何か仕掛けてくるのは予想していたけど、まさか例の悪評についてこうも堂々と触れてくるとは。
余程、私に恥を掻かせたいみたいね。
まあ、こちらとしては助かったわ。
話を切り出す手間が、省けたから。

 『こちらもちょうど、その話をしたかったの』と思いつつ、私は頭を下げた。

「ご心配をお掛けしたようで、申し訳ありません。ですが、安心してください。アニスの発言は全て嘘ですから」

 太陽のような瞳を見つめ返し、私は胸元に手を添える。

「神に誓って、私はアニスに手を上げたことなど一度もありません」

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